事務局長談話

 
2022年11月18日
公職選挙法の一部を改正する法律の成立についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.与野党の賛成多数で成立。立法府の役割は果たされた
 11月18日、「1票の較差」の是正のために小選挙区を10増10減、また、比例代表を3増3減する公職選挙法の一部を改正する法律が与野党の賛成多数で成立した。これにより、2020年国勢調査にもとづくと最大の較差は2倍未満となる。最終的に多くの与野党が合意に至ったことで立法府の役割は果たされたものと考える。

2.見直し対象は過去最多。附帯決議にもとづき十分な周知徹底を求める
 改正法は、6月に衆議院議員選挙区画定審議会から岸田総理に行われた勧告にもとづくもので、見直し対象は25都道府県、140選挙区と、いずれも過去最多である。このうち、小選挙区については、東京が5増、神奈川が2増、埼玉・千葉・愛知が1増となる一方、宮城・福島・新潟・滋賀・和歌山・岡山・広島・山口・愛媛・長崎は1減となる。比例代表については、東京が2増、南関東が1増となる一方、東北・北陸信越・中国は1減となる。附帯決議に盛り込まれた「有権者に混乱が生じることのないよう新たな選挙区に関し十分に周知徹底を行うこと」の確実な履行を求める。

3.改正法が一連の経過を踏まえたものであることは評価
 小選挙区の10増10減は、2020年の国勢調査にもとづき、人口比を正確に反映しやすいとされる議席配分方式である「アダムズ方式」で算出された。これは、連合も委員参画した「衆議院選挙制度に関する調査会」の答申を経て2016年成立の関連法に盛り込まれたものである。連合は、この間、政権交代が起こり得る小選挙区比例代表並立制の維持を前提としつつ、投票価値の較差を2倍未満とするルールを確立するとともに、人口の少ない選挙区の有権者から選挙権を完全に剥奪する可能性の極めて低い方式である点を考慮すれば、「アダムズ方式」は望ましい方式であるとの立場をとってきた。改正法がこうした経過を踏まえたものであることは評価できる。

4.各党はあり方について引き続き議論を。連合も政策・制度の取り組みを進める
 附帯決議には、そのほか、人口減少や地域間格差が拡大している現状を踏まえ、立法府のあり方を含め、議員定数や地域の実情を反映した選挙区割りのあり方等に関して抜本的な検討を行うこと、また、与野党で協議の場を設置し、円満かつ公正公平な運営のもと、十分な議論を行うことなどが盛り込まれた。各党には党利党略に陥ることなく、建設的な議論を期待する。連合も、投票価値の平等を含め、公平・公正でわかりやすく、国民の立場に立った選挙制度を求めて、政策・制度の取り組みを進めていく。

以 上