5.くらしの安心・安全の構築|環境政策

2-17-1.わが国の、気候変動対策を積極的に推進するとともに、GXおよび適応策の実行において、「公正な移行」を具現化する。

  1. (1)国は、「GX実現に向けた基本方針」の実施や「気候変動適応計画」の推進にあたっては、「公正な移行」の実現やS+3Eの確保を念頭に、分野横断的課題に対応する体制を省庁横断的に機能させ、関係産業や地域の労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話を基本に進め、丁寧な国民的合意形成をはかる。その際、以下の内容を踏まえる。

    ①GX2040ビジョンなどで示すロードマップや今後の道行きについて、状況を注視し、必要な見直しを検討する。修正が発生した場合には、関係する産業や企業、地域に対して社会対話を通じて情報を共有することで、円滑に移行できるように配慮する。

    ②気候変動影響評価報告書の改定を通じて、気候変動による各産業や地域への影響を精緻に評価し、関係する産業や企業、地域に対して社会対話を通じて情報を共有することで、必要な適応策を促す。

  2. (2)国・地方自治体は、気候変動への適応やGXの推進によって発生しうる雇用に関わる課題に備え、十分な予算措置を講ずる。その際には、以下の内容を踏まえる。

    ①各地域の関係当事者による社会対話など通じて、失業や労働移動による労働条件の低下などの雇用への悪影響が生じうる産業・地域の特定と、その影響度の測定と分析を進め、方針・計画を策定する。

    ②地域における雇用吸収力のある産業の育成、労働者の教育・訓練、社会保険や住宅などの社会的セーフティネットの強化等の必要な対策を一体的に検討する。

  1. (3)国は、「自国が決定する貢献」(NDC)の検討と実施に際しては、労働者も含む関係当事者との社会対話を通じて理解と協力を求める。
  2. (4)国は、国連・持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の目標達成と「パリ協定」の実施において主導的役割を発揮するとともに、民間企業が中長期にわたり脱炭素事業に安心して投資できるような環境整備を行う。
  3. (5)国は、新興国・途上国の持続的な発展と同時に、温室効果ガスの削減・抑制を促進するため、知的財産権などに留意しつつ「パリ協定」で正式に位置づけられた二国間クレジット制度(JCM)を充実させるとともに、JCMを活用したわが国の削減努力を国際的に発信する。また、ダブルカウント回避に関するガイダンス作成に積極的に関与するとともに、温室効果ガス排出量の測定・報告及び検証(Measurement, Reporting and  Verification:MRV)については「技術に基づくボトムアップアプローチ」の観点から、ISOによる規格の動向も勘案しつつ、官民連携によるセクターイニシアチブで対応する。
  4. (6)国は、「成長志向型カーボンプライシング」の本格運用において、S+3Eを原則として産業の競争力を確保し、雇用への影響を最小限に留めるため、脱炭素移行コストは、特定産業だけでなく、便益を享受する国民全体で広く負担することを基本に丁寧な議論の上で進める。その際、以下の内容を踏まえる。

    ①脱炭素への移行コストは、国民・企業・自治体など国全体で負担し、適正に転嫁できる環境を整備する。その際、負担は公平性・透明性を確保する。

    ②複雑な現行のエネルギー関連諸税の整理・軽減が行われないまま、賦課金や特定事業者負担金だけを増やさない。

    ③2026年度より本格稼働した排出量取引制度(GX-ETS)について、運用上の課題の有無を確認し、必要に応じて制度の見直しを検討する。また、将来の化石燃料賦課金や有償オークション導入について、特定の産業への過度な負担偏重とならないよう検討する。

    ④具体的な投資・支援対象の設定、中長期にわたる具体的制度設計など、具現化に際しては、国が責任を持ち前面に立って国民、企業、自治体などに充分な説明を行い、国民的な合意形成を丁寧に進める。

    ⑤エネルギー価格は国民生活や産業に大きく影響するため、価格高騰下では、国の責任において過度な国民負担を抑制するようにする。

    ⑥必要に応じて制度の見直しに機敏に対応できる体制とする。

  5. (7)国は、SDGs推進円卓会議や環境省のステークホルダーミーティングだけでなく、「環境」の個別分野に関し、地域においても十分な社会対話を行う。
  6. (8)地方自治体は、「地域気候変動適応計画」や「地方公共団体実行計画」の策定・改定や実行するプロセスにおいて、地域の雇用・経済、人口動態などを見据え、住民や地元企業や労働組合を含む広範かつ丁寧な社会対話を通じた合意形成をはかる。その際、以下の内容を踏まえる。

    ①地域の社会構造に関わる大規模な適応策の策定にあたっての、対象地域の住民・企業、労働者の理解と合意を得る。

    ②住民の果たす役割の具体的な明記とその周知・広報を行う。

    ③企業・団体による「適応計画」および「事業継続計画(BCP)」の策定・改定にあたっての必要な情報提供と技術的支援を行う。

    ④気候変動の影響による地域の産業の廃業や移転に対応するための新たな雇用機会の創出や職業訓練などの対策を行う。

  1. (9)国は、地方自治体における「地域気候変動適応計画」や「地方公共団体実行計画」の策定を後押しし、地方において計画を実施するための財政と人材が確保されるよう支援する。
  2. (10)国は、グリーン経済への転換に向け、各国と連携・協調しつつ、世界全体としての持続可能な開発に取り組む。また、「パリ協定」の前文に明記された「公正な移行」が締約国各国において円滑に実施できるよう支援するとともに、その実施にあたり必要となる社会対話を促進する。
  3. (11)国は、 WTO(世界貿易機関)協定やFTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)などの国際協定において「環境条項」を規定し、履行のためのモニタリングの実施を加盟・締結各国に要請する。
  4. (12)国は、酸性雨やPM2.5、光学オキシダントの低減に向け、近隣諸国などからの越境汚染に対し外交的・技術的対策を講じるとともに、国内においても、これまで以上にNOX(窒素酸化物)およびVOC(揮発性有機化合物)の削減を進める。また、対流圏オゾン汚染の実態把握と、その健康影響、農作物・植物影響を明らかにする。

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