事務局長談話

 
2022年06月03日
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.男女平等参画の遅れを取り戻すために政策の確実な実行を
 政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長:岸田内閣総理大臣)は6月3日、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」(以下、重点方針)を発表した。「男女共同参画」を「日本政府の重要かつ確固たる方針」とし、「女性の経済的自立」を政府が掲げる「新しい資本主義」の中核と位置づけたことは評価できる。日本のジェンダー・ギャップ指数の順位が156ヵ国中120位という状況から脱却するには、政府がこの重点方針を各政策に反映し、確実に実行しなければならない。

2.男女間賃金格差への対応や男性向け相談窓口の充実強化の方向性は評価
 重点方針は女性の経済的自立に向けた環境整備のため、男女間賃金格差への対応を掲げ、情報開示の義務化や非正規雇用で働く人たちの賃金引き上げも盛り込まれた。これらは連合が求めてきた男女間賃金格差にかかる現状把握、分析、情報開示の全事業主への義務化や同一価値労働同一賃金の実現にも資するものであり、評価できる。また、男性の家庭・地域社会への参画拡大や孤独・孤立対策の観点から、男性の相談窓口の充実強化が新たに打ち出された。これらの施策を着実に実行することが求められる。

3.強力なポジティブ・アクションと選択的夫婦別氏制度の実現が急務
 一方、政治分野のクオータ制については、先の衆議院議員選挙において女性議員の割合が1割を下回ったにもかかわらず、記載されなかった。この現状の打開には、強力なポジティブ・アクションが不可欠である。また、人権の観点も含め、世論で実現を望む声が多い選択的夫婦別氏制度については、消極的な記載にとどまり、限界が数多く指摘されている旧姓の通称使用の拡大が前面に出されたことは、極めて遺憾である。

4.固定的性別役割分担意識から脱却し、男女平等参画社会の一日も早い実現を
 コロナ禍により、女性の家事労働時間の長さや、その背景にある固定的性別役割分担意識などの影響の深刻さが改めて浮き彫りになっている。男女平等参画社会の実現には、長時間労働の是正、男性の家事・育児への参画、固定的性別役割分担意識からの脱却が不可欠である。連合は、性に中立な税・社会保障制度の確立など、多様性が尊重され、誰もが安心して働き続けられる男女平等参画社会の実現に向け取り組みを継続・強化していく。

以 上