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「認定こども園」の認定基準の策定にあたって地方連合会が取り組むためのてびき


このコーナーの目次


目次

はじめに

 「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(以下、「認定こども園」法という。)が2006年6月に制定されました。
 「認定こども園」とは、就学前の教育と保育と子育て支援を一体的に提供する施設です。母体となる施設には、幼稚園、保育所のほか、国の認可基準を満たしていない認可外保育施設も想定されています。そのため、認定こども園の認定基準は、地方分権の主旨に沿って都道府県がそれぞれ定めるという制度になっています。つまり、都道府県では、それぞれの地域の待機児童や過疎化などの状況を踏まえた認定基準を条例で制定することとなります。
 認定こども園制度は、保護者と園が直接契約することが基本とされ、利用料も園ごとに自由に設定されることとなるため、保護者の選択が重要となります。
 また、幼稚園や保育所等の職員にとっては、従来の幼稚園や保育所等の業務が拡大することや、職員配置基準や調理室など設備基準の一部緩和により、大幅な労働条件の変更が予想されます。
 政府の規制改革・民間開放推進会議などは、「幼保一元化」や「バウチャー制」の導入を通じて、幼稚園や保育所の制度を「規制」とみなした改革を行おうとしています。しかし、子どもの育ちに関わる施設設備や運営などの基準は、安全・安心のために不可欠な重要な制度であり、認定こども園の制度化にあたって十分に留意する必要があります。
 本てびきは、保育及び教育の質や、合理的な利用料の設定、入園児の公正な選考、園の選択に必要な情報の提供など、認定基準に盛り込むべきポイントや運営上の取扱いルールなどについて留意事項を示すことにより、地方連合会及び幼稚園や保育所等の労働組合における取り組みを支援するものです。

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国の「指針」とその意味

 「認定こども園」法では、認定基準は、国の定める「指針」を参酌して都道府県が定めることとされています。ここでいう「参酌」とは、国会答弁によると「いろいろな事情、条件等を考慮に入れて、参照して判断をするということ」とされています。つまり、認定基準をつくる都道府県としては、国の「指針」は参考にすればよい、というものであり、「指針」から逸脱した都道府県基準がつくられても、国は都道府県に対する直接的な指導はできません。
 しかし、国としては、就学前の教育及び児童福祉の観点から望ましい水準を都道府県に示すという性格のものになります。
 言い換えれば、国の「指針」を参考に、都道府県が地域の実情に応じた良質な認定こども園の基準をそれぞれつくることができるわけですから、保護者及び勤労者の立場から、積極的に意見を反映させて、望ましい基準づくりに取り組むことが極めて重要といえます。

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検討の場への参画

 認定基準は、都道府県が条例で定めることとなります。法律の施行日が2006年10月1日であるため、都道府県はそれまでに認定基準に係る条例を定めるために、9月議会で議論が行われることになります。都道府県では、条例案を策定するために、「認定基準条例検討会議」などの設置が予想されます(8月10日現在、北海道、秋田県、千葉県、愛知県、三重県、奈良県で設置されています。)。
 地方連合会では、都道府県における検討の場への参画、都道府県や認定こども園の設置が予想される市町村に対する要請、パブリックコメント等(北海道、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、岐阜県、三重県、大阪府、和歌山県、島根県、徳島県で実施(終了したものも含む。)。)への意見提出、関係議員による都道府県議会での質問などを通して、意見反映に努めることが重要です。(参考1および参考2として、都道府県および市町村に対する要請書のフォームを掲載しています。)

