事務局長談話

 
2023年12月21日
沖縄県辺野古沖地盤改良工事に対する高裁支部判決に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.国と沖縄との相互理解に向けた対話の積み重ねを求める
 12月20日、福岡高等裁判所那覇支部は、沖縄県の米軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古沖の地盤改良工事をめぐる裁判について、「工事の申請を承認せずに放置することは社会公共の利益を侵害する」などとして、県に対し期限を示して工事を承認するよう命じた。期限を過ぎても県が承認しなければ、地方自治体の事務に関しては初のケースとして、国が県に代わって工事を承認する「代執行」が可能となる。連合はこれまで政府と県の丁寧な対話を求め続けてきた。判決が「国としても県民の心情に寄り添った政策実現が求められ、国と県とが相互理解に向けた対話を重ねることを通じて抜本的解決が図られることが強く望まれている」と付言したことも踏まえ、国と県とが真摯な対話を積み重ねることを強く期待する。
 

2.今回の判決が自治権や民主主義の後退につながることを危惧する
 今回の裁判では「著しく公益に害する」か否かが争点の1つとされていた。判決では「普天間基地の危険性が人の生命や身体に大きく関わるものであることに加え変更申請からおよそ3年半がすでに経過していることなども踏まえると、承認しないことは甚だしく社会公共の利益を害する」とした上で、「県が公益だと主張する民意や地域住民の自己決定は、本件の地方自治法における公益を侵害するかどうかの判断にあたっては当然に考慮し得るものとは言い難い」と判断した。また、「代執行以外の方法」で是正できるか否かについて、判決では、県が求める対話による解決は代替策に当たらないとした。
 しかし、地方自治法が代執行の要件を厳しく定めているのは、国と自治体が対等・協力の関係で、地方自治が憲法で保障されているからである。自治体の権限を国が奪うという最終的な介入手段には謙虚かつ抑制的でなければならず、自治権や民主主義の後退につながることを危惧する。
 

3.連合は「在日米軍基地の整理・縮小」および「日米地位協定の抜本的な見直し」の実現をめざす
 連合はこれまでも、普天間の辺野古移設計画は沖縄県内でのたらい回しに過ぎず、政府に対して、辺野古移設を唯一の手段とせずに沖縄と真摯に向き合い、日本全体の問題として捉えた上で丁寧な対話を行うことを求めてきた。今後も、「在日米軍基地の整理・縮小」および「日米地位協定の抜本的な見直し」の実現に向けて、連合は全国の仲間とともに「平和行動in沖縄」などを通じて積極的かつ幅広い運動を展開していく。
 

以 上