事務局長談話

 
2022年05月11日
経済安全保障推進法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.経済安全保障推進法による民間事業者への規制は、自由な経済活動を極力阻害しない範囲にとどめるべき
 5月11日、参議院本会議において、経済安全保障推進法が可決・成立した。本法の立法主旨には理解を示せるものの、一方では、企業などに対して一定の規制措置を設けるものともなっている。政府による規制措置は、民間事業者の自由な経済活動を極力阻害しない範囲にとどめるべきであり、かつ、新たに課される規制と業法による既存の規制の役割分担を明確にし、現状と比較して、労働者も含め過度な負担とならない配慮が必要である。

2.労働者の意見を反映するための場が必要
 衆参両院を通じて、連合の考え方も踏まえた立憲民主党および国民民主党による法案審議対応の結果、「特定重要物資や基幹インフラ事業者の指定基準を定める際は、関係事業者、関係事業者の団体その他の関係者の意見を考慮して制定する」を含む重要な附帯決議につながった(衆院17本、参院23本)。今後は、4分野(サプライチェーンの強靭化、基幹インフラの安全性・信頼性の確保、特定重要技術の開発支援、特許出願非公開制度)それぞれの基本方針や省令・指針が定められるが、その際には、附帯決議に盛り込まれた内容に沿って、労働者や関係者の意見を聴取する場を設けるべきである。

3.国民の安全を守るためには、幅広い分野での検討が必要
 政府は、本法で定めた4分野以外の課題についても、今後の情勢変化を見据え、不断に検討するとしている。国民の安全を守るためには、経済だけに留まらず、食料や水、医療など幅広い分野での安全保障についても検討が必要である。連合は引き続き、働く者の声、生活者の声を結集し、連合フォーラム議員と連携しながら、国民の安心と安全を守るための政策実現に向けて取り組んでいく。

以 上