3.安心できる社会保障制度の確立(医療政策)

医療政策<背景と考え方>

  1. (1)人口減少・超少子高齢化が、地域ごとに異なった態様で進行しつつ、日本全体として急速に進行していく中、地域の実情を踏まえた良質で効率的な医療提供体制および医療保険制度の再構築が課題となっている。誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、患者本位で質の高い医療を切れ目なく受けられる地域包括ケアの推進と、持続可能な医療保険制度の確立が不可欠である。
  2. (2)各地域に必要な医療機能の需要推計を勘案した「地域医療構想」に沿った提供体制の構築が遅れている。医療機関の機能分化の推進においては、感染症拡大を考慮しつつ、外来を含めあらゆる設置主体の医療機関の参画により「地域医療構想」を再検討し、実現に向けた取り組みを強化するとともに、医療機関の雇用問題が生じないよう配慮する必要がある。また、医療現場で働く者全体の労働時間短縮の取り組みを前進させ、離職防止や復職促進につなげていくことが重要である。
  3. (3)国民医療費は40兆円を超え、高齢化や医療の高度化などによって今後も医療費の増加が見込まれる中、効率的な医療提供体制の構築により医療費の増加を抑制していくことが重要である。経済力によって医療アクセスに差が生じないよう配慮しつつ、皆保険の下、被保険者の納得性確保と、保険者機能を積極的に発揮できる医療保険制度の抜本改革を進めていく必要がある。
  4. (4)超長寿社会を迎えるわが国において、国民の健康寿命の延伸に向けた取り組みの重要性が高まっている。一人ひとりが健康で生き生きと暮らしていく上で、保険者や企業、個人が積極的に予防・健康づくりに取り組むための基盤整備や健康への意識啓発が必要である。
  5. (5)診療明細書の無料発行義務の対象拡大や、医療広告の規制強化など、患者に対する情報の確保については一定の進展がみられる。しかし一方、2015年10月に開始した医療事故調査制度は事故の対象が限定的なために、実際に再発防止に結びつける取り組みには課題が残されている。安心・信頼で患者本位の医療の確立に向け、さらなる施策の強化が必要である。

 

1.地域で医療の質を低下させることなく医療機関の機能分化と連携を推進し、医療人材の確保対策を強化して、良質で切れ目のない医療提供体制を構築する。

  1. (1)地域包括ケアのさらなる推進に向けて、良質で切れ目のない医療提供体制を構築するため、以下の対応を行う。

    ①地域で医療の質を低下させることのないよう、感染症のまん延を考慮したうえで、医療機関の機能分化と連携、医療と介護の連携を推進する。

    ②医療機関の機能分化にあたり、急性期を脱した患者への医療や、高齢者の容体急変時の医療などを担う病床を確保するとともに、在宅医療や訪問看護を拡充する。

    ③第7次医療計画および地域医療構想の推進においては、感染症のまん延を考慮したうえで、地域実態に即して必要な医療提供体制を確保できるよう、国は都道府県の同計画・構想の実施状況を定期的に検証し、必要な施策の見直しを行うPDCAサイクルを確立するよう徹底する。また、各医療機関の医療機能を詳細に把握できるよう、病床機能報告制度におけるレセプトデータの分析・活用を拡大する。

    ④国は、新型コロナウイルス感染症の地域医療への影響を検証するとともに、都道府県による第8次医療計画の策定作業を支援する。

    ⑤都道府県は地域医療構想の実現に向けて病床転換や病床数の調整を行う場合、医療機関の設置主体にかかわらず、域内の全ての医療機関を対象に協議を行う。その際、病床の統廃合にともなう雇用問題が生じないよう対策を講じる。

    ⑥国は、医療提供体制に対する被保険者や住民の意見を反映させるため、都道府県における医療計画の策定や「地域医療構想調整会議」への被保険者や住民の参画を促進するよう指針などの徹底をはかる。

  2. (2)地域医療構想にもとづき、地域医療支援病院の設置を推進するとともに、病院については医療圏単位に教育の機能、高度先進医療を実施する機能、政策医療を担う機能、「家庭医(仮称)」などを支援する機能などを地域実態に即して確保する。また、高額医療機器の共同利用を促進する。
  3. (3)外来機能の明確化・連携を進めるため、以下の対策を講じる。
    ①「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う病院(紹介受診重点医療機関)を明確化する議論に被保険者や住民の参画を促進する。
    ②外来機能報告制度は、各医療機関の果たす機能が的確に報告されるよう、都道府県を支援・指導するとともに、報告内容に見合った医療の提供状況を点検する仕組みとする。
    ③紹介状なしで受診する場合等の定額負担については、例外的・限定的な取り扱いとしたうえで、適切な受診行動を促すため、各医療機関の機能についてわかりやすく周知するよう徹底する。また、再診の患者や生活困窮者、医療資源の少ない地域の国民などの受診機会が妨げられないよう配慮する。