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認定申請を行うにあたっての労使協議の実施

 幼稚園や保育所等が認定こども園の認定を受けることは、開園日数及び開園時間の変更が行われ、子育て支援事業等の業務が付加されることにより、労働条件の変更を伴うことが予想されます。
 「指針」には、「認定こども園は、多様な機能を一体的に提供するため、一人の認定こども園の長を置き、すべての職員の協力を得ながら一体的な管理運営を行わなければならない」ことが明記される見通しです。しかし、認定を受けることによる労働条件変更にあたっての労使協議等を行う必要性について、通知等で示されるかは未定です。
 そのため、認定基準に「認定こども園の認定を受けることにより、母体となる幼稚園や保育所等の業務が大きく変わることが予想されることから、設置者は労使協議や職員との十分な話し合いを踏まえて認定申請及びその運営を行うこと」を明記し、認定要件とすることが重要です。
 併せて、都道府県が認定審査を行う際に、当該施設において労使協議や職員との十分な話し合いが行われたことを確認するよう求めることが重要です。また、都道府県が認定こども園に対して「すべての職員の協力を得ながら一体的な管理運営」を行っていることの年次報告を求め、確認するよう要請することが重要です。

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次世代育成支援「行動計画」への反映

 認定こども園は幼稚園の空き教室を長時間保育の受け入れに充てることなどにより、保育所待機児童の解消にも寄与することが期待されます。また、子育て支援機能を必須とすることで、地域における子育て支援体制の充実も期待されます。一方で、保育所に「保育に欠けない」子の受け入れ枠を設定することにより、「保育に欠ける」子の受け入れを制約することもあり得ます。
 このように、認定こども園は地域の次世代育成支援対策の資源となることから、認定基準をつくる都道府県、認定こども園が設置される市町村に対して、次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」を改定し、認定こども園を明確に位置づけるよう要請することが重要です。

「認定こども園」の認定区分と類型の関係

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I.都道府県の認定基準の策定における留意事項

(1)認定の類型(認定基準策定上の要請)

 「認定こども園」法では、認定類型が(ア)幼稚園と保育所等が一体的に設置されるもの(法律では、幼稚園+保育所、幼稚園+認可外保育施設の両ケースを合わせて「幼保連携施設」といいます。)と、(イ)幼稚園、保育所、認可外保育施設が機能を拡充するものの2種類に分けられています。
 その上で、「指針」では、母体となる施設によって次の類型に分けられています。

(ア)幼稚園と保育所等が一体的に設置されるもの(幼保連携施設)

  • a 幼保連携型(幼稚園と保育所で構成)
  • b 幼稚園型(幼稚園と認可外保育施設で構成)

