事務局長談話

 
2023年12月22日
労災保険特別加入制度の対象範囲の拡大に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.労災保険特別加入制度が特定受託事業者にも拡大される
 本日、労働政策審議会労災保険部会(部会長:守島基博学習院大学教授)は、「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」(以下、「省令案要綱」)について「妥当」とし、労働政策審議会長へ報告した。省令案要綱は、フリーランス新法に規定する「特定受託事業者」が労災保険に特別加入できるよう適用対象を拡大することを示した。既存の対象業務以外を包括的に担う新たな特別加入制度の創設は、連合が取り組む「曖昧な雇用」で働く就業者の保護につながるものと受け止める。

2.労災保険法において対象業務が広くとらえられたことを評価
 新たな制度では、フリーランス新法に規定する特定受託事業者が「業務委託事業者から委託を受けて行う業務」に加え、「業務委託事業者以外の者から委託を受ける同種の業務」が対象とされた。労災保険法における対象業務が、フリーランス新法よりも広くとらえられたことは働く者の保護の観点から評価できる。一方で、フリーランス新法の特定受託事業者に該当しない者は依然として労災保険特別加入制度には加入することができない。すべての人が安心して働くことができるよう制度のさらなる拡大が求められる。

3.災害防止教育の適切な実施による労働災害防止の徹底を
 様々な業務で働く者を包括的に受け入れることとなる特別加入団体に対しては、加入者に対する災害防止教育の実施とその結果の報告を求めるなど、既存業務の特別加入団体より厳しい要件が課される。これらは、特定受託事業者として働く者の労働災害防止につながるものと受け止める。新たな制度における特別加入団体に限らず、すべての特別加入団体には、災害防止教育の適切な実施による労働災害防止の取り組みの徹底が求められる。

4.すべての働く者のセーフティネット機能の強化・充実をめざす
 連合は、これまでもすべての働く者が必要な保護を受け、安心・安全に働ける社会の実現をめざし取り組みを進めてきた。引き続き個人事業者をはじめとする「曖昧な雇用」で働く者が置かれている状況に鑑み、「労働者概念」の見直しを含め、すべての働く者のセーフティネット機能の強化・充実に向け取り組みを進めていく。

以 上