事務局長談話

 
2021年06月16日
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.男女平等参画の遅れを取り戻すには、政府の行動が不可欠
 政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長:菅内閣総理大臣)は6月16日、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」(以下、重点方針)を発表した。「コロナ対策の中心に女性・女児を」などの新たな事項を掲げ、男女共同参画を「日本政府の重要かつ確固たる方針」「国際社会で共有されている規範」と位置づけたことは評価できる。しかし、肝心なことは実際の行動である。男女平等参画の遅れが、女性へのコロナ禍の影響の深刻さとして顕在化しており、政府は覚悟をもって取り組みを進めるべきである。

2.困窮する女性への支援はきめ細かな対応が必要
 重点方針は、困窮する女性や妊産婦への様々な支援体制の充実・強化のほか、経済的な理由で生理用品を購入できない「生理の貧困」問題にも触れているが、当面の策に加えて、教育現場などでの知識の普及や理解の浸透も重要である。また、新型コロナウイルスのワクチン接種に際して、配偶者からの暴力などが原因で住民票所在地での接種が困難な被害者については、NPOなどとの連携も含めて、きめ細かな対応が必要である。政府はそうした団体への支援をさらに積極的にはかるべきである。

3.女性の置かれた実態をはじめ、人権や差別の問題の可視化と対策を
 連合は、「コロナ禍におけるジェンダー平等課題に関する意見交換会」で有識者と連携し、女性の置かれた実態を偏りのない視点で調査・分析する必要性を様々な場面で提起してきた。重点方針にそのことが一定盛り込まれたことは評価する。一方で、第5次男女共同参画基本計画には記載がある性的指向・性自認や、選択的夫婦別氏制度に関する言及が一切なく、差別や人権に関する課題認識が不十分である。都立高校入試における合格最低点での男女差が発覚し、放置されていたことが報道で明らかになるなど、未だ性差別が社会に存在する中、重点方針が掲げる課題に限ることなく、幅広かつ掘り下げた点検を行い、問題を可視化し、対策を講ずることが重要である。

4.男女平等参画の危機的な現状を踏まえ、社会構造そのものの変革が必要
 男女平等参画の遅れは格差を拡大させるだけでなく、より強く固定化させかねない。政府は、ジェンダー・ギャップ指数の順位が156ヵ国中120位と諸外国に後れを取る危機的かつ不名誉な現状を踏まえ、取り組みを加速化させるべきであり、女性の就労を阻害する税や社会保障などの制度・慣行が残る日本の社会構造そのものの変革が必要である。連合は、今後も組織を挙げて労働組合における男女平等参画を推進し、すべての人が平等で、差別されることのない社会の実現をめざしていく。

以 上