(イ)幼稚園又は保育所等が機能を拡充するもの

  • a 幼稚園型(幼稚園が「保育に欠ける」子も受け入れる施設)
  • b 保育所型(保育所が「保育に欠けない」子も受け入れる施設)
  • c 地方裁量型(認可外保育施設が母体となる施設)
<幼保連携型の留意点>
 (ア)のaについては、幼稚園と保育所両方の認可を得ているため、質の確保の点からは比較的望ましい類型といえます。しかし、国は、幼稚園または保育所が保育所または幼稚園の認可を受けて、この(ア)のa類型の認定を受けやすくするために、面積基準の緩和や調理室を必置としないこと、職員の配置基準などの認可上の特例措置を設けることとしています(別途省令改正が行われる予定)。
 パターン1では、「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子がそれぞれ保育所と幼稚園等に別々に在籍することとされ、短時間利用児と長時間利用児に共通の4時間程度の利用時間(「共通利用時間」)に連携してクラス編制が行われなければ、全く別の施設に属していることと変わりはなくなります。
 しかも、「指針」では、(ア)の幼保連携施設は、教育及び保育の適切な提供が可能であり、移動時の安全が確保されれば、幼稚園と保育所等が必ずしも隣接していなくてもよいとされています。
 そのため、パターン1の認定要件について、「認定こども園を構成する幼稚園及び保育所の子どもが日常的に交流を行える体制であること」など、具体的な連携体制を認定基準に明記することが重要です。また、物理的に離れた2つの施設を1つのクラス編制とし、1人のクラス担任を配置するというような非現実的な認定が行われないようチェックが必要です。
  • ※過疎地域などで、幼稚園や保育所がそれぞれ単独で運営することが困難な状況にあるため、幼保連携型認定こども園の認可を受けることにより、緩和された職員配置基準の適用を受けて施設を存続させる必要がある場合など、地域の実情に応じた検討が必要となる場合も考えられます。
 パターン2では、3歳から就学前までの「保育に欠ける」子は幼稚園に在籍することとされ、保育所に必要な保育室の面積や調理室の確保がないまま幼稚園で保育所の保育が合法的に行えることとなります。しかも「保育に欠ける」子にも幼稚園の利用料が適用される(市町村によっては就園奨励費補助が支給される)こととなり、低所得者の利用が困難になる場合も想定されます。
 そのため、パターン2の認定は、幼稚園定員に空きが多い、または、0〜2歳の「保育に欠ける」子の受け入れを増やす場合に限って適用するよう、チェックが必要です。また、3歳から就学前の「保育に欠ける」子が実際に保育を受ける場が、児童福祉施設最低基準の施設基準を満たしていることを確認することが重要です。
<幼稚園型の留意点>
 幼稚園型には、認可外保育施設と連携する((ア)b)か、幼稚園単独で「保育に欠ける」子を受け入れる((イ)a)かで認定の類型が変わります。幼稚園が0〜2歳の子どもを受け入れる場合は、認可外保育施設を併設して(ア)bの認定を受けなければなりません。
<保育所型の留意点>
 保育所型は、保育所に「保育に欠けない」子を受け入れることになります。つまり、従来の保育所としての認可定員を、「保育に欠けない」子枠の分だけ減員して、認可の変更を行うこととなります。そのため、保育所待機児童のいる地域では保育所が保育所型認定こども園となることによって、現状以上に待機児童数が増えないよう十分留意することが重要です。
<地方裁量型の留意点>
 地方裁量型は、幼稚園または保育所の認可を持たない経営主体が、都道府県の認定を受けるものです。認可外保育施設が認定申請を行う場合が想定されます。認可外保育施設は国の認可を得ていないものであり、その施設の態様はさまざまです。認定こども園の認定基準は、認可外保育施設が一定の基準を満たしているとして都道府県がいわばお墨付きを与える(認定する)ものであり、極めて重要な意味をもちます。また、認定にあたっては、申請に係る施設の実態を十分に把握することが必要です。

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(2)職員配置(認定基準策定上の要請、実施上の要請)

 「指針」では、認定こども園は、共通利用時間については、幼稚園のように「満3歳以上の子どもについて学級を編制し、各学級ごとに少なくとも一人の職員(学級担任)に担当させ」ることとされています。しかし、国の「指針」案に合わせて示された資料によると、「一学級の子どもの数」である35人を大幅に上回る子どもでクラスを編制しなければならないケースが考えられ、クラスの運営に支障を来すことが予想されます。
 そのため、認定基準においては、職員配置について、35人を単位とするクラス担任を確実に配置できる基準とすることが重要です。

  • 例:文部科学省と厚生労働省が都道府県に示した職員数の算定方法は、年齢別および利用時間別に子どもの数を配置基準で除して小数点第1位まで求め(小数点第2位以下切り捨て)、各々を合計してた後に小数点以下を四捨五入するものです。これによると、例えば、クラスを構成する子どもの数が87人でも、必要配置数は2人となります。
例:文部科学省と厚生労働省が都道府県に示した職員数の算定方法
3〜5歳短時間利用児 73人×1/35 2.0人(小数点第2位以下切り捨て)
3歳長時間利用児 3人×1/20 0.1人(小数点第2位以下切り捨て)
4・5歳長時間利用児 11人×1/30 0.3人(小数点第2位以下切り捨て)
計(必要配置数)   2人(小数点以下四捨五入)

 また、現在多くの保育所では、自治体の努力により、保育士の配置基準を上回る職員を置いて、充実した保育の提供を行っています。そのため、保育士の配置基準についても、「児童福祉施設最低基準」で定める配置基準を下回ることがない計算方法とすることが重要です。

