事務局長談話

 
2019年12月04日
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」の成立に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 学校の働き方改革の着実な進展による長時間労働の是正が不可欠
     12月4日、「勤務時間の上限に関するガイドライン」を「指針」として位置づけ法的根拠を持たせることや、「一年単位の変形労働時間制」の導入を可能とすることを盛り込んだ「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決、成立した。本改正案は連合が委員として参画した中教審「学校における働き方改革特別部会」で取りまとめられた答申案に概ね沿った内容と受け止めるものの、学校の働き方改革を着実に進展させ、教員の長時間労働を是正することが不可欠である。

  2. 給特法のあり方について継続的な議論が必要
     連合が求めた「3年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関係法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること」との附帯決議が採択された。教員の時間外労働には労基法37条に基づく割増賃金を支払うことが本来的なあり方である。政府は、継続的に学校の働き方改革の効果検証を行うとともに、3年後に実施される「教員勤務実態調査」の結果に基づいて、給特法のあり方を抜本的に見直すことが必要である。

  3. 「一年単位の変形労働時間制」はあくまでも限定的にすべき
     法改正により、2021年度から、夏休みなどの長期休業期間中などに「休日のまとめ取り(年間5日程度)」を実施するための方策として、地方自治体の判断で「一年単位の変形労働時間制」を導入することが可能となった。しかし、政府が認めているように、教員が年間を通して多忙な状況のままでは、長時間労働を是正する施策にならないことは明らかである。地方自治体が「一年単位の変形労働時間制」を検討する際には、「休日のまとめ取り」が確実に実施できる環境整備を行うとともに、「勤務時間管理を徹底すること」や「繁閑期を明確にすること」などの条件をすべて満たした場合のみ、あくまでも限定的にすべきである。

  4. より質の高い教育の確保に向けた、学校の働き方改革を
     2020年4月以降、新たな学習指導要領の全面実施により、教員の業務負担がさらに増えることが懸念されている。連合は、学校の働き方改革を進める上では、労使協議の徹底など、コミュニケーションの強化・充実が不可欠と考える。連合は引き続き、教員が心身ともに健康に働くことで、子どもたちの学びの質が確保されるよう、(1)すべての学校における客観的な勤務時間管理、(2)地域や保護者などの協力に基づく教員の業務削減、(3)3年後の「教員勤務実態調査」の結果に基づく給特法の抜本的な見直しを求め、教員の長時間労働是正に向けた取り組みを強化していく。


以 上