2023年12月26日
労働政策審議会雇用環境・均等分科会報告「仕事と育児・介護の両立支援制度等の充実について」に対する談話
1.「共働き・共育て」のための仕事と育児の両立支援制度を拡充
本日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長:奥宮京子弁護士)は、「仕事と育児・介護の両立支援制度等の充実について」(以下、報告)を取りまとめた。すべての労働者の長時間労働を是正する必要性について労使で認識を一にしたうえで、制度利用が女性に偏っている現状を踏まえ、「共働き・共育て」のための柔軟な働き方を実現する観点から、仕事と育児の両立支援制度の拡充が示されたことは評価できる。一方、介護について周知の強化などに留まったことは残念である。
2.子が小学校就学前までの柔軟な働き方を実現するための措置は評価
報告は、子が3歳未満のテレワークを事業主の努力義務とするとともに、3歳以降小学校就学前までは、用途を限定せず時間単位で取得可能な「新たな休暇」をはじめとする5つの選択肢から、労働者が選択可能なものを2つ以上選択して措置を講じることを事業主に義務付けることとした。これらは、「共働き・共育て」のための柔軟な働き方実現に資する制度として評価できる。今後は、事業所内の業務の性質・内容などに応じて制度の組み合わせを変えるなど、報告において望ましいとされた措置の実施に向けた取り組みが重要である。
3.労働者の就業継続には個別のニーズに配慮した両立支援が不可欠
仕事と介護の両立については、制度の個別周知・意向確認、早期の情報提供、研修の実施や相談体制の整備などが示された。一方、介護休業期間や分割回数について、改正を行わないとされたことは、「現行制度のままでは介護体制整備のための期間として足りない」などの声が寄せられていることを踏まえれば課題が残った。また、主に高齢者介護を念頭に置いた現行制度では、子に障がいのある場合などにおける両立支援制度として十分ではなく、「短時間勤務制度や子の看護休暇制度等の利用期間を延長すること」「付与日数に配慮すること」など、報告において望ましいとされた対応を周知し、離職防止の実効性を確保することが不可欠である。
4.実効性のある仕事と育児・介護の両立支援制度実現に向け取り組む
今後は、報告にもとづいて法案要綱の審議が行われ、次期通常国会に法案が提出される見通しである。働き方の柔軟性を高め、「共働き・共育て」の一層の促進や、離職を防止するためには、報告において望ましいとされた対応を含めた取り組みを行うことが重要である。連合は、連合フォーラム議員などと連携し、実効性のある仕事と育児・介護の両立支援制度実現に向け、国会における法案審議に対応していく。
以 上