参考:保育所職員配置数(児童福祉施設最低基準第1条)
0歳児 児童3人につき1人
1〜2歳児 児童6人につき1人
3歳児 児童20人につき1人
4〜5歳児 児童30人につき1人

 なお、一時保育や相談、親子登園などの「子育て支援事業」については、「指針」では専門の職員の配置基準などは定められない見通しです。そのため、認定基準において「指針」を上回る職員配置基準を定めるとともに、相談業務、病後児保育など子育て支援事業の内容に応じた専門職員の配置を求めていくことが重要です。

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(3)職員資格(認定基準策定上の要請)

 「指針」では、0〜2歳児については保育士資格を有する者が従事すること、3歳から就学前の児童については、幼稚園教諭免許と保育士資格を併有することが望ましく、学級担任は幼稚園教員免許を有すること、長時間利用児に対しては保育士資格を有することが原則とされています。
 なお、学級担任または長時間利用児の保育に従事する者について、上記原則の免許や資格を有しない者であっても、「意欲、適性及び能力等を考慮して適当と認められる者を」、その者が本来有すべき免許または資格の「取得に向けた努力を行っている場合に限り」従事できることとされています。しかし、これらの判断基準は現在のところ具体的には示されていません。
 そのため、認定基準においては、地方裁量型を含めて「指針」の内容が確保されるよう、求めていくとともに、本来有すべき免許又は資格を有していない者を学級担任や長時間利用児の保育に従事できることとする場合の判断基準を明記することが重要です。
 認定こども園の長については、「指針」は「管理・運用を行う能力を有しなければならない」としているだけで、その適格性の判断基準は示していません。そのため、認定基準においては、認定こども園の長としての適格性について次のような観点で判断することを明記することが重要です。

  • ア 次のいずれかに該当すること
    • a 教諭免許、児童福祉司、保育士等の資格を有していること
    • b 一定期間以上学校、児童福祉施設等における職務を経験していること
    • c 大学等において教育、保育、心理学等の課程を履修しているなど、教育・児童福祉に関する識見を有すること
  • イ 禁固以上の刑に処せられた者でないこと
  • ウ 当該認定こども園以外の業務を兼務することなく、管理運営に専念できること

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(4)施設設備

[1]建物・運動場等の位置(認定基準策定上の要請)

 幼稚園と保育所等が一体的に設置される幼保連携型および幼稚園型(幼稚園+認可外保育施設)の認定こども園について、「指針」では、教育及び保育の適切な提供が可能であり、移動時の安全が確保されれば、幼稚園と保育所等が必ずしも隣接していなくてもよいとされています。

 しかし、両施設があまりにも離れていれば、教育及び保育と子育て支援を総合的に提供する機能を十分に果たせなくなるおそれがあります。また、子どもが合同活動の度に教育または保育の時間を、本来必要のない移動時間に充てることになる、職員が移動中に保育者の数が一時的に欠けるといった問題を生ずるおそれもあります。
 そのため、認定基準においては、幼保連携施設の認定基準について、地域の実情に応じて、幼稚園と保育所等の距離や移動に要する時間の基準を明記することが重要です。

  • ※過疎地域などで、幼稚園や保育所がそれぞれ単独で運営することが困難な状況にあるため、幼保連携施設としての認可を受けることにより、緩和された職員配置基準の適用を受けて施設を存続させる必要がある場合など、両施設の距離、移動所要時間などについて、地域の実情に応じた検討が必要となる場合も考えられます。

[2]保育室または遊戯室の面積(認定基準策定上の要請)

 「指針」では、保育所型以外の認定こども園にあっては、幼稚園設置基準で定める園舎面積(1学級の場合180m2)を満たしていれば、満2歳以上の子ども1人につき1.98m2以上である必要はないとされています。この場合、施設全体としては面積基準を満たしていても、専ら子どもの保育に充てられる居室の面積が十分に確保されない場合も想定されます。
 そのため、認定基準においては、すべての認定こども園について、実際に保育を提供する場で児童福祉施設最低基準で定める「保育室又は遊戯室」の面積が確保されるよう、基準を明記することが重要です。