  4. (4)在宅療養支援診療所・病院を地域における病診連携の中核的医療機関として位置づけ、病院や訪問看護ステーション、介護保険施設、居住系サービスなどとの連携により、切れ目なく安心して医療が受けられる在宅医療提供体制を構築する。
  5. (5)救命救急センターと他の医療機関との連携を強化し、救急医療を拡充する。救急を担う医療機関においては、救急に対応する医師や看護職、コメディカルの常時複数配置を義務づける。また、ドクターヘリ運用施設の増設など、体制を強化する。
  6. (6)精神科入院については、地域移行の推進による入院日数の短縮と精神病床の計画的な削減、社会的入院の解消、医療内容の改善、必要な医師・看護師の確保など、早期相談・治療・支援ができる体制を整備する。また、精神保健福祉士(PSW)の配置や専門的研修を受けた看護師が参画する精神科リエゾンチームの普及など、専門職による支援を拡充する。
  7. (7)女性医師が妊娠・出産・子育てなどを理由に離職することなく働き続けられる職場環境づくりのため、短時間勤務の推進や復職研修の機会拡充、宿日直・時間外勤務の調整などの配慮を強化するよう、医療機関に対して指導を行う。また、院内保育の充実や復職研修中に利用可能な保育の確保など、円滑な受講を促進するための条件整備を行う。
  8. (8)初期医療や病診連携の調整などの役割を担う「家庭医(仮称)」の認定制度を構築し、在宅療養支援診療所に「家庭医(仮称)」の配置を義務化するなどして、外来にかかる病院・診療所の役割分担を明確化する。また、新たに開業する医師は、一定期間以上の救急医療、へき地医療での臨床経験などを開業の必須要件とする。
  9. (9)「家庭医(仮称)」は、24時間の緊急応需体制を複数医による連携や地域の他医療機関との連携体制を構築することで確保しており、かつ訪問診療を行う総合診療専門医であることを要件とする。総合診療専門医を積極的に養成する観点から、当該認定を受けた者が一定期間「家庭医(仮称)」として従事した場合に奨学金の返済を免除するなどの支援を講じる。
  10. (10)医師の質の向上をはかるため、医科系大学の「医局講座制」、教育、研究のあり方について検討を進める。また、医師国家資格は専門性や知識を保つために5年ごとの更新制とし、「更新時研修」を義務づける。更新しない場合は資格停止も含めて検討する。
  11. (11)専門医療の質を確保する観点から、診療所の保険医療機関の指定時における標榜科は専門医認定を受けた診療科に限る。
  12. (12)地域における医師の偏在を是正するため、都道府県毎に国が定めた医師数の目安を超える地域での保険医の登録を認めない。なお、病院勤務医の場合は当該制限の対象外とする。
  13. (13)地域における診療科の偏在を是正するため、国は各圏域の人口等を勘案しつつ都道府県毎の診療科別医師数の目安を定める。目安を超える診療科については保険医療機関の指定を行わない。なお、(11)の保険医数が目安を超えていた場合であっても、当該診療科の医師数が目安を下回っていた場合には、指定を行う。
  14. (14)地域における医師・診療科の偏在を是正するため、国は地域医療支援センターの機能強化や地域医療研修の拡充、医科系大学の地域枠で入学した学生が卒業後も当該地域で医療を担う仕組みの構築、地域枠の定員拡大、医師少数区域における一定期間の勤務経験を認定された医師に対する評価の拡大など必要な支援を行う。また、都道府県は、医療対策協議会と地域医療支援センターの連携による取り組みを着実に実行する。
  15. (15)医師臨床研修制度について、すべての臨床研修病院の研修プログラムの質を向上させるため、全国共通の評価委員会を設置する。また、2024年度からの時間外労働の上限規制の適用に向けて、医療機関等による時間外労働の実態把握、36協定の適正な締結、医師労働時間短縮計画の作成、研修プログラムの改訂等の対応を支援し、研修医が研修に専念できる労働環境を確保する。
  16. (16)安全で質の高い看護の提供を確保するため、国および都道府県は以下の施策を講じる。

    ①医療の安全確保のため、連合「看護職員の夜勤・交代制勤務のガイドライン」を踏まえつつ、労働時間の改善や勤務間インターバルの確保など、医療現場で働く労働者の健康確保に対する指導・援助等を強化する。

    ②看護職員の離職防止に向け、医療機関における労働環境の改善やマネジメントの向上、ワーク・ライフ・バランスの確保を進めるため、連合「看護職員の夜勤・交代制勤務のガイドライン」を踏まえつつ、夜勤交代制勤務の回数制限など労働時間管理を厳格に行う体制の確保を医療機関に指導する。また、患者やその家族等からのハラスメント抑止に向けた対策を強化する。

