事務局長談話

 
2024年05月24日
育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の改正法成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「共働き・共育て」のための仕事と育児の両立支援制度が拡充
 本日、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」(以下、改正法)が、参議院本会議において可決・成立した。「共働き・共育て」のための柔軟な働き方を実現する観点から子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応や、介護離職を防止するための制度の周知強化、男性の育児休業取得をはじめとする数値目標の義務付けなど、仕事と育児・介護の両立支援制度が拡充されたことは、概ね評価できる。

2.実効性を高めるためには、指針で示すとされた望ましい対応の推進が必要
 改正法は、子が3歳未満のテレワークを事業主の努力義務とするとともに、3歳以降小学校就学前までは、用途を限定せず時間単位で取得可能な「新たな休暇」をはじめとする5つの選択肢から、労働者が選択可能なものを2つ以上選択して措置を講じることを事業主に義務付けるなど、労働者の働き方の選択肢を拡充した。また、建議で「望ましい対応」とされた「事業所内の業務の性質・内容などに応じて制度の組み合わせを変えるなど適切に定めること」などは、国会審議において指針で示すとの大臣答弁が引き出された。制度の実効性を高めるためには、指針に確実に盛り込むとともに、実現に向けて積極的な取り組みを推進する必要がある。

3.子のケアと仕事を両立するための包括的支援実現に向けた検討が必要
 国会審議では、障がいのある子や医療的ケアを必要とする子を持つ親、ひとり親家庭など個別の事情がある場合には、短時間勤務制度の利用可能期間延長や子の看護休暇制度の付与日数の配慮などを、望ましい対応として指針で示すとの大臣答弁が引き出された。現行法に障がいのある子などのケアと仕事との両立の視点が十分でなかったことを踏まえれば、一定の評価ができる。今後は、附帯決議に盛り込まれた、高齢者介護を念頭に作成されている現行の要介護状態の判断基準の検討・見直しを早急に実施するとともに、厚労省と子ども家庭庁とが連携し、民間支援団体の協力も得ながら、子のケアと仕事を両立するための包括的支援実現に向けた検討が必要である。

4.だれもが仕事と生活を両立できる職場・社会の実現に取り組む
 改正法の成立を受けて、今後、労働政策審議会では、省令・指針で示すとされた事項や、附帯決議に付された事項の検討が行われる。連合は、審議会において意見反映に努めるとともに、引き続き雇用形態や性別、家庭環境にかかわらず、だれもが仕事と生活を両立できる職場・社会の実現に向けて取り組んでいく。

以 上