[3]屋外遊戯場(認定基準策定上の要請)

 「屋外遊戯場の面積」について、「指針」では、幼稚園型以外の認定こども園にあっては、児童福祉施設最低基準で定める面積を満たしていれば、3歳以上の子どもについて幼稚園設置基準で定める「運動場」の面積を満たす必要はないとされています。しかし、教育の適切な提供のため、認定こども園においては原則として幼稚園の「運動場」面積基準を満たすべきです。
 特に、幼稚園が保育所の認可を取得し幼保連携型認定こども園となる場合または幼稚園と保育所が幼保連携型認定こども園となる場合にあっては、単独の幼稚園として確保している「運動場」を縮小することを認めないよう、幼稚園型認定こども園と同じ「運動場」の面積基準を適用することが重要です。

 また、運動場の面積を複数の用地の合算により満たすことができる場合については、次の要件を課すことが重要です。

  • ア 行事等における全員一斉の活動が行える場所を含むこと。
  • イ 子どもが安全に利用できる場所であること。

 なお、専用の運動場を持たない認定こども園を認める場合については、次の要件を課すことが重要です。

  • ア 公園など代替施設までの移動を含め子どもの安全が確保できること。
  • イ 本来幼稚園が有すべき運動場の面積が確保できること。
  • ウ 公園を屋外遊戯場の代わりに利用する場合は、公共施設を占用することになるため、一般の利用者に迷惑をかけずに必要な場所が確保できること。
  • ※認定こども園は、幼稚園教育要領で定める教育目標を達成することが認定こども園法で認定要件とされているため、連合はすべての類型に対して、原則として幼稚園設置基準で定める「運動場」面積を確保すべきとの考え方をとっています。しかし、保育所待機児童の多い地域などで、運動場面積の確保が困難な場合は、児童福祉施設最低基準で定める「屋外遊戯場」面積を満たすことで足ることととするなど、地域の実情に応じた検討が必要となる場合も考えられます。

[4]調理室(認定基準策定上の要請)

 「食事の提供」について、「指針」では、保育所型以外の認定こども園にあっては、一定の条件の下、満3歳以上の子どもに対する食事については、外部搬入によって提供することができるとされています。
 一定の条件としては、a.衛生面や栄養面等業務上必要な注意を果たし得るような体制等が確保できている、b.栄養士による必要な配慮が行われる、c.受託業者が調理業務を適切に遂行できる能力を有する、d.年齢や健康状態等に応じた食事の提供やアレルギー、アトピー等への配慮などがとれる、e.食育に関する計画に基づき食事を提供するよう努めることなどが掲げられています。
 外部搬入には上記条件のような課題が多くあります。そのため、認定基準においては、0〜2歳児と合わせて園全体で自園調理とすべきです。
 特に、保育所が幼稚園の認可を取得し幼保連携型認定こども園となる場合または幼稚園と保育所が幼保連携型認定こども園となる場合にあっては、単独の保育所として確保している調理員の減員などの調理体制を縮小することを認めないよう、保育所型認定こども園同様に、すべての年齢の子どもについて自園調理とすることが重要です。

 2005年度に行われた総合施設モデル事業の結果では、外部搬入を行った園の中に、食事の大きさや味の濃さなどで年齢に不相応な例が見られました。そのため、やむなく一部外部搬入を認める場合には、保護者がチェックし改善を求められる仕組みを確保することを認定要件に盛り込むことが重要です。

幼稚園および保育所が幼保連携型認定こども園となる場合のパターン

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(5)教育・保育の内容(認定基準策定上の要請、実施上の要請)

