事務局長談話

 
2019年12月04日
日米貿易協定および日米デジタル貿易協定の国会承認に関する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸


  1. 十分に論議が尽くされたとは言い難い
     12月4日、参議院本会議において、日米貿易協定および日米デジタル貿易協定承認案が、与党などの賛成多数で可決・承認され、協定の発効に向けた国内手続きが完了した。発効後は、新たなルールのもと日米間の貿易が行われることになるが、米国を含むTPPにおける幅広い分野での連携が叶わなかったことは残念である。
     また、国会においても、本協定が及ぼす国民生活やわが国産業への影響、今後の交渉などについて十分な論議が尽くされず、本協定に対する国民の理解促進や合意形成に課題が残ったことは遺憾である。

  2. わが国産業や国民生活への影響を検証すべき
     米国から輸入する農産物についてはTPPで合意した水準を上限とし、関税が撤廃・削減されるが、そのことによるわが国産業や国民生活への影響に関しては、協定発効後も引き続き把握・検証のうえ、必要に応じて対策を講じることが求められる。
     また、日米デジタル貿易協定では日米間のデジタル貿易について、TPPと同等以上の水準のルールが規定されたが、この分野においても同様の検証・対策が必要である。

  3. 政府は今後の具体的な交渉などに関する説明責任を果たすべき
     焦点となっていた、米国による自動車および同部品への追加関税は回避されたものの、日本側が求めていた同関税の撤廃については、撤廃時期などは具体的に規定されず、事実上先送りされた。今後の交渉で同関税が撤廃されるか否かは不透明であり、また、他の分野が新たに交渉対象となる可能性も払拭できず懸念が残る。政府には、説明責任を果たすことが求められる。

  4. 関係組織と引き続き連携し取り組みを進めていく
     連合は、関係する構成組織・地方連合会と連携し、必要に応じて政府に対応を求めていくとともに、国際労働組合総連合(ITUC)などの関係組織と連携をはかりながら、上記の懸念が払拭されるよう取り組みを進めていく。
     また、国際社会において保護主義が台頭する中、WTOの理念である公正・透明・自由な国際経済活動の発展を促すべく、必要な取り組みを求めていく。


以 上