事務局長談話

 
2020年03月31日
GPIFの第4期中期計画に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.利回りの確保、低金利、市場への影響を考慮した判断と受け止める
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月31日、第4期中期計画(2020年4月~2025年3月)を公表した。経営委員会が次期基本ポートフォリオの株式比率(50%)を据え置くこととしたことは、年金財政上必要となる実質的な利回り(1.7%)を最低限のリスクで確保する必要性や、近年日本をはじめ先進国の政策金利が低水準で推移していること、資産配分の大幅な変更が市場に大きな影響を及ぼすことなどを踏まえた判断と受け止める。

2.基本ポートフォリオで比率が高まる外国資産に対する十分なリスク管理を
 連合は、安全かつ確実な公的年金の積立金運用を堅持すべきであり、過度なリスクをとるべきでないと主張してきた。今回のポートフォリオの見直しにより外国資産の比率が40%から50%に引き上げられ、為替リスクや信用リスク、カントリーリスクなどの拡大が懸念される。また、オルタナティブ資産については客観的な評価の困難さ、選定や管理にかかるコストの高さ、流動性の低さなどの課題があり、公的年金での慎重な取り扱いを求めてきたが、第4期計画では「取り組みを進める」こととされた。被保険者の納得と安心が得られるよう慎重に取り扱うとともに、一層の透明性の確保に取り組むべきである。

3.めまぐるしく変動する市場環境において国民の不安を払拭する対応を
 新型コロナウイルス感染症の影響などによって市場環境はめまぐるしく変動しており、年金積立金に対する国民の不安は高まっている。GPIFは、外国資産の拡大によるリスクや為替・債券市場等への影響を注視し、被保険者が安心できるよう、リスク管理の強化を行うべきである。また、厚生労働省とGPIFは、同計画および次期基本ポートフォリオにより安全かつ確実な運用が行われることを、被保険者に対して分かりやすく丁寧に説明を尽くすべきである。

4.連合は被保険者の立場で安全かつ確実な運用の堅持に取り組む
 年金積立金の原資は働く者が賃金から拠出した保険料であり、将来の年金給付の財源となるものである。連合は社会保障審議会資金運用部会に参画してきたほか、経営委員会に被保険者代表1人を推薦するとともに、年金改革法(2016年)の附帯決議を踏まえ、保険料拠出者である労使の意思が確実に反映されるGPIFのガバナンス体制の確立を求めてきた。しかし、厚生労働省において経営委員の人数について検討すら行われなかったことは遺憾である。連合は、GPIFが被保険者の利益のために安全かつ確実な運用を堅持するよう、引き続き求めていく。

以 上