事務局長談話

 
2020年03月27日
2020年度税制改正関連法の成立についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.税制の抜本改革に向けた議論は深まらず
 3月27日、「所得税法等の一部を改正する法律案」をはじめとする税制改正関連法案が、参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。人口減少・超少子高齢化の進行、貧困の固定化と格差の深刻化、技術革新のさらなる進展など、わが国の社会経済が直面する課題を克服するうえでも、中長期を見据えた社会保障制度・教育制度の構築とそれを支える税制全体の抜本改革は喫緊の課題である。しかし、新型コロナウイルス感染症への各種対応策などの検討が国会審議において優先されるべき状況であることは理解できるものの、税制の抜本改革に向けた議論が十分に深まらないまま成立に至ったことは残念である。

2.緊急経済対策として納税猶予措置などの早急な実施を
 今後検討が進められる新型コロナウイルス感染拡大による景気落ち込みへの緊急経済対策として、生活困窮者への給付などに加え、税制面においては、個人や事業者への納税猶予措置などの早急な実施が求められる。一方で、消費税など個別税目における税率のあり方については、社会保障制度・教育制度などの持続可能性を国民全体で支える観点を踏まえ、中長期を見据えた税制全体の抜本改革に向けた議論の中で検討されるべきである。

3.真に効果的・効率的な低所得者対策として「給付付き税額控除」の導入を
 連合は、軽減税率制度に替わる制度として、真に対策が必要な低所得者に絞った対応が可能となる「給付付き税額控除」の導入を提言してきた。同制度は、マイナンバー制度を活用した適切な所得捕捉の実現を前提としており、低所得層への給付をはじめ、各種経済対策を迅速に実施できる環境の整備にもつながることから、導入に向けた検討・論議を行うべきである。
 また、金融所得に対する課税強化など、所得再分配機能や財源調達機能の回復に向けた重要課題は依然棚上げされたままであり、早急に結論を出すべきである。

4.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組む
 連合は、将来世代への負担の付け回しに歯止めをかけ、国民のくらしと将来の希望を確かなものにすべく、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種対応はもとより、「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けた政府・政党への要請や政府税制調査会での意見反映など、各種取り組みを展開していく。

以 上