 認定こども園の教育及び保育の内容は、「指針」で、「幼稚園指導要領及び保育所保育指針に基づかなければならない」とされています。また、併せて子育て支援機能をもつことになりますが、職員の配置については、幼稚園と保育所の配置基準を基本としつつ、むしろ配置基準を緩める取扱いがされる見通しで、子育て支援機能についての職員配置は想定されていません。
 そのため、認定基準においては、子育て支援をはじめ、家庭での児童虐待への対応などにあたって、カウンセラー、地域の子育て支援センターや児童相談所など専門家や関係機関との連携体制がとれることを、認定要件とすることが重要です。
 また、「指針」では、小学校教育との連携を図るため、「教育及び保育の内容の工夫」や「質の向上」を図ることが求められています。このことが早期教育の実施につながることがないよう監視が必要です。
 小学校教育との連携のためには、認定基準において、すべての類型の認定こども園が児童の育ちの記録(指導要録や児童票等)を作成し、その写しを小学校に送付することを認定要件とすることが重要です。

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(6)保育者の資質向上等

[1]時間の確保の方法(認定基準策定上の要請、実施上の要請)

 教育及び保育の質の確保・向上を図るために必要な時間の確保の方法として、「指針」では、「非常勤職員の配置」が例示されています。時間の確保に必要なのは職員の増員であり、その雇用形態については「非常勤職員」であることが望ましいとは言えず、子どもの立場や安定した運営体制のためには常勤職員の増員が望ましいと考えます。そのため、認定基準においては、必要な時間を確保する方法として「非常勤職員の配置」ではなく「職員の増員」を明記するとともに、認定こども園に対して「職員の増員」を求めていくことが重要です。

[2]研修機会の確保(認定基準策定上の要請)

 職員の研修機会の確保について、「指針」では、「勤務体制の組み立て等に配慮すること」が留意事項として明示されています。認定こども園の長及び職員は、母体となる幼稚園及び保育所等の業務に加え、保育又は教育に関する業務及び子育て支援に関する業務を担うことが求められます。その上、虐待が疑われる子どもの通報義務が適切に遂行されることが強く求められています。このような多彩な業務を担うために職員の研修は不可欠です。
 そのため、認定基準において、「職員および長それぞれに必要な研修の機会を計画的に提供する体制を確保すること」を認定要件とすることが重要です。認定こども園の長については、認定こども園は就学前の子どもの教育及び保育と子育て支援の総合的な提供を行う施設の責任者として必要な知識や能力を身につけるため、「定期的に研修を受けること」を認定要件とすることが重要です。

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(7)子育て支援(認定基準策定上の要請、指導)

 認定こども園に求められる子育て支援事業の具体的な内容について、政府は、親子の集いの広場事業、教育・保育相談事業、育児支援家庭訪問事業、一時保育事業、地域の子育て支援に関する情報提供・紹介事業、子育てサークル・子育てボランティアの育成支援事業が含まれると説明しています。
 しかし、法令や「指針」には、これらの事業のうちいくつ以上の事業を実施しなければ認定されないといった基準は示されていないため、例えば週1日だけ相談日を設けるだけでも認定される可能性があります。
 そのため、認定基準においては、地域の実情に応じて、必須とすべき子育て支援事業の内容を明記することが重要です。なお、都道府県が必須とすべき子育て支援事業、こども園が行おうとする子育て支援事業の選定にあたっては、それぞれ地域のニーズを的確に把握して決めることが重要です。

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(8)管理運営等

[1]情報公開(認定基準策定上の要請、実施上の要請)

 認定こども園においては、園と保護者の間での直接契約が基本とされます(認定こども園を構成する公立保育所については、現行どおり市町村が申請を受け付け、入所する子どもを選考し、利用料を決めることができます。)。
 保護者が子どもを入園させる認定こども園を選ぶためには、園に関する様々な情報が開示されている必要があります。そのため、認定基準に少なくとも次に掲げる内容を公表する事項として定め、都道府県、市町村、当該認定こども園において公表することが必要です。