    ③都道府県ナースセンターや看護師等免許保持者の届出制度の周知をはかるとともに、潜在看護師を対象とする復職研修の機会を拡充するため、研修実施医療機関を支援するとともに、院内保育の充実や復職研修中に利用可能な保育の確保など、円滑な受講を促進するための条件整備を行う。

    ④「医療のお仕事 Key-Net」の周知をはかるとともに、新型コロナウイルス感染症の患者対応やワクチン接種への従事などをきっかけに一時的に復職した医療従事者が、希望すれば本格的に復職できるよう、医療機関等による研修機会の拡充と労働環境の整備を支援する。

    ⑤高度急性期から慢性期まで、医療機能に応じた看護の提供と夜間の人員体制の確保を考慮した看護職員の需給計画を策定する。また、進捗状況を検証しながら看護職員の養成、定着、離職防止の取り組みを着実に実行し、適切な看護配置と看護職員の確保を着実に推進する。

    ⑥看護師養成課程を統合して看護制度の一本化を実現する。それに向けて、准看護師の移行教育を直ちに行い、准看護師養成制度を即時廃止する。また、効率的で受講しやすい内容や勤務時間の保障など、労働環境・条件の整備をはかる。

  17. (17)研修の充実をはかるなど、医療従事者が専門性を発揮して的確な医療を提供する「チーム医療」体制を確立する。
  18. (18)看護師の「診療の補助における特定行為」は、当該研修を受講した看護師が行うことを基本とし、受講者の同意と十分な研修時間の確保、研修中の欠員補充を前提に研修制度を実施する。また、「診療の補助における特定行為」をめぐる医療事故における責任のあり方について研究を進める。さらに、研修受講への財政支援を充実するとともに、修了した看護師の職務に相応しい賃金・労働条件の向上をはかる。
  19. (19)看護補助者が行う補助業務の内容と医療行為との区分けを明確にする。医療機関は、看護補助者に医療行為を行わせることのないよう、法令を順守した体制を確保するための雇用管理を徹底する。また、看護補助者に対する教育・訓練体制の確立、業務マニュアルを策定する。
  20. (20)地域医療介護総合確保基金は、地域医療構想の達成、医療・介護の連携推進、研修中の欠員補充を含む人材確保の事業に優先活用されるよう促すとともに、基金事業の進捗を検証し、PDCAサイクルによる効果的な活用を徹底する。
  21. (21)都道府県は医療勤務環境改善支援センターを通じて、医師労働時間短縮計画の策定を支援するとともに、医療機関で働くすべての医療従事者の勤務環境改善のための支援に積極的に取り組む。また、同センターの運営において、労働組合の参画を推進する。また国は、同センターによる人材確保、離職防止、復職支援の取り組み成果を検証し、医療機関の勤務環境と雇用管理の改善に向けて、PDCAサイクルによる取り組みを徹底する。
  22. (22)オンライン医療(診断等)の実施状況を検証したうえで、医療安全の確保を前提とするオンライン医療(診断等)など、医療分野におけるICTの活用を推進するための法令等を整備するとともに、医療機関による設備導入を支援する。
  23. (23)災害があっても医療機関あるいは在宅で安心して医療を受けられる体制を整えるため、以下の施策を講じる。

    ①DMAT(災害派遣医療チーム)による救命・急性期医療の対応や、DPAT(災害派遣精神医療チーム)および「心のケアチーム」によるメンタルケアに加え、感染症、慢性疾患、精神疾患など慢性期医療にも対応できる医療チーム体制を平時から整備する。

    ②災害時でも地域住民に対する医療・介護サービスを提供できるよう、広域的な医療と介護の連携体制を確保する。

    ③災害時の医薬品・医療機器・医療材料の安定供給と流通体制の確保に向けて、国、都道府県、市町村、企業、卸業者の連携を平時から強化する。

    ④都道府県は、関係団体と連携し、「災害医療コーディネーター」および「地域災害医療コーディネーター」の設置を推進し、国はこれを支援する。

    ⑤国は、すべての医療機関に非常用電源装置の設置を義務付けるなど、停電対策の推進とそのための財政支援を行う。また、大規模災害発生時における医療機関への優先的な燃料供給体制を構築するとともに医療機関における事業継続計画(BCP)の策定を進める。

    ⑥災害により機能停止した医療機関に受診していた患者が、他の医療機関で速やかに診療や処方箋の交付を受けられるよう、個人情報保護とデータのバックアップ体制を確保しつつ、都道府県をまたいだ電子カルテの共有化を進める。

    ⑦在宅でも安心して医療機器を使用できるよう、たん吸引機、人工呼吸器、酸素発生器、腹膜透析機器、輸液、中心静脈栄養および経管栄養のポンプなど在宅用医療機器のバックアップ電源の普及を進めるとともに、レンタル機器の確保と提供体制、患者への情報提供体制の確保を進める。

