事務局長談話

 
2020年02月12日
2020年度診療報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   相原 康伸

1.働き方改革の推進など一定の前進が見られる点は概ね評価できる
 厚生労働省の中央社会保険医療協議会(以下、「中医協」)は2月7日、2020年度診療報酬改定に関する厚生労働大臣からの諮問に対して答申を行った。医療従事者の働き方改革の推進や診療明細書の無料発行などにおいて一定の前進が見られる点は概ね評価できる。

2.働き方改革の加算は医療従事者の負担軽減などに確実に反映すべき
 救急搬送件数が年間2,000件以上の医療機関に対する加算が新設され、救急や周産期をはじめとする病院勤務医の過重労働の緩和が期待される。今後、この加算が医療従事者の負担軽減や処遇改善などに確実に反映されるよう、加算要件に含まれる病院勤務医の負担軽減および処遇改善に資する計画の記載事項のあり方を、連合が参画する審議会等で引き続き検討すべきである。

3.診療明細書をすべての医療機関で無料発行すべき
 すべての医療機関において、自己負担分が公費から給付される患者の求めがあれば診療明細書の発行が義務となる。診療明細書の意義や活用について啓発に強力に取り組むとともに、次回2022年度改定では、全額が公費負担の患者も含めて、診療明細書をすべての医療機関において無料で発行するよう義務化すべきである。

4.医療の機能分化、適切な療養環境と医療アクセスの確保の両立を
 急性期の病棟に関しては、入院基本料の重症度、医療・看護必要度の見直しにより、入院医療の適切な機能分化が期待される。一方、今回の見直しにより看護職員の配置が少なくなり、療養環境の悪化や看護職員の過重労働、望まない配置転換などが起きないよう、各方面の最大限の努力が求められる。また、紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担徴収義務の対象範囲拡大は、外来医療の機能分化促進策の一環と受け止める。同時に、医師や医療機関の少ない地域でも患者に適切な医療アクセスが提供されるようにしなければならない。

5.すべての医療従事者の働き方改革、患者本位の医療の実現に取り組む
 連合は、安心と信頼の医療を実現するため、診療報酬改定にあたり、中医協の支払側各団体と連携し、政府への要請や中医協での意見反映に取り組んできた。連合は引き続き、被保険者、患者、労働者の立場から、構成組織・地方連合会や中医協の支払側各団体と連携し、今回改定の効果について綿密な実態把握と検証を求めるとともに、すべての医療従事者の働き方改革と持続可能な医療保険制度、効率的で良質な患者本位の医療提供体制の実現をめざし取り組みを進めていく。

以 上