事務局長談話

 
2021年03月25日
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の改定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.テレワークにおいても労働時間の適正な把握・管理を行うべき
 3月25日、政府は「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を公表した。新たなガイドラインは、「成長戦略実行計画」で「テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化」が定められたことなどを受けて、昨年12月の有識者検討会報告も踏まえ、テレワーク推進の観点から従来のガイドラインを改定したものである。労働者保護の観点から、長時間労働抑制のための労働時間の適正な把握・管理を確実に行う必要があり、テレワークであっても労働基準関係法令が適用されることは周知・徹底すべきである。

2.労働時間の状況を把握する義務の違反には厳正に対処すべき
 新ガイドラインは、労働者の自己申告と客観的事実にもとづく労働時間に著しい乖離がある場合、一義的には補正することとしているが、そもそも使用者には労働時間の状況を把握する義務が課されている。労働者が申告した時間にもとづき、時間外労働の上限規制や賃金の支払いなどを行っていれば足りるとする記述は、使用者の義務を軽視するものであり問題である。連合調査では、99人以下の勤務先で働く労働者の約2割が、勤務先が労働時間管理をしていないと回答しており、こうした使用者の義務違反に対しては厳正に対処することを、新ガイドラインにおいても明確に示すべきである。

3.メリットのみならず、性別による課題などにも留意して運用すべき
 新ガイドラインが強調するテレワークのメリットは、個人の生活実態などにもよるため、普遍的に当てはまるものではない。連合調査を用いた分析では、実施機会自体に雇用形態間・男女間で格差があること、また、子どもがいる女性の場合、労働の負荷に加え、通常時よりも増大した家事・育児などを担っている実態も明らかとなっている。運用にあたっては、テレワーク下でも保育所などを確実に利用できるようにするとともに、パートナーである男性の長時間労働を防止し、育児などへの参画を促進すべきである。

4.適正なテレワークの導入に向けて環境整備に取り組む
 連合は、昨年9月に「テレワーク導入に向けた労働組合としての取り組み方針」を策定し、2021春季生活闘争においても職場の環境整備を具体的要求項目に挙げている。適正なテレワーク導入のためには、労働関係法令を踏まえた上で、長時間労働の未然防止策などの環境整備に向けて労使で協議を重ねることが不可欠である。連合は、構成組織、地方連合会一体となり、適正な環境におけるテレワークの実施に向けて取り組んでいく。

以 上