    ⑧大災害や停電下での地域における人工透析の提供体制を確保するため、水および透析液を備蓄した透析医療機関の計画的な整備や自家発電装置の長時間化、発電車や小型発電機の貸出体制への支援、電力供給の優先要請を行い、患者への情報提供を確実に行う。

    ⑨原子力発電所、核関連施設における事故に対応し、ヨウ素剤、放射性セシウム体内除去剤を備蓄し、確実に提供される体制を構築する。

2.患者による選択を支援する医療情報の内容と提供手段を充実するとともに、医療安全の確保と医療事故の原因究明・再発防止の取り組みを強化し、安心・信頼の患者本位の医 療を確立する。

  1. (1)患者が疾病と診療内容を十分理解できるようインフォームド・コンセントを医療法で義務づける。また、セカンドオピニオンや、根拠のあるデータにもとづく医療(EBM)、国民・患者の参加による標準的な診療ガイドラインの普及を推進する。
  2. (2)医療機関および保険者に「診療情報の提供等に関する指針」を周知徹底し、個人情報保護法にもとづきプライバシーの保護に十分留意しつつ、患者の申出に応じて理由を問うことなくカルテおよびレセプトを開示し、患者による自己の医療情報へのアクセスを保障する。また、患者にとって有益な医療情報の利活用のあり方について、患者参画の下で検討を進める。
  3. (3)すべての医療機関に対し、患者の自己負担の有無を問わず、システム改修が必要な場合などの例外なく、明細書の無償発行を義務化する。
  4. (4)正確で客観的なカルテ記載のため、「診療情報管理士」を国家資格とし、当面一定規模以上の病院への配置を義務づける。
  5. (5)すべての医療機関において電子カルテおよびレセプト電算処理システムの導入を徹底するとともに、電子カルテとレセプトデータの長期保存を義務づける。
  6. (6)都道府県による医療機能情報提供制度の掲載項目に、医師の履歴、技術、経験や手術のアウトカム情報、経営状況や財務情報、看護師や専門職員数等を含めるなど、患者の医療機関選択に資する情報を充実する。また、日本医療機能評価機構による医療機関の評価・認定システムを国民・患者へ周知する。
  7. (7)良質の医療を受ける権利、身体的安全が確保される権利、情報を得る権利、医師や医療機関、治療方法を選択する権利などを規定した「患者の権利法」を制定する。
  8. (8)すべての医療機関における医療安全管理体制の強化に向けて、医療安全管理委員会や医療安全管理部門の設置を推進する。また、有床の医療機関における医療安全管理者の専従配置の義務づけに向け、医療安全管理者のサポート体制を強化する。
  9. (9)医師の行政処分に係る「医道審議会」における審議の透明性を確保するとともに、審議会委員に保険者と患者代表を入れる。また、医師免許取消など処分の基準を明確にする。
  10. (10)医療事故、不正請求、脱税、犯罪などによる保険医療機関・保険医指定の取消基準を明確化し、国の権限を強化し厳格に適用する。また取消事案の具体的内容を公開する。
  11. (11)指導・監査における不正防止に向け、地方厚生(支)局から厚生労働省本省への報告を徹底する。また、指導・監査体制を強化し、保険者や民間保険会社などと情報共有を行いながら医療機関による不正請求への対応を強化する。
  12. (12)国や各都道府県に医療従事者、保険者、労使や患者代表、弁護士などで構成する医療に関し苦情の処理・解決をはかる中立の第三者機関を設置する。
  13. (13)患者と医療従事者の信頼関係を構築する観点から、医療事故調査制度について、医療事故調査・支援センターによる調査権限の強化、調査対象の拡大を行うとともに、調査にもとづく医療事故の原因分析と再発防止に取り組むことを法的に位置づける。また、患者と医療従事者の双方を救済するため、無過失補償制度の法制化に向けた検討を進める。
  14. (14)誰もが安心して子どもを生み、育てることができる環境整備に向け、妊娠・出産を健康保険適用(現物給付)とする。産科医療補償制度については、国の責任で制度運営を行うとともに、補償対象の拡大を検討するためのデータ収集を進める。同時に、同制度を通じて脳性麻痺発症の原因究明と同様事例の再発防止策を医療機関へ周知徹底する仕組みを確立し、安全な産科医療の標準化と質の向上をはかる。また、脳性麻痺発症の発症リスクを国民に周知・啓発する。
  15. (15)自らが希望する医療やケアについて自分自身や周囲の家族等と話し合う「人生会議」(ACP※)の普及・定着に向けた国民への広報と相談支援体制の構築を推進するとともに、医師や家族との情報共有を促進し、患者の尊厳と自己決定権を尊重した医療を推進する。また、疼痛緩和や精神的ケアの充実、コーチングなど様々な観点から環境を整備し、人生の最期における最善の医療を患者自身が選択できる体制を整備する。
    ※ACP:Advance Care Planningの略
  16. (16)難病法にもとづく医療費助成の実施状況を検証し、患者救済の⽴場から、対象疾病および⾃⼰負担のあり⽅を検討する。また、幼稚園・保育所、学校などにおいて医療的ケアが必要な障がい児への医療提供を確保するとともに、難病相談・支援センターの取り組みを周知するなど、難病患者や家族などへの⽀援を強化する。(「子ども・子育て支援政策」参照)
  17. (17)骨髄など造血管細胞の移植を必要とする患者への医療提供を推進するため、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」を強化し、造血管細胞提供者の休暇取得など就業上の配慮を含め、患者と提供者双方への支援を充実する。
  18. (18)必要性の高い革新的新薬、希少疾病用医薬品、低侵襲で高度な医療機器・材料の研究開発を促進するため、安全性の確保や審査の透明性確保を前提に、国内治験環境の整備や国際共同治験の推進、承認審査の効率化・迅速化を進める。
  19. (19)薬害など医療被害の未然防止に向け、医療人材の養成課程で被害者の声を直接聞く学習を必須とする。薬害被害者救済には、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の機能強化とともに、国の安全監視体制の責任の下、厚生労働省、PMDAなどの監視および評価を行い、薬害防止のために適切な措置を講じる医薬品規制行政機関などから独立した第三者機関の設置につなげる。
  20. (20)一般用医薬品の販売店におけるリスク分類別の販売管理を徹底する。インターネットをはじめとする郵便等販売の実態把握と検証を進める。
  21. (21)セルフメディケーションの推進にあたっては、すべての人の健康確保につながるよう、低所得者に十分配慮しつつ進める。また、登録販売者の研修を充実させるなど資質向上をはかり相談体制を強化するとともに、医師、薬剤師等との連携体制を確保する。さらに、国民の医薬品の適正な使用や予防・健康づくりに資する情報発信や意識啓発を強化する。
     ※自己の認識する病気や症状を治療するために個人が薬を選択し、使用すること

