6.民主主義の基盤強化と国民の権利保障|行政・司法制度改革

2-22-1.政府は、生活と雇用の安定・向上に責任を持ち、労働組合も参加した平等で公正・透明かつ効率的な国民生活の維持・向上につながる行政改革、関係法人改革を推進する。

  1. (1)国の重要施策の策定に労働組合代表を含む民間有識者の意見を反映させるとともに、審議会などにおけるジェンダーバランス(男女比率)に配慮する。

    ①行政における政策の企画立案に国民や働く者の意見を反映させるため、政府の諮問会議や審議会などに産業界、専門家、学識経験者などに加え、消費者や労働組合代表を必ず参加させる。特に、国民生活や雇用労働に重要な影響を及ぼす政策分野の審議会については、労働者、生活者の意見を重視し、労働組合代表を含める。

    ②「政策評価・独立行政法人評価委員会」に、学識経験者だけでなく消費者、労働組合代表などを審議に参加させるとともに、評価結果を行政運営に的確に反映させる。また、各法人運営において、地域で運営協議会を有するところは、当該地区における消費者、労働組合代表の参加により、評価機能を強化させるとともに、中央の評価委員会と連携させる。

    ③政府は、歳入・歳出を含む行政監視機能の充実をはかるため、立法府への「日本版GAO(注2)」(行財政監視評価委員会(仮称))の設置を展望しつつ、非議員の積極的な招致を含め決算行政監視委員会の機能・組織を大幅に拡充し、より効率的な政策実現をめざす。(「経済政策」参照

  2. (2)効率的かつ公正、透明な中央省庁体制を確立する。

    ①不明確な許認可基準や事前規制などの不透明な裁量型行政を抜本的に見直し、明確で公正・公平なルールによる事後チェック型行政への転換を進める。

    ②各府省における縦割り行政を是正するため、省庁間における情報の共有化、中央省庁と地方自治体間の情報システムの単一化を推進する。また、地方自治体への権限委譲と地方支分部局への権限委任を一層進める。

    ③法令適用事前確認手続については、制度の周知広報を行うとともに、制度趣旨に沿い、民間企業の事業活動が迅速かつ公平に行われるよう、利便性の向上をはかる。

    ④公文書管理法を改正し、公文書の保存義務範囲の拡大、電子決裁の義務化、公文書管理委員会による監督機能の強化などをはかる。
    また、地方自治体においても、公文書管理に関する条例の制定などを進める。

  3. (3)マイナンバー制度を活用することで、国民生活を守るセーフティネットの仕組みづくりと公正・公平な社会基盤の構築を行う。

    ①マイナンバー制度が確実に運用され定着するよう、公正・公平な社会基盤として必須であることを引き続き訴え、国民全体への周知を進めると共に、個人情報や資産が国に把握されることの不信に対し明瞭で正確な説明を行っていく。

    ②その他の分野での利用については、個人情報の保護を前提に、安全性の確保、行政の効率性の向上および国民生活の利便性の向上が認められる項目を対象とし、国民への丁寧な説明と合意形成をはかる。

    ③マイナンバー制度を活用し税情報(課税所得)と社会保障給付を連携させ一体的に運営する「給付付き税額控除」を導入し、有事の迅速かつ適切な給付インフラを構築する。

    ④緊急時のセーフティネットとして機能させるため、マイナンバーと口座情報の紐付けを行う。さらに、真に必要な層への的を絞った支援の基盤整備、「給付付き税額控除」の導入、及び金融所得課税を含めた所得税の総合課税化に向けて、国民が開設する全ての口座情報とのひも付けを行う。

  4. (4)すべての国民が安心して行政情報に容易にアクセスできる「電子政府」を構築し、国民生活の利便性向上につなげる。

    ①住民基本台帳ネットワークは、行政機関個人情報保護法の下、情報セキュリティ対策を強化し、安心してオンラインによる行政手続ができる体制を整える。

    ②オンライン申請と住民基本台帳をシステム的に連携させ、申請手続きをデジタルで完結させるなど、真の意味での行政のデジタル化を図る。

    ③そのために、国は申請データ項目や処理フロー等の統一基準を策定した上で、システム仕様について国が決定し、各地方自治体に対しシステム構築に向けた財政支援を行う。

    ④デジタル行政推進にあたっては、災害時に備えた非常用電源の確保、データのバックアップやバックアップセンターの整備など、非常時においても業務を継続するために必要な方策を適切に講ずる。

    ⑤マイナンバーカードを活用した納税手続きの簡素化や、身分証明書として使用できるよう関係諸団体への通知を徹底するとともに、自治体に災害時の避難所の入退所管理での利用を促すなど、普及促進を図る。

    ⑥マイナポータルは、マイナンバーカードと共にデジタル・ガバメントの基盤であり、マイナポータルがハブとなり、国・地方・民間(保険会社、金融機関など)からの様々な情報を税申告(記入済み申告制度)と給付申請にもつなげ、行政手続きのデジタル化と税・社会保障の連携を図る。

    ⑦フリーランス等への社会保険適用が求められる中、プラットフォーマ―からの情報を取り込むなどによるマイナポータルの活用により、所得など労働者の実態を正確に把握し、フリーランス等への各種セーフティネットにつなげる。

