事務局長談話

 
2021年03月26日
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.「曖昧な雇用」で働く就業者の保護は喫緊の課題であることを明らかにすべき
 3月26日、政府は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で公表した。関係省庁がガイドライン策定において、初めて連携したことについては一定評価したい。しかし、その内容は従来の考え方をまとめたものにとどまっており、従来の労働関係法令では対象とならない就業者の保護が喫緊の課題となっているという認識を、まず明らかにすべきである。

2.「労働者」概念の見直しと拡充こそ最優先に行うべき
 ガイドラインは、労基法および、労組法上の「労働者」概念と定義に基づき、「雇用」に該当するか否かの判断基準を示している。しかし、この判断基準は1985年の「労働基準研究会報告」をなぞったに過ぎず、35年以上前の考え方を改めて示すことは、狭い労働者概念を固定化することになりかねない。コロナ禍も含めた社会の実態、就業形態の多様化などを踏まえ、「労働者」概念の見直しと拡充こそ最優先に行うべきである。

3.積極的な法的保護の拡充を
 仲介事業者を通じて役務の提供の機会を得るフリーランスが増加している中、市場の公正競争やダンピングを防止するとともに、セーフティネットとしての観点も踏まえ、適正な価格で取引される基盤づくりが重要である。「曖昧な雇用」で働く就業者の保護に関しては、コロナ禍によって、日本のセーフティネットの脆弱性がさらに鮮明になっている。政府は法的保護の拡充に向けた早急な取り組みをすすめるべきである。

4.すべての働く仲間とともに働きやすい社会の構築に向けて取り組む
 連合は、すべての働く者の権利が守られ、安心して働ける社会をめざし、2020年に「『曖昧な雇用』で働く就業者の法的保護に関する連合の考え方」を取りまとめた。また、法的保護の実現のみならず、「曖昧な雇用」で働く就業者とつながる仕組みとして「連合ネットワーク会員」制度を創設し、専用サイト「Wor-Q」を立ち上げ、支援を進めている。「曖昧な雇用」で働く就業者の権利を守るためには、保護の拡充に向けた不断の取り組みが必須である。連合は、契約形態に関わらず、誰もが働きやすい社会の構築に向けて、すべての働く仲間とともに取り組んでいく。

以 上