- (1)グローバル化する経済に対する公正なガバナンスの確保に向け、国連をはじめとする国際機関やG20などの政府間会合において実効性ある経済・金融、労働政策を策定する。
①雇用・労働問題をG20議論の中心に据え、L20、B20との協議を常設化するなど社会的パートナーとの対話を促進する。また、成長戦略と雇用政策の一貫性を担保する観点から、雇用労働大臣・財務大臣合同会合が継続開催されるよう準備会合などで働きかける。
②APEC(アジア太平洋経済協力)、ASEM(アジア欧州会合)などの政府間会合やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、ADB(アジア開発銀行)などの国際金融機関において社会対話が促進され、グローバル・ジョブズ・パクト(注1)の原則に基づきディーセント・ワーク・アジェンダ(注2)が推進されるよう働きかける。
- (2)WTO(世界貿易機関)を中心とした多角的自由貿易体制や二国間および地域内のFTA/EPAに労働条項・環境条項を組み込むことにより、公正で持続可能なものとする。(「産業政策」参照)
- (3)TPP11や日EU経済連携協定において、労働条項・環境条項が盛り込まれ、とりわけ労働条項ではILO中核的労働基準における権利の維持が謳われているが、これらの実効性を担保する体制づくりを行う。
- (4)国際金融機関が実施する各種事業において、中核的労働基準が遵守されるメカニズムを構築する。
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①IMFが融資を行う場合、当該国労働組合と事前協議を行い、当該国政府に対しても当該労働組合との事前協議を義務づける
②世銀グループやADBなどの各国際開発金融機関が行うプログラム/プロジェクトについて、入札を希望する企業に対しては中核的労働基準の遵守を義務づける。また、監視メカニズムを設け、労働組合を含むステークホルダーと共同で雇用状況・労使関係等への影響の調査を行う。
③世銀グループは、2018年に発効した新たなセーフガード政策である「環境・社会フレームワーク」に規定されている労働者の保護が確実に実施されるよう、モニタリングに労働組合を関与させる。
- (注1)グローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)~ 2009年のILO総会で採択された文書。雇用を中心とした経済回復に向けて、政労使が取り組むべき基本原則を示している。
- (注2)ディーセント・ワーク・アジェンダ~ ディーセント・ワークの実現に向けた取組み課題。具体的には、4つの戦略目標(①仕事の創出、②仕事における権利の保障、③社会的保護の拡充、④社会対話の促進)、および、横断的目標としてのジェンダー平等の推進を通じて実現することとされている。