3.質の高い医療の推進などを後押しする診療報酬改定を行うとともに、医療を必要とするすべての人が安心できる保険給付を保障する。

  1. (1)診療報酬と薬価等は、医療および医薬品等それぞれが果たすべき役割や機能を担保する価格とすることを基本とする。
  2. (2)診療報酬制度については、項目を簡素化して誰もが分かりやすい診療報酬体系とするとともに、信頼できる保険医療へのアクセスを保障する。また、医療の質の向上や治療方法の標準化、医療の透明化をはかるため、医療機関による患者の逆選択が生じないことを前提に、出来高払いから「包括・定額化」への転換を進める。
  3. (3)看護職員など医療従事者の賃金改善につながるよう報酬等の仕組みを構築する。医療現場で働く者全体の労働時間短縮の取り組みを前進させ、離職防止や復職促進につなげるため、業務負担の軽減につながる人員配置を評価する。医療安全を確保した上で、多職種によるチーム医療の推進を評価する。

  4. (4)入院・外来医療の機能分化と連携の推進、医療と介護の連携の強化に資する診療報酬とする。
  5. (5)病院については、患者の状態に応じた入院医療の評価を進めるとともに、急性期入院医療を対象とする診療報酬の包括評価制度(DPC)の検証を継続しつつ、DPC準備病院および対象病院をさらに拡大する。
  6. (6)診療所については、定額方式を原則とするとともに将来的には家庭医登録制度の採用と登録患者の数に応じた医療費支払方式である人頭払い制度の導入も検討する。
  7. (7)全国いずれの地域であっても安全で質の高いがん医療を受けることができ、また、がんに罹患した労働者が離職することなく通院しながら働き続けられるよう、がん医療の均てん化や専門医療機関との連携の推進、緩和ケアの充実に資する診療報酬上の評価を行う。
  8. (8)中央社会保険医療協議会(中医協)委員は、現行の三者構成(支払側、診療側、公益委員)の維持を基本とし、患者・被保険者代表が必ず参画できる仕組みとする。また、医師以外の医療従事者代表などを加える。
  9. (9)患者申出療養や再生医療をはじめとする保険外併用療養費制度は、患者の安全性の確保を最優先するとともに、保険収載を前提に検討を進め、安易な拡大を行わない。保険収載を前提としない「混合診療」は導入しない。

    ①保険外併用療養費制度の対象となる医療技術の安全性・有効性などの審査や評価の情報公開を行い、透明性ひいては公平性を確保する。

    ②実施においては、患者の安全な選択に資するよう、費用も含めた十分な情報提供と院外掲示・広告、本人同意、自費部分を含めた明細書発行などを義務づける。

    ③患者申出療養の医療を行う医療機関は、高度かつ専門的な医療を提供できる医療機関に限定する。また、実施に関与する関係医療機関の役割と施設基準を明確化する。また、広範な副作用被害や医療事故などの有害事象が発生した場合に、責任の多くが患者に負わせられることのない仕組みを確立する。

