2023年12月15日
与党「令和6年度税制改正大綱」に対する談話
1.わが国の構造課題に正面から向き合う姿勢が見えず大変遺憾
12月14日、自民・公明両党は「令和6年度税制改正大綱」(以下、「大綱」)を決定した。少子高齢化・人口減少に歯止めのかからないわが国において、安定的な税収基盤を確保するための税体系全般の見直しは待ったなしの状況である。本年6月に閣議決定された「骨太方針2023」でも、「応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止をはかりつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的で、デジタル社会にふさわしい税制を構築」と示していたが、大綱は、構造的な賃上げ実現、国内投資の促進、子育て支援などに重点を置くのみであり、税体系全般の見直しには踏み込んでいない。
政府は30年来のデフレから脱却し、構造的に賃金が上がる社会と資産所得倍増を掲げているが、これ以上の格差を拡大させないために重要なことは、金融所得も含めた正確な所得把握にもとづく再分配機能の強化に他ならない。わが国の構造課題に正面から向き合う姿勢が見えず、大変遺憾であると言わざるを得ない。
2.より迅速かつきめ細やかに「給付と減税」を行うため、「給付付き税額控除」の仕組
み構築など恒久的な対策を講じるべき
物価高対策として低所得者への給付とあわせて行う所得税・個人住民税の定額減税は、政策目的が変更されたことで国民が混乱しており、可処分所得を増やし、消費拡大につなげる政策効果が十分に得られるのか分かりにくいものとなっている。地方自治体などの負担を軽減しつつ、より迅速かつきめ細やかに「給付と減税」を行うには、正確な所得把握にもとづく「給付付き税額控除」の仕組み構築など、税制による恒久的な対策を講じるべきである。
また、土壇場で大綱への記載が見送られたとされる「燃料価格高騰時の揮発油税などの課税停止措置(トリガー条項)」の発動は、自民・公明・国民民主の3党で真摯に協議を進める中で、地方財政に配慮しつつ、「当分の間税率」の廃止も含めて検討し、早急に結論を得るべきである。
3.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に総力をあげて取り組む
大綱には、検討中の「こども未来戦略案」に沿って、児童手当拡充に伴う扶養控除見直しや子育て支援に関する政策税制が項目として示されたが、子育て世帯や若年層など当事者の声に真に応えられる施策となるのか疑問が残る。今、政府・与党に強く求められるのは、国民と真摯に向き合い、税に対する信頼を回復させていくことである。連合は、次期通常国会において、徹底した審議を求めるとともに、構成組織・地方連合会、政党、連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員と連携し、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組んでいく。
以 上