  • a 園の理念
  • b 施設設備の規模及び構造(園舎・保育室等の面積、運動場等の面積、調理室の態勢を含む。)
  • c 安全・衛生の確保に関する事項
  • d 利用料
  • e 入園児の選考基準(「欠ける」「欠けない」の判断基準を含む。)
  • f 職員数(常勤、非常勤、有資格者の割合を含む。)及びその社会保険の適用関係
  • g 認定更新回数、変更届出の内容、学校教育法・児童福祉法等に基づく命令の規定に違反した内容及び認定取消し歴
  • h 教育・保育活動、運営・利用状況に関する定期的な自己評価や第三者評価の結果

[2]補償体制(認定基準策定上の要請)

 補償の体制の整備に関して、認定基準において、すべて類型の認定こども園について、「日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度又は民間保険への加入」を認定要件とすることが重要です。

(9)市町村の意見反映や関与の仕組みの確保(認定基準策定上の要請)

 保育所・幼稚園は、広域施設ではなく、市町村単位、あるいはさらに小さな単位の地域における固有の状況や需要動向に応じて運用されていくべきものです。したがって、都道府県の認定制度やその運用にあたって市町村が関与する仕組みが必要となります。
 そのため、都道府県の認定基準条例に、「都道府県は、認定基準の策定及び見直し並びに個別の認定にあたって、市町村と協議を行う」、「市町村は、必要な場合には、都道府県に通知した上で、認定こども園に立ち入り調査することができる」旨を明記することが重要です。

II.都道府県における判断基準や法施行体制に関する留意事項

(1)利用料(実施上の要請)

 「保育に欠ける」子が入る認可保育所は、私立も含めて市町村が料金を決めて、納付先も市町村です。一方、「保育に欠けない」子が入る幼稚園では、各園が利用料を決め、保護者はそれぞれ園に納付します。
 認定こども園は「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子の双方が入園することになるため、料金決定と納付方法は幼稚園の方法に一本化し、園が決めて、保護者が園に直接払う仕組みとなります。

保育所利用料の流れ

 しかし、認定こども園を構成する保育所に「保育に欠ける」子が入園する場合は、「保育サービスの提供に要した費用が家計に与える影響を考慮して」園が所得階層に応じた段階利用料を設定することとされ、市町村には変更命令を出す権限が与えられます。
 しかし、同じ市町村内に存在する単独の保育所の利用料と、認定こども園を構成する保育所の利用料が異なることは、それが合理的な理由であれば問題はないとされます。また、一つの認定こども園に通う「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子の利用料の差についても、園の裁量とされます。
 つまり、認定こども園は、「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子の間の均衡と、他の保育所との均衡を考慮して、利用料を決定しなければなりません。そのため、保育所間で利用料の差が生じることが予想されます。幼稚園または保育所等が認定こども園となることによって、利用料体系が変わり、園に在籍中に利用料が高くなることも考えられます。
 そのため、市町村に対して、「保育所及び認定こども園を構成する保育所の利用料の変更命令の判断基準を明確にするよう求めること」と、「園に在籍中の子どもについては、認定こども園となることによる利用料の引き上げを行わないこと」を求めることが重要です。

利用料の設定

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(2)入園児の選考(実施上の要請)