  10. (10)薬価改定および保険医療材料価格改定は、患者の利益につながるイノベーションの促進や医薬品の安定供給確保の観点から、革新的新薬や希少疾病用医薬品等を積極的に評価する。また、薬価算定過程の透明性・信頼性を高める検討を進めるとともに、安定的な医薬品の流通に必要な経費を「調整幅」として薬価に算入する。あわせて、医薬品の公正な価格形成を進めるため、単品単価取引を推進するなど公正競争の確保を徹底する。
  11. (11)良質な後発医薬品の普及促進のため、情報提供、品質管理、トレーサビリティの確保、安定的な供給体制などを含めた評価システムを確立する。また、統一名収載を推進するとともに、後発医薬品の普及状況に応じて一般名処方加算は縮小する。
  12. (12)医薬品・医療機器等に対する費用対効果評価については、患者の利益を損なうような価格反映が行われない運用とする。
  13. (13)薬剤1日分の薬価合計額が175円以下の場合にレセプトへの傷病名、薬剤名、投与量の記載を省略できるルールを廃止する。
  14. (14)医療機器・材料の開発・輸入の促進や安定供給の確保のため、保険償還価格の算定は、機能区分別から銘柄別への見直しを検討する。また、保険償還価格の算定における外国価格調整のあり方に関する調査・研究を進め、内外価格差を縮小する。
  15. (15)「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」の実効性を確保するため、医療機関や関係業界に対し同ガイドラインの周知・取り組みを徹底する。
  16. (16)高額療養費ならびに高額介護合算療養費は年齢区分を廃止し、経済力による患者の受診控えにつながらないよう検証しつつ、所得に応じた自己負担限度額へと転換する。また、同一保険者である場合は自己負担額が21,000円未満であっても世帯合算を可能とする。
  17. (17)子育て支援と、安心・安全な出産のため、妊娠・出産にかかる費用については、正常分娩も含めてすべて健康保険の適用(現物給付)とする。また、窓口自己負担が増加することのないよう別途負担軽減措置を講じ、現行の出産育児一時金は廃止する。具体的な診療報酬の設定などに向けて、医療機関から保険者への分娩費用の請求明細の提出を義務づけるなど、正常分娩と異常分娩それぞれの実態把握や費用内訳を把握・検証するとともに、産科医療の標準化と質の向上を進める。
  18. (18)不妊治療については、当事者の意思を尊重することを前提に、患者の安全性の確保と医療の標準化を重視し、保険適用による影響の検証調査を踏まえ、可能な限り広く治療法の選択が可能となるよう見直しを行う。また、医療アクセスへの公平性の確保を重視し、保険収載を前提としない「混合診療」の導入につながらない仕組みとする。
  19. (19)傷病手当金の支給額は、標準報酬月額の平均額の7割以上を確保する。
  20. (20)出産手当金の支給額は、標準報酬月額の平均額の7割以上を確保し、少子化対策の観点から、賃金との併給の場合の限度額を雇用保険法の育児休業給付の限度である80%(標準報酬日額の80/100)まで引き上げる。

4.皆保険を堅持しつつ持続可能な医療保険制度の確立に向け、保険者機能を十分に発揮でき、生活保護受給者を含めたすべての人が加入する公的医療保険制度に再構築する。

  1. (1)被用者保険と地域保険の2本立てによる皆保険を堅持し、保険者それぞれが自律的に保険者機能を発揮できる医療保険制度を確立する。
  2. (2)年齢別から支払能力に応じた負担のあり方へ転換し、負担の公平化をはかる。負担が増える者の日常生活への支障や受診控えによる健康悪化などの影響を検証し、必要な措置を講じる。同時に、すべての未就学児が、必要な医療や健康診査を受けられるよう、低所得者の負担軽減を行う。
  3. (3)2002年健康保険法改正法附則第2条にもとづき、被保険者および被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持する。また、医療費の総額管理制は導入しない。
  4. (4)保険者は、AIを活用したレセプト審査の強化と審査体制の拡充をはかる。被保険者への情報提供の充実、ビッグデータを活用した医療費通知の内容充実、本人・家族申請によるレセプトの開示などを積極的に進める。また、医師・医療機関等に対する評価能力を高め、評価結果を加入者に対し積極的に公表する。
  5. (5)医療事故や医療費の不正請求に関する保険者の苦情処理機能と被害者委任による代理交渉権や、医師・医療機関などとの直接契約、費用総額をめぐる交渉権を確立する。
  6. (6)保険者は、レセプト減額査定により患者の一部負担に過払いが生じた際、1万円以下であっても医療費通知で被保険者に通知する。また、払い過ぎた患者一部負担の返還を代行する。
  7. (7)レセプトの審査支払機関による厳正かつ効率的な審査が促進されるよう、患者・被保険者代表の参画の下でICTの積極的な活用を進め、審査基準の標準化をはかるなど、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会による審査機能を抜本的に強化する。
  8. (8)マイナンバーカード等を用いたオンライン資格確認システムの導入に際しては、本格運用後も運用状況の検証を継続し、データの正確性とシステムの安定性の確保を徹底する。同システムの導入により、患者の不便や負担を生じないよう対応するとともに、被保険者に対しては十分な周知・啓発を行う。
  9. (9)被保険者番号の個人単位化と当該個人単位番号を用いた医療情報の効率的な情報連携の推進等にあたっては、情報の機微性に鑑み、自らの情報をコントロールする権利に十分留意し、情報の提供を受ける保険者等に情報収集の目的、範囲、活用方法、情報提供の不同意の申し出方法等を周知徹底させるとともに、委託先を含め適正利用を遵守させる。また、国は、不適正な第三者提供を防止し個人情報保護が徹底されるよう、保険者等を指導監督する。
  10. (10)全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の運営について以下の支援を行う。

