事務局長談話

 
2021年10月22日
第6次「エネルギー基本計画」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行
 

1.長期に渡る計画であり適時適切な点検・見直しが必要
政府は、10月22日、中長期的・総合的なエネルギー政策の基本的な方針である「第6次エネルギー基本計画」(以下「基本計画」)を閣議決定した。基本計画は、東日本大震災から10年が経過したことを踏まえつつ、①2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応、②2050年を見据えた2030年に向けた政策対応を構成の柱としている。本計画は長期に渡る計画であり、政府は、国民生活の維持・向上、産業競争力の確保、雇用や働き方などの観点から、適時適切に政策の点検・見直しを行っていく必要がある。
 

2.再生可能エネルギーの着実な推進が求められる
基本計画は、2030年の温室効果ガス削減目標の実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、最大限の導入を促すとしている。再生可能エネルギーについては、安定供給やコスト・経済性などの課題に対応しながら、エネルギー源の柱とするべく着実に推進することが求められる。他方、原子力エネルギーについては、国民の信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用するとしている。原子力エネルギーに対する依存度は、代替エネルギー源の確保を前提として中長期的に低減させていく必要がある。既存の原子力発電所の再稼働については、安全性の強化・確認を国の責任において行うこと、周辺自治体を含む地元住民の合意と国民の理解を得ることを前提に、代替エネルギーが確保されるまでの間、活用すべきである。
 

3.2050年カーボンニュートラルの実現に向けては「公正な移行」が必要
基本計画の重要なテーマであるカーボンニュートラルの実現は、持続可能な社会を構築していく上で必要な取り組みであり、イノベーションの基礎となる技術開発や人材育成に向けた支援を行いつつ、あらゆる施策を動員して進めるべきである。その際は、地域経済や社会、雇用への影響を最小限にとどめるための「公正な移行」の確保が不可欠であり、経済・社会状況などの不確実性を踏まえて複数のシナリオやオプションを示し、労働組合をはじめとする関係当事者との社会対話を行い、丁寧な国民的議論を通じた合意形成をはかる必要がある。
 

4.「働くことを軸とする安心社会」に資するエネルギー政策を求めていく
連合は、安全・安心で安定的な資源確保・エネルギー供給と、低炭素社会への確実な移行の実現に向けた取り組みを進めるとともに、「働くことを軸とする安心社会」に資するエネルギー政策の実行を求め、引き続き、全力で取り組んでいく。

以 上