事務局長談話

 
2021年05月28日
障害者差別解消法改正法案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.民間事業者における合理的配慮の提供義務化は一歩前進であり評価
 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(以下、改正法)が5月28日、参議院本会議において全会一致で可決・成立した。これまで努力義務とされていた民間事業者における合理的配慮の提供の義務化、行政機関相互の連携の強化などが行われることとなる。国連の「障害者の権利に関する条約」に沿った内容であるとともに、障害者基本法で規定された差別禁止の原則をさらに具体化し一歩前進する内容であり、評価できる。

2.改正法の早期施行と実効性確保が不可欠
 改正法の施行日については、合理的配慮義務の対象となる民間事業者に対する配慮から「公布日から3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされている。すでに行政機関における合理的配慮の提供や、雇用分野での事業所における合理的配慮の提供は義務化されている。周知や広報を強化し、民間事業者に対する支援を講じつつ早期に施行し、障がい者に対する差別の解消に向けた実効性を確保すべきである。

3.相談窓口のワンストップ化と差別の定義の明確化を急ぐべき
 改正法の施行により、地方自治体における障がい者や事業者からの相談窓口体制が拡充され、国と地方自治体との連携強化もはかられることになる。また、国と自治体は国会における附帯決議を踏まえ、相談窓口へのアクセス改善とワンストップ化、差別事例の積極的な収集、障がいのある女性や子どもなどに対する複合差別を含む差別の定義の明確化などに速やかに取り組むべきである。

4.誰もが差別を受けることなく安心して生活できる社会づくりに取り組む
 改正法は、連合も参画している内閣府「障害者政策委員会」において「障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見」として取りまとめられたものが法律として実を結んだものである。連合は、引き続き障がい当事者や障がい者団体などと連携し、障がいを理由とする差別を解消し、すべての人が安心して生活できる社会の実現に向けた取り組みを進めていく。

※合理的配慮の提供:例えば、段差がある場合にスロープなどで補助したり、意思を伝え
 合うためにタブレット端末などで意思疎通を行うなど、障がい者からの配慮の求めに積
 極的に向き合い、「できない」と断るのではなく「できる」ことを行うこと。

以 上