    ①被用者保険のセーフティネットとして、中長期的に安定した運営の下で保険者機能を十分に発揮できるよう、国庫補助率は少なくとも現在の水準を維持し、財政基盤の安定化をはかる。

    ②保険給付費等の支払に備えるために積み立てが義務づけられている準備金の上限について、超少子高齢化に伴う保険料収入や保険給付費の見通しを踏まえ、被用者保険のセーフティネット機能を果たし続けられるよう、国庫補助の在り方を含め、労使参画の下で検討する。

    ③運営委員会、都道府県支部評議会のみならず、加入者の意見を反映しながら、地域特性に応じた保健事業や医療費適正化事業の積極的な取り組みを支援する。

    ④都道府県単位の保険料率は、現行の仕組みを基本としつつ、保険者機能を発揮した支部の努力が反映される仕組みとする。インセンティブ制度については、加入者が納得できるよう、エビデンスに基づき評価指標の妥当性を検証する。

    ⑤船員保険事業については、船員労働の特殊性、独自性に鑑み、自主自立を基本とした管理・運営とする。

  11. (11)組合管掌健康保険(健保組合)のあり方について以下の見直しを行う。

    ①適正な保険者規模に関する検証を行い、地域総合型健保の設立などを含めて必要に応じた再編・統合を進める。

    ②保険者機能がより発揮されるように、体制整備や人材育成を含め、健保財政の改善に向けた支援を講ずる。

    ③健保組合が保険医療機関および患者などに行う立入調査権の付与のあり方を検討し、当面は国・都道府県の保険医療機関などへの調査に保険者を参画させる。

    ④事業主側の事情による安易な解散を防止するため、健保組合解散の認可にかかる審査は慎重に行う。その上で、指定健康保険組合に対する財政的支援を強化し、健康保険組合の解散数を減少させる。

    ⑤企業再編などにともなう被用者保険間の被保険者の移動に対応するため、必要な法定準備金の確保を前提に、準備金の取り崩しなどによる被用者保険間の財産移管を可能とする。

    ⑥夫婦が子などを共同扶養する場合の健康保険の被扶養認定では、年間収入の多少により画一的に判断せず、家庭の実態などに即して判断すべきことを通知などで周知徹底する。

  12. (12)国民健康保険のあり方について以下の見直しを行う。

    ①国は国民健康保険の財政主体が都道府県に移行した後の状況を把握し、保険者機能を発揮できる運営に向けて適切な支援を行う。

    ②国は都道府県内の保険料負担の平準化を進めるにあたっては、医療サービスの水準に地域格差がある現状を踏まえ、受けられる医療サービスに見合わない保険料負担とならないよう配慮のうえ、都道府県を支援する。

    ③医療機関と市町村、福祉事務所の連携により、医療費の支払いが困難な生活困窮者が速やかに生活保護申請の手続きなどにつなげられる仕組みを構築する。

    ④低所得者への医療を保障する観点から公費負担を拡充し、保険料滞納者、無保険者が生じないよう保険料軽減措置を講じる。将来的には、生活保護受給者を国民健康保険の被保険者とし、低所得者を含め保険料(税)と自己負担分を手当てするものとする。

    ⑤国保組合については、被用者保険との役割の違いを明確化し、被保険者の多くが高額所得者である場合などの実態や財政状況に応じて国庫補助のあり方を見直す。

  13. (13)現行の高齢者医療制度は廃止し、保険者機能が十分に発揮される仕組みとするため、被用者保険全体で退職者を共同で支える「退職者健康保険制度」(仮称)を創設することをめざし、当面、以下のとおりの見直しをはかる。

    ①被用者保険による高齢者医療への拠出金が今後も増加していくことに対し、医療の効率的な提供などによる医療費適正化を推進するとともに、拠出金を負担する現役世代が加入する保険者および被保険者による参画を保障し、所得再分配機能の強化、公費の拡充などを通じて、保険者機能を発揮できる保険運営を支援する。

