事務局長談話

 
2019年06月21日
ILO総会「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約採択に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. ハラスメントに特化した初めての国際条約採択を歴史的な成果として大いに評価
     6月21日、国際労働機関(ILO)は、スイス・ジュネーヴで開かれていた第108回総会において、「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約および勧告を賛成多数で採択した。#MeToo運動など、世界各地でハラスメントの根絶が叫ばれる中、ILO創立100周年の記念総会において、ハラスメントに特化した初めての国際条約が採択されたことは、歴史的な成果として大いに評価したい。

  2. 第三者も含めたハラスメント対策、禁止規定などが条約に盛り込まれる
     条約は、勧告で補完された上で、「暴力とハラスメント」を「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす許容しがたい広範な行為」と定義した。また、条約の適用範囲として「契約上の地位にかかわらず働く人々」も対象とし、第三者も含めた具体的な対策を講じることを求めている。一方、加盟国には仕事の世界における暴力とハラスメントを禁止するための国内法令を採択すべきとしている。

  3. ハラスメント対策関連法が、日本政府が賛成票を投じる背景となる
     昨年の総会では後ろ向きな発言に終始し、態度を保留した日本政府だが、今回、条約案に賛成票を投じたことを前向きに受け止める。今回、日本政府が条約案を支持した背景には、本年5月、パワーハラスメントの防止措置義務や、責務規定などが盛り込まれて成立したハラスメント対策関連法、および、条約の支持を求める附帯決議が与野党全会一致で確認されたことにあると認識する。同時に、この間、連合は、メディアへの情報発信や街宣行動など、世論喚起に努めつつ、日本政府への働きかけや国内法の整備を強く求めてきたが、今回の条約採択に向けては、これら一連の行動も寄与したものと考える。

  4. あらゆるハラスメントの根絶をめざして、条約批准とさらなる国内法整備を
     今回採択された条約は、ILOの「新たなる100年」に向けて、暴力とハラスメントのない社会を実現するための第一歩である。
     連合は、日本政府に対し、ILO加盟国の一員として、早期に国会における条約採択の報告・批准と、そのための禁止規定を含めた国内法のさらなる整備を求めつつ、引き続き、あらゆるハラスメントの根絶に向けた取り組みを展開していく。
    以 上