4時間目 アルバイトをはじめる前に

知っておきたい働くときのルール

働く条件は、書面で明示されてる

働くことが決まったら会社(使用者)は労働者(アルバイトも含む)に働く条件を書面(労働条件通知書)で明示することが決められています。書面の条件が求人票・求人広告や募集要項と違っていないか、確認しましょう。

労働条件通知書(例)

働くことが決まったら、書面をもらって労働条件を確認し、きちんと保管しておきましょう。

会社には「就業規則」がある

学校に校則があるように、会社にも規則があります。これを「就業規則」といいます。就業規則には、

  • 働く時間、休憩時間、休日・休暇のこと
  • 賃金に関すること(金額、計算方法、支払日など)
  • 退職に関すること

など、労働条件や会社のルールが記載されています。

就業規則は10人以上の労働者がいる会社は必ず作成し、掲示、書面の交付などの方法で労働者に周知しなければなりません。
賞与(ボーナス)や退職金制度は、必ずあるものではなく、会社により異なります。ある場合には、必ず就業規則に記載しないといけません。

就業規則(労働時間、休憩時間)
給料の一部から社会保険料や税金などが引かれる

給料は全額支払われますが、法律で決められた社会保険料や税金は引かれます。

法律で決められた社会保険料や税金

また、賃金の支払いには5つのルールがあります。

賃金支払いの決まり

会社は賃金を、
通貨で 直接労働者に 全額を 毎月1回以上 一定期日に
払わないといけない

遅刻した時間分の賃金はカットされる

遅刻した時間分の賃金がカットされるのはやむを得ません。ただし、遅刻をした罰として罰金(減額処分)を課す場合は、就業規則の規定にしたがって適正で妥当な範囲で行わなければなりません。

「バイト中に割ってしまったお皿代は、
給料から天引き」と言われた場合は?

弁償費用などを給料から一方的に差し引くことはできません。わざと割ったのでないなら、労働者が必ずしも弁償する必要がなく、事業運営上のリスクとして会社が一定程度は負担するものです。

時給には最低賃金がある

会社が労働者に支払う賃金の最低限度額は決められています(=最低賃金)。パート・アルバイトを含むすべての労働者の賃金は、この最低賃金を下回ってはいけません。最低賃金(時給)は都道府県ごとに異なり、毎年10月頃に改定されます。

働く時間、休憩、休日は決められている

パートやアルバイトでも、働く時間や休憩、休日には決まりがあります。

原則、1日8時間、1週40時間
超えてはいけません。
これを超えた場合は、
時間外割増賃金(割増賃金率25%以上)が
支払われます。

満18歳未満の者を働かせるときの注意点
  • 深夜業の禁止(午後10時から午前5時までの間に働かせてはいけない)
  • 時間外労働・休日労働の禁止
  • 証明書の備え付け(満18歳に満たない者の年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない)

1日の労働時間が
6時間を超える場合は 45分以上
8時間を超える場合は 60分以上

の休憩が必要です。

休憩時間の注意点

休憩時間は労働時間の途中に与えなければいけません。また、この時間は仕事から離れて労働者が自由に使うことができる時間です。

1週間に1日または4週間を通じて
4日
の休日が必要です。
休日に働いた場合は、休日割増賃金
(割増賃金率35%以上)が支払われます。

割増賃金とは

時間外や休日、深夜に働かせた場合は、法律で定められた割増賃金の支払いが必要になります。
:時給800円で働いている人が1日8時間を超えて働いたときの時間給は、800円×1.25(割増賃金)=1,000円 になります。

(割増賃金率)
・時間外労働:25%以上
・休日労働:35%以上
・深夜労働:25%以上
パート、アルバイトでも有給休暇が取れる

有給休暇は、労働者の心身のリフレッシュを目的とした、法律で決められた休暇のことです。所定労働日に賃金をもらいながら休むことができ、要件を満たせば、正社員だけでなく週1のパートやアルバイトも取得できます。

有給を付与する要件

6カ月継続勤務しているかつ全労働日の8割以上出勤している

取得方法

労働者から、事前に取得する日を指定して請求
「○月○日、有休で休みます」

※ただし、会社の正常な運営を妨げる場合は、会社は別の日に休暇を変更させることができます。

1日単位での取得
 会社によっては半日単位や時間単位の取得も認めています

残った有休は、翌年に限って繰り越し可能

会社が反対しても労働者には退職する権利がある

会社が反対しても、労働者には退職する権利があります。個人的な事情で労働者から辞めることを申し出ることを、自己都合退職といいます。

自己都合退職のきまり
就業規則や労働契約書などのルールに従い申し出る
(例)「少なくとも1カ月前には申し出ること」など
ただし、「会社の許可なく退職できない」「半年前に申し出なければ退職できない」など、退職する自由を不当に制限するルールを設ける会社もあるので、悩んだら相談窓口や専門家に相談しましょう。
少なくとも14日前には申し出ること
退職の申し出から2週間経過すると労働契約は終了(民法第627条)。
こんな退職はダメ!

・突然「明日辞めます!」と伝える
・アルバイトだから勝手に辞めた

会社都合で、簡単に解雇はできない

使用者が一方的に労働者を辞めさせることを解雇といいます。

解雇のきまり
  • 客観的に合理的な理由や、社会通念上相当な理由がある
  • 就業規則等に規定されていること
  • 法律で禁止された解雇でないこと(業務上のケガや休業期間中およびその後30日間の解雇、妊娠や出産を理由とした解雇 など)
  • 解雇の手続きが必要(30日以上前に予告、もしくは30日分以上の解雇予告手当)
こんな解雇はダメ!
  • 退職を強要され、退職届を書くまで帰らせてもらえない
  • 退職届を“自己都合”で出すように言われた
「次の契約を更新しません」と言われた場合

何度も更新していたのに、突然更新を拒否されることを雇止めといいます。その場合は労働条件通知書の内容を確認し、理由を書面でもらいましょう。また、働き続けたいのであれば、その意思を伝えておきましょう。

アルバイトでも仕事のキホンは忘れずに!

笑顔であいさつ 時間や約束を守る
仕事のホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)

『働くみんなにスターターBOOK』でも
チェックしてみよう!

TOPへ