事務局長談話

 
2019年12月04日
会社法の一部を改正する法律案の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 企業統治において一定の改善が期待できる内容と受け止める
     12月4日、参議院本会議において、会社法の一部を改正する法律案(以下、「改正法案」)が、与野党の賛成多数で可決・成立した。改正法案は、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会が2019年1月に採択した「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱」にもとづいており、株主総会に関する手続きの合理化や取締役の報酬などに関する規律の見直しなど、企業統治において一定の前進を見たものと評価できる。

  2. 株主総会資料の電子提供制度の新設や役員報酬の情報開示の充実が盛り込まれる
     改正法案には、要綱案作成段階より連合が求めてきた、株主総会資料の電子提供制度の新設、株主による資料の書面交付請求が盛り込まれるとともに、野党共同会派などの主張により株主提案の拒否条項が一部削除された。改正法案の成立により、株主の権利を確保しつつ、会社と株主の建設的な対話の促進などが期待できる。
     また、取締役の報酬について、個人別の開示は見送られたものの、報酬の決定方針に関する事項や報酬の種類ごとの総額などは、事業報告の項目に盛り込まれ、連合が求めてきた情報開示の充実がはかられたと評価できる。

  3. 社外取締役制度の実効性確保に向けた取り組みが必要
     連合は、社外取締役の設置については是としつつ、法律による一律的な義務付けについては、これまでの課題や効果などを検証・分析したうえでの、慎重な検討を求めてきた。改正法案には、上場会社や非上場の大会社を対象に設置の義務付けが盛り込まれたが、今後は、社外取締役が必要な社内情報を入手できる仕組みの構築をはじめ、その実効性の確保に向けた取り組みが求められる。

  4. 企業の社会的責任の発揮と持続的成長の実現に向けて取り組む
     今後も企業には、法令遵守の徹底や企業統治の強化をはじめ、社会的責任を自覚した行動が求められる。また、労働組合も、企業の重要なステークホルダーとして、積極的に関与する必要がある。連合は、構成組織・単組などへのこうした取り組みへの理解・浸透をはかるとともに、社会の公器たる企業の社会的責任の発揮、持続的な成長の実現に向けて、取り組みを進めていく。


以 上