 「保育に欠ける」子が入る保育所は、市町村が入所申請の受付け、あるいは各保育所が受付代行を行うことができます。一方、「保育に欠けない」子が入る幼稚園は、各園が入所申請を受け付け、入園児の選考を行います。
 認定こども園は「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子の双方が入園することになるため、入所申請の受付と選考は幼稚園の方法に一本化し、基本的に園で受付け、園が選考する仕組みとなります。
 具体的には、「保育に欠ける」子として申し込みがあった場合、園はその書類を市町村に送付し、就労状況等を判定し、市町村が「保育に欠ける」子に該当すると認めるときは、そのことを園に通知します。通知を受けた園は、その中から「保育に欠ける」子枠定員分の子どもを「公正な方法」で選考することになります。
 選考については、従来から透明性や納得性に疑問が投げかけられ、裁判に至ったケースもあります。そのため、各認定こども園において、具体的な選考方法や選考基準をあらかじめ公表することが極めて重要です。
 特に、認定こども園法で配慮義務が盛り込まれている母子家庭の子どもと虐待児に加えて、障害児等の受け入れの判断方法や判断基準については都道府県が定め、各認定こども園においてあらかじめ公表することが必要です。
 また、幼稚園型や地方裁量型にも「保育に欠ける」子と「保育に欠けない」子の枠が設けられます。この場合、保護者の就労状況などの判断は園において適宜判断されるとされ、国は判断基準を示し、取扱いを徹底するといった指導は行わない見通しです。
 しかし、自宅や通勤経路に幼稚園型しかなく、保育所よりは利用料が高いことを覚悟の上で子どもを通わせたいケースもある。そのため、幼稚園型や地方裁量型の認定こども園において適切に「保育に欠ける」ことの判断がされるよう、市町村が判断基準を定め、園を指導するよう求めることが必要です。

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(3)幼稚園及び保育所等に関する窓口事務の一元的な取扱い(実施上の要請)

 幼稚園と保育所等の認可・監督権者については、設置主体(公立・私立)によって都道府県教育委員会や都道府県知事(指定都市長、中核市長)に分かれています。また、同じ知事権限であっても、福祉部局(保育所等)と総務部局(私学)と、担当部局は大きくいって3つに分かれています。
 認定こども園に関しては、認可や認定、補助金、入園の申請について、都道府県及び市町村における窓口の一本化が図られるよう、国が促していくとしています。
 特に、「保育に欠ける」子については、幼保連携型や保育所型の認定こども園の選考に漏れた場合に、他の認定こども園や保育所への申し込みが必要となる可能性があります。

「保育に欠ける」子の入園までの流れ

 そのため、都道府県及び市町村において、単独の幼稚園及び保育所、子育て支援事業を含めた申請や相談の窓口一本化を図るよう求めることが重要です。

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(4)苦情処理体制の確立(実施上の要請)

 認定こども園では、直接契約が基本とされ、実際のサービス内容と情報開示内容に差がある、選考が納得いかないといった苦情を処理する体制が不可欠です。しかし、苦情処理体制については、法律に規定はなく、「指針」でも示されていません。
 苦情処理については、一次的には園が説明責任を負うものとしても、認定権者である都道府県が二次的な機能を持つことが必要です。
 保育所を含む福祉サービスについて、社会福祉法により都道府県社会福祉協議会に設置されている「運営適正化委員会」などを活用し、都道府県に苦情処理体制をつくるとともに、利用者にとって身近な市町村に、第三者機関などによる苦情処理体制を整備するよう求めることが重要です。

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(5)予算・職員の確保・増強(実施上の要請)

 認定こども園は、就学前の教育、保育、子育て支援を一体的に提供する施設ですが、その母体となる施設によって補助金等の適用は異なります。幼稚園と保育所双方の認可を得た幼保連携型は双方の補助金等が入りますが、幼稚園型と保育所型はそれぞれの補助金のみ、地方裁量型は自治体の一般財源による補助が期待されるのみです。幼稚園型、保育所型、地方裁量型では、提供するサービスを拡充するためには、利用料を高くするか、サービスの質を下げることで対応せざるを得ません。
 また、職員の配置基準は、前述のとおり、幼保連携型では幼稚園と保育所の基準を合わせて計算することにより、従来より職員一人当たりの子どもの数を増やすことができます。また、カウンセラーなどの専門職員の配置に関する基準も、財政措置もありません。
 保育所では、国の配置基準を上回る職員を、一般財源で配置して、より充実した保育環境を整備する努力を、多くの自治体がしています。このような中で、配置基準を低下させることで、自治体がサービス水準の切り下げに踏み切ることが危惧されます。
 次世代育成支援対策の観点から、子育て支援環境の充実が求められていることを踏まえ、幼稚園、保育所、子育て支援事業に係る予算の確保、拡充を強く求めていくことが重要です。

以上

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