    ②任意継続被保険者制度や特例退職者被保険者制度を利用しやすくするための要件緩和をはかる。

5.生涯を通じた健康的生活を支援する取り組みや国民の予防・健康づくりに対する意識啓発を推進するとともに、いっそうの公衆衛生の向上をはかる。

  1. (1)すべての人に予防・健康づくりの重要性を周知し、生活習慣の改善など個人の行動変容を促すため、地方自治体、保険者、事業主、マスコミ、教育機関、NPO、労働組合など地域社会全体で、心身の健康維持・増進に向けた取り組みを加速する。インセンティブ制度を活用した取り組みについては、保険料率の加減算への反映やペナルティの導入、賃金・労働条件への反映は行わないこととしつつ、個々の健康状況に応じた目標の設定など、誰もが参加できる仕組みとする。
  2. (2)自らの運動量や食事のデータを登録し、ビッグデータ等を活用した統計情報が閲覧できる仕組みを構築するなど、予防・健康づくりに向けた意識の涵養や行動変容を促す。
  3. (3)特定健診・特定保健指導の実施率の向上をはかるため、事業主に対して、非正規雇用労働者を含め、特定健診・特定保健指導を受ける際に就業上の配慮を徹底する。また、市町村が実施するがん検診と保険者による特定健診の同時受診を拡大する。
  4. (4)被保険者・被扶養者の健康増進のため、事業主から提供を受けた健診情報等を保険者が効果的に利活用し、保険者と事業主によるコラボヘルスの推進をはかる。また、「日本健康会議」や、「健康日本21(第2次)」の取り組み内容の周知徹底をはかる。
  5. (5)保健所や市町村保健センターにおける保健指導の体制強化を進める。また、個人情報、プライバシー保護を前提に、インターネットを活用した健康相談の仕組みの検討を進める。
  6. (6)メンタルヘルスを含む様々な疾病の予防や対処方法、医薬品の適切な使用方法や副作用、予防接種の副反応などに対する国民の理解を深めるため、国は地方自治体や医療機関、介護事業者、保険者、学校などと連携し、世代を問わず積極的な健康教育をいっそう推進する。また、児童生徒の発達段階に応じた性感染症予防、依存症の防止を含む薬物乱用防止教育を推進する。
  7. (7)予防接種や輸血、血液製剤などに起因するウイルス肝炎などについては、慢性肝炎・肝硬変などを高額療養費制度の「特定疾病」の対象疾病とするなどの医療費負担の軽減をはかる。また国は、職域での検診の実施や肝炎治療休暇の促進を事業主に働きかけるとともに、地域間の肝炎医療の均てん化、ウイルス性肝炎に対する差別・偏見の禁止と周知啓発、慢性肝炎患者への障害年金の支給、拠点病院の整備など、総合的な対策を推進する。
  8. (8)新型インフルエンザをはじめとする新興・再興感染症に対して、世界的大流行(パンデミック)への備えも含め、以下の対策を講じる。

    ①国・地方自治体は、指定医療機関や保健所の機能強化を通じて、各種検査体制の拡充等、感染力や重篤性などの観点から危険性が極めて高い感染症などに対する対策を、平常時から準備する。また、その初期症状や予防方法、感染防止策などについて、国民に十分な周知・広報を行う。

    ②国は、予防と治療に必要な衛生資材、検査キット等の医療材料、治療薬、ワクチンなどを速やかに提供できる生産・備蓄・流通体制を整備する。

    ③国・地方自治体は、医療提供体制を確保し国民の生命・健康を維持するとともに、国民生活への影響を最小限にとどめるため、社会機能維持のため不可欠な業務に携わる労働者を労使合意の下に選定し、衛生資材、検査キット等の医療材料、治療薬、ワクチンなどを提供する。

    ④国・地方自治体は、平常時から感染症に関する正しい知識の普及・啓発、相談体制の強化など、感染症に対する偏見・差別等の防止に向けた対策を強化する。また、社会機能維持のための業務に携わる者の子どもの保育を確保する。

    ⑤国・地方自治体は、医療・介護・福祉従事者のメンタルヘルス対策を講じる。

    ⑥保健所、医療機関、保険者等の事務作業の効率化に資するよう、各種システムの運用の整理・見直しを検討する。

  9. (9)リプロダクティブヘルス/ライツの概念を踏まえ、女性の生涯を通じた性と生殖の健康・権利への支援を行う。

    ①各市町村や学校、職場で行う健康教育では、男女にリプロダクティブヘルス/ライツの知識の普及をはかる。

    ②女性の月経困難症、妊娠・出産、および女性特有の疾病などについて周知するとともに、すべての都道府県に女性健康支援センターを設置し、保健所・女性センターなどにおいても性差を考慮した健康相談が受けられるよう環境を整備する。

    ③母体保護法をリプロダクティブヘルス/ライツにもとづいた内容に改正する。刑法第29章「堕胎の罪」は廃止する。

 

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