事務局長談話

 
2021年12月23日
人材開発分科会報告「関係者の協働による『学びの好循環』の実現に向けて」 に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.企業をはじめとする関係者の連携・協働による支援が示されたことは評価
 12月21日、労働政策審議会人材開発分科会(分科会長:武石惠美子・法政大学キャリアデザイン学部教授)は、「関係者の協働による学びの好循環の実現に向けて(報告)」をまとめた。報告では、広範かつ急速な社会変化に対応すべく、労働者のスキル向上を目的にリカレント教育などを促進し、企業をはじめとする関係者の協働による「学びの好循環」から長期的な雇用の安定につなげる方向性が示された。すべての労働者のスキル・キャリアの向上を目的とした学び・学び直しについて、企業をはじめとする関係者が協働して支援する方向性が示されたことは一定評価したい。

2.労働市場全体における人材開発の実効性を高める支援の充実を
 職業訓練については、地域ニーズを適切に反映するための協議の場を法的に位置付け、個別事案の効果検証を踏まえた職業訓練の強化をはかる仕組みが設けられた。求職者などのスキル・キャリアの向上に資する職業訓練の実践や就労支援の強化など、より実効性を高めることが必要である。また事業者などにはキャリアコンサルティング機会確保の責務規定が整備され、キャリアコンサルタント活用の配慮も規定された。企業や労使の取り組みなど実態に即した対応が重要であり、働きやすい快適な職場づくりや労働者自身が望むキャリア形成支援の充実をはかるべきである。

3.人材育成は企業の責任による実施を前提とすべき
 企業内におけるリスキリング・リカレント教育の促進にあたっては、労働者が学び・学び直しの意義を理解・納得し、スキル・キャリアの向上を目的にリカレント教育などの機会を得ることが重要であり、雇用の流動化や労働移動の強化につながるものであってはならない。また企業内の人材育成は、育成ビジョンや方針を明確化したうえで、企業の責任において実施することが前提である。非正規雇用で働く労働者を含めたすべての労働者が教育機会の提供により得られた成果を共有することで、長期的な雇用の安定に資するより良い「学びの好循環」を生み出し、処遇改善につなげていくことが求められる。

4.すべての労働者が安心して学べる環境の整備や支援の充実を求める
 今後、同報告にもとづき、今年度中を目途にリカレントガイドライン(仮称)が策定される。連合は、すべての労働者がスキル・キャリアの向上のための教育機会を得られるよう、学びを後押しする環境整備や支援の充実にむけて、引き続き全力で取り組んでいく。

以 上