事務局長談話

 
2019年12月20日
2020年度診療報酬の改定率決定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 安心の医療提供体制と制度の持続可能性確保を調和させる改定と受け止める
     2020年度の診療報酬の改定率について、12月17日、厚生労働・財務両大臣が合意した。診療報酬は、本体と働き方改革への対応分、薬価・保険医療材料価格をあわせた全体で0.46%の引き下げとされた。誰もが安心して利用できる医療提供体制と医療保険制度の持続可能性確保との調和をはかったものと受け止める。

  2. 本体報酬引き上げ分は働き方改革の推進に取り組む医療機関に配分すべき
     診療報酬本体は0.55%の引き上げがされ、そのうち0.08%が救急病院の勤務医の働き方改革への対応分とされた。その一方、薬価・保険医療材料価格がマイナス1.01%と前回同様、引き下げられることとなった。救急や周産期をはじめとする病院勤務医の過重労働の解消は喫緊の課題であり、働き方改革への対応分を含む本体報酬の引き上げ分は働き方改革に取り組む医療機関に配分するべきである。また、薬価などは、価格引き下げのために予見可能性のない算定ルールの見直しがあってはならず、算定過程の透明性と信頼性を高めるべきであり、政府は医薬品などの安定供給やイノベーションが損なわれないよう十分に対応していかねばならない。

  3. 効率的な医療提供体制の構築による医療費の適正化を
     高齢化と医療技術の進歩により医療費が上昇する中、高齢者医療を含めた現役世代の医療保険の負担は今後一層高まることが見込まれる。減少する現役世代の負担増は限界に近づいており、診療報酬のみならず医療提供体制の効率化を含めた医療費適正化の取り組みが極めて重要である。政府は、医療保険加入者が適切な医療を受けられる体制の確保を前提に、民間医療機関を含めた一体的な地域医療構想の推進に強力に取り組むべきである。

  4. 被保険者、患者、労働者の立場から公正な診療報酬改定の実現に取り組む
     連合は、今般の診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)支払側各団体と連携して、厚生労働大臣への要請や中医協会長への共同意見書の提出などに取り組んできた。今後、中医協で各個別項目に関する点数設定について議論の後、中医協から厚生労働大臣へ答申が行われる予定である。連合は被保険者、患者、労働者の立場から、構成組織および中医協支払側各団体と連携し、引き続き安心と信頼の医療を支える公正な診療報酬の実現に向け取り組みを進め、働く者と家族が安心して暮らしていける社会を構築していく。


以 上