事務局長談話

 
2021年01月18日
男性の育児休業取得促進策等に係る雇用環境・均等分科会報告書に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

1.個別周知の義務化等は仕事と育児の両立に資するものと期待
 1月18日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長:奥宮京子弁護士)は、報告書「男性の育児休業取得促進策等について」を取りまとめた。事業主による職場環境の整備や労働者への個別周知を含む取得の働きかけの義務化、育児休業の分割取得化等は、男女を問わず仕事と育児の両立に資するものと期待する。加えて、有期契約労働者の取得要件のうち「引き続き雇用された期間が1年以上」の撤廃は、連合が継続して求めてきた内容であり、一歩前進である。

2.新制度は男性が育児のために取得できる選択肢の一つ
 報告書には、育児休業の類型として、主に男性を対象とする、子の出生後8週間のうち4週間まで休業できる新制度の創設も盛り込まれた。取得が出生直後の短期間に固定されることは避けなければならないが、女性に比べて著しく取得が進んでいない男性の育児休業取得促進策として、また、男性の場合は年次有給休暇や配偶者出産休暇等が優先的に利用されている中で、新制度が選択肢の一つとなるものと受け止める。新制度を含めた男性の育児休業取得を促進することで、約5割の女性が出産を機に退職している現状を改善し、雇用継続につなげることが重要である。

3.現行一時的・臨時的な場合に限定されている「休業中の就労」の拡大には懸念
 一方で、新制度に盛り込まれた「休業中の就労」は、新制度に限る旨は明記されたものの、本来は休業を選択する以上、育児に専念できることが望ましく、休業と就労の線引きが曖昧になる、あるいは結果的に育児より仕事の優先を余儀なくされるなどの懸念が残る。条件とされている労使協定の締結と労働者本人の合意がないがしろにされ、仕組みが濫用されないよう、十分な周知と運用の徹底を求める。あわせて、他の休暇・休業制度に波及することのないようにすべきである。

4.だれもが安心して仕事と育児・介護を両立できる社会の実現に向けて
 今後、報告書にもとづいた法律案要綱が雇用環境・均等分科会にて審議された後、第204通常国会に関連法案が提出される見通しである。男性の取得促進にあたっては、単に取得率の向上を目的化することなく、職場の理解と協力が進み、労働者本人が安心して希望する期間を取得できるようにすることが重要である。連合は、丁寧な法案審議が行われるよう国会対応を進めていくとともに、引き続き、だれもが安心して仕事と育児・介護を両立できる社会の実現に向けて、雇用の安定と職場環境の整備をはじめとした取り組みを推進していく。

以 上