    ⑧マイナンバーカードの利用で可能となる対象手続数が更に増加し、制度の利用範囲も拡大していくことが見込まれる中、国民の安心・安全のため、個人情報の厳格な保護、なりすまし防止、また個人情報保護委員会の機能強化など、国民の不安を払拭するための個人情報保護策を引き続き講じる。

    ⑨行政機関における個人情報保護措置の強化を前提として、国と地方自治体の権限を明確にしつつ、国と地方の垣根を越えた行政のワンストップサービスを一層進める。

    ⑩地方支分部局など、行政機関を統廃合する場合には、交通アクセスに不利な地域の住民への配慮など、地域事情や「電子政府」構築の進展状況を十分踏まえ、慎重に検討する。

  5. (4)財政構造改革にあたっては、安全・安心といった国民生活の質に直結する社会保障、公共サービスの充実・強化のために、税制改革による歳入の見直し、公共事業の抜本的な見直しによる歳出の効率化を同時に推し進め、健全な財政をめざす。
  6. (5)政策の質や行政サービスの向上をはかり、活力ある持続可能な社会を実現するため、第5次男女共同参画基本計画の行政分野で掲げる「国・地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画拡大」を加速させる。
  7. (6)公益通報者保護制度における内部職員などからの通報・相談窓口の設置が遅れている市区町村への窓口設置を推進、拡充する。
  8. (7)独立法人などの改革については、国民へのサービスの水準の低下を招かず、当該職員の雇用の場を確保しつつ、国民生活の維持・向上につながる改革を行う。

    ①独立行政法人の整理・見直しにあたっては、労働組合との協議を尽くし、職員の雇用不安を引き起こさないよう、個別具体化法案に職員の雇用確保の対策について明示する。

    ②独立行政法人や特殊法人、認可法人の情報公開を徹底し、公正取引や労働法制の遵守と経費の透明化、事務の効率化を進めるとともに、経営責任の明確化を徹底する。

    ③独立行政法人については、公益性を堅持しつつ、事業運営における責任体制を明確化して過度な行政の介入を排除する。また、事業運営などについて幅広い国民の声を反映する。

  9. (8)情報公開法に基づき、行政および独立行政法人などの情報公開を積極的かつ迅速に行い、行政の透明化を進めるとともに、行政における個人情報の保護の徹底をはかる。

    ①国民からの情報公開請求に対し、不開示の決定をする際には、不開示理由を提示する。事案を請求先以外に移送する際には、理由を提示し責任の所在を明確にする。

    ②開示請求者、行政機関、独立行政法人などの所在地以外への請求窓口の設置を促進するとともに、電子情報化の推進によりインターネットによる請求手続きを可能とする。

    ③情報公開・個人情報保護審査会は、民間事業者に対する勧告・命令機能の付加や、専門性が求められる審査にも効率的かつ適正な対応ができるようにする。

    ④個人情報保護関連法を改正し、法令などに基づく場合を除き社会的差別を助長する情報の収集を禁止する。また、保護法を盾にした不祥事隠しを防止するための対策を講じる。

    ⑤行政機関・独立行政法人などの個人情報保護法については、職員もしくは職員であった者などの対象に加え、組織的行為も対象とし罰則を規定する。

    ⑥国、地方自治体は、個人情報取扱事業者などにおける実効ある個人情報保護を支援する。また、個人情報保護状況の把握に努めるなど、監督、指導を適切に行う。なお、就業規則などの改定を求める場合は、労使の十分な協議が前提であることに留意する。また、消費者の利便性を損なわないよう基準を明確化する。

  10. (9)住民基本台帳の閲覧制度については、個人情報保護の観点から、行政機関が利用する場合など公共性が認められる場合を除き、原則非公開とする。
  11. (10)すべての地方自治体において貸借対照表を作成するなど、会計制度の透明化を進め、財政状況について情報公開を徹底する。
  12. (11)政府の広報機能の強化については、政策や法制化の考え方、進捗状況を国民に伝える機能を強化するとともに、この役割を支える言論の自由や市民の知る権利を担保する。
  13. (12)東日本大震災の経験を踏まえ、非常時に自治体に求められる職種の専門性維持やノウハウの蓄積、それらを担う人材(職員)の確保・育成を行うなどの、公共サービスのリスク管理体制を確立する。
  14. (13)公正取引委員会の法執行機能を強化・充実する。労働基準監督官を増員し、公正労働基準の監督機能を強化する。また金融機関などに対する市場監視機能を抜本強化するため、証券取引等監視委員会(SESC)に対し、金融庁が同委員会に委任している権限を直接付与し、会計・監査・開示に関する権限を与える(日本版SEC(注3))。
  1. (注2)GAO ~General Accounting Office の略。米国では、立法府内に設置され、議会の指示を受けて、行政に対する調査・提言を行っている。立法府が行政府の行った評価をチェックするとともに、行政府が評価し難い分野について評価を行う。分析・評価に関する専門的知識を活用するため、民間のシンクタンク、コンサルタントなどの活用が求められている。
  2. (注3)SEC ~Securities and Exchange Commissionの略。米国の証券取引委員会。大統領や連邦議会から相対的に独立した独立規制機関であり、2,000人体制という巨大な組織で、インサイダー取引、株価操作、情報開示違反等証券関連法規違反事件を捜査し告発する権能をもつ。

 

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