事務局長談話

 
2020年03月31日
雇用保険法等改正法案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.国会審議を通じた就業者保護の議論を評価
 本日、参議院本会議において、高年齢者雇用安定法や雇用保険法などの束ね法案である雇用保険法等改正法案が可決・成立した。本法案の審議過程では、衆参の厚生労働委員会において意味ある附帯決議(衆議院:14本・参議院:23本)が付された。特に、高年齢者雇用安定法については、フリーランスや起業などの多様な選択肢が示された一方、雇用によらない働き方に対する就業者保護への懸念について議論が行われ、今後の労働政策審議会への足掛かりとなった点を評価する。

2.雇用情勢の急変を念頭に一般財源の投入など機動的な対応を
 雇用保険の国庫負担について、2017年雇用保険法改正時の附帯決議を反故にし、さらに2年間の引き下げ措置を講じるとした点は遺憾と言わざるを得ない。新型コロナウイルス感染症が今後の雇用情勢を一変させる懸念が強まっていることを踏まえ、政府には一般財源からの資金投入も含めた機動的な対応を求める。また、労災保険については、複数事業所の業務上の負荷を合算して認定することや給付額が合算されることから、速やかに新たな枠組みの導入に向けた準備を進める必要がある。

3.雇用によらない措置の安易な選択を防止する附帯決議を評価
 高年齢者雇用安定法では、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置を講ずることを企業の努力義務とした。附帯決議には、雇用によらない措置を選択した就業者に対しても、通常の労働者と同様の安全配慮義務を行うことなどについて検討する旨が盛り込まれた。また、継続雇用制度と雇用によらない措置を併用する場合も労使合意を要することについて、検討する旨が附帯決議に盛り込まれた。雇用によらない措置の安易な選択に一定の歯止めをかける観点から、限られた審議時間の中でも意味ある附帯決議が付されたことなど、連合フォーラム議員の尽力に敬意を表したい。

4.国会審議を足掛かりに労働政策審議会の議論に全力を尽くす
 法案成立を受けて、今後はそれぞれの法律の政省令や指針に関する議論が行われることとなる。特に、高年齢者雇用安定法における雇用によらない措置や、労災保険における特別加入制度の見直しなどについては、今後の労働政策審議会での議論に委ねられている部分も多い。連合は法施行後の混乱やトラブルを未然に防止しつつ、より実効性のある内容となるよう全力で意見反映に努めていく。

以 上