1.持続可能で健全な経済の発展|経済政策

2-1-1.安定した経済成長と公正な配分を最優先とするマクロ経済政策を実施するとともに、国民にとって安全で安心・信頼できる金融システムを構築する。

  1. (1)政府は、日本銀行の独立性・健全性を尊重しつつ連携し、為替レートの適正化・安定化および持続的な成長軌道への復帰につながる適切な経済財政・金融政策として、以下の対応を行う。

    ①人口減少・超少子高齢社会においても実質2%程度の経済成長をめざし、雇用創出・安定化、消費回復・内需拡大につながる経済活性化策を実施する。

    ②海外経済におけるソブリンリスクや金融危機、新興国の急激な成長鈍化等に起因する世界的な景気減速、世界各地で発生する地政学的問題やパンデミックといった外的リスク要因に備えるとともに、万が一、それらが顕在化した場合には日本経済への影響を抑制するために機動的・弾力的な経済財政・金融政策を行う。

    ③経済財政見通しを行う政府から独立した組織を設置し、客観的な見通しを前提にした政策立案を行う。

    ④2013年から始まった大規模な量的質的金融緩和により、巨額の国債購入が財政規律を弛緩させる要因となっていること、マイナス金利政策を含め金融機関の収益を悪化させるなどの副作用が目立つようになり、金融システムの不安定化が懸念されること等から、日銀は、デフレへの回帰と急激な金利上昇を回避しつつ、平時型の金融政策運営への「出口」に向かうことを検討する。

    ⑤国民生活や貿易財の交易条件に過度な悪影響をおよぼすような実体経済からかけ離れた急激な為替変動に対しては、G7各国と連携をはかりつつ、機動的かつ強力な市場介入を実施する。

  2. (2)金融機関が健全かつ適正な事業を運営し、預金者等の消費者利益を保護するとともに、地域経済を支える中小企業等に対してきめ細やかな融資判断を通じた資金供給を行うことができるよう、政府は、適切な監督と公的なバックアップを行う。

    ①金融機関の破綻への対応を強化するため、消費者保護の観点から、セーフティネット制度の充実をはかる。その財源は、事業者負担を基本としつつも、システミックリスクなど国民生活への影響を回避するため、政府が適切に公的資金を注入できるようにする。また、破綻処理にあたっては、取引先や従業員の雇用に十分配慮するとともに、経営健全化計画の確実な履行、経営者責任や株主責任を問う。

    ②政府は、金融機関の再編については、個別金融機関の主体性を尊重し、経営体質の強化と地域経済の活性化を重視した監督を行う。

    ③政府は、金融機関の破綻懸念先以下の債権への引当金に対する無税償却制度の導入や「銀行等保有株式取得機構」の活用などにより、金融機関の健全性をはかる。

    ④政府は、金融機関によるきめ細やかな融資判断やコンサルティング機能の強化、専門人材の育成など、中小企業やベンチャー企業の経営支援につながる政策の推進をはかり、事業育成の視点に立った支援をおこなう。

    ⑤政府は、信用保証制度枠の拡大を通じ、民間金融機関等による中小企業等への融資を促す。また、政府系金融機関は、地域の民間金融機関と協調のもと担保免除特例制度やDIPファイナンス(事業再生支援融資)を拡充するなど、中小企業等への事業融資強化、育成、支援、再生をはかる。

    ⑥政府は、中小企業やベンチャー企業が多様な手段を通じて資金調達ができるよう必要な環境整備を行う。一方で、投資家のすそ野を拡大する政策を実行する際には、投資家保護策や広報活動の充実をはかる。

    ⑦Fintech(注1)をはじめとした金融市場におけるICTやAIなどの進展を踏まえ、金融サービスの利便性の向上、セキュリティ対策の強化など国民が安全に利用できる制度を構築するとともに、利用者の保護や公正な競争条件の確保に向けて、金融機能ごとに同一の機能・リスクには同一のルールを適用するなど金融規制体系の再構築をはかる。また、金融機関やベンチャー企業などの連携と、双方の新たな事業展開に資する包括的な支援を行う。

    ⑧政府は、国民がライフステージに応じた金融経済教育を受けることができるよう、金融機関やNPOなどとも連携し、学校における教育の充実などをはかる。

    ⑨地域金融機関は、債務企業の「再生」「活性化」を最優先に据え、不良債権処理にあたっては、地域経済を支える中小企業等の役割や特性を十分に踏まえた上で、直接償却を多用することなく、間接償却も併用し、計画的に進める。(「地域活性化政策」参照

    ⑩国・地方自治体は、地域金融機関が地域密着型金融としての役割を発揮し、産官学金労言の連携のもと事業再生や成長分野の育成、産業集積など雇用の創出に資する取り組みを推進するよう指導や支援を行う。(「地域活性化政策」参照

  3. (3)政府は、国際的な連携もはかりつつ、金融資本市場の透明性を高め、労働者や国民生活に悪影響を与える投機的な資金の流れを規制する。

    ①政府は、金融危機につながる投機的な資産運用を防ぐため、運用成績を過度に反映する評価・報酬体系の是正に資するルール整備などを進める。

    ②政府は、金融機関への規制強化がシャドーバンキングへの資金のシフトを生まないよう、国際的な連携のもとで網羅的なルールづくりや監督強化を推進する。

    ③政府は、仮想通貨(暗号資産)に関する規制・監督強化を急ぎ、不正取引の防止・監視、預かり資産の保全、交換業者の財務内容開示等を含めた資金決済法や金融証券取引法の改正等によりルール・検査の厳格化を行う。

    ④政府は、機関投資家に対して「責任投資原則」「日本版スチュワードシップ・コード」や「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」の受入れを促すなど、責任投資の概念が広く浸透するよう取り組みを進め、責任投資に対する正しい理解のもと、個々の機関投資家が自らの投資判断においてESGを適切に考慮し非財務的要素を重視することを促す。

  1. (注1)Fintech ~主にICTを活用した革新的な金融サービス事業をさす。金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語。

 

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