4.社会インフラの整備・促進(交通・運輸政策)

交通・運輸政策<背景と考え方>

  1. (1)「交通政策基本法」が公布・施行され7年が経過した。政府は国会へ、2015年度から毎年度「交通政策白書」を報告し、「交通政策基本計画」に掲げられた施策や数値目標の進捗状況のフォローアップを行ってきた。第2次国土形成計画(2015年~2025年日本の命運を決する10年)にもとづき、「第5次社会資本整備重点計画」と一体的に実行される「第2次交通政策基本計画」の策定を進めていく必要がある。
  2. (2)訪日外国人旅行客は、2018年に年間3,000万人を突破し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、年間4,000万人を目標としている。加えて2025年には大阪万博、2027年にはリニア中央新幹線の東京~名古屋駅間開業など、社会インフラ・交通網等の整備強化が進んでいる。また、グローバルな移動に対応した移動手段の最適化へ向けた「MaaS(マース)」(注1)の構築、人口減少・少子高齢化や訪日外国人旅行客の増加に適応した地域公共交通網の形成・再編も進められている。
  3. (3)人口減少・少子高齢化が進んでいる地域では、生活路線の維持・確保へ向けて、地方自治体、交通事業者など地域の関係者が緊密に連携した取組が行われてきた。自然災害が頻発する中、破壊された鉄路、道路、空港、港湾等を維持していくための橋梁やトンネル、車両、安全通信装置等の老朽化対策、耐震化を含めた安全対策やバリアフリー化への対応など、早急に対策を進める必要がある。
  4. (4)官民ITS構想・ロードマップを踏まえた、次世代ITS(注2)による交通渋滞対策・交通事故ゼロ、環境負荷を低減した自動車(二輪車等を含む)の開発・普及、モーダルシフトによる輸送の効率化などにより、環境への負荷が小さい交通・運輸体系をさらに発展させていく必要がある。
  5. (5)実用化に向けて開発が急速に進む自動運転化技術については、法整備を含めた社会ルールの構築や環境整備を早急に進める必要がある。
  6. (6)大規模災害時における迅速な救急救命活動や緊急支援物資の輸送などを支えるため、重要物流道路と代替・補完路において、国による道路啓開・災害復旧の代行制度の拡充等の措置を講ずる改正道路法が成立(2018年3月)した。国際海上コンテナ車(トラック積載時高さ4.1㍍・長さ16.5㍍・重量44㌧)を特車許可なく走行を可能とする重要物流道路制度を契機に、20年ぶりの改定となる広域道路交通計画(策定は1994年。1998年に見直し)をふまえ、緊急輸送ネットワークの整備を検証・推進する必要がある。
  7. (7)2016年1月の軽井沢スキーバス事故後、貸切バス事業者による事故の撲滅に向けて政府は同年12月、不適格者の排除等により、死亡事故ゼロ、負傷事故10年以内に半減を政策目標・効果とした「改正道路運送法」を施行した。国や「貸切バス事業適正化実施機関」による監査が優先的に行われ、国による事業許可も原則5年おきの審査・更新制となり、問題が多い事業者退出の仕組みが回りはじめている。バス車両も「衝突被害軽減ブレーキ」「ドライバー異常時対応システム」「ドライブレコーダー」装着の順次義務化が進められている。契約上認められる運賃の範囲は、旅行会社と交わす「運送引受書」に記載が義務づけられたが、運賃を抑えたい旅行会社と安くても定期的に仕事が欲しいバス会社の関係から安値競争は続いている。安全対策を含めた品質の底上げに向け、貸切バス事業者安全性評価認定制度(セーフティバス)を取得したバス事業者が選ばれるよう市場環境の整備が必要である。
  8. (8)自動車運送事業における運転者不足が深刻となっている。運転に必要な免許取得にかかる費用の支援や運転支援システムの導入支援、長距離トラックドライバーの休憩を目的としたトラックステーションの拡充と中間拠点で荷を受け渡す「乗り継ぎ方式」の活用など、荷主と運送事業者の協力による取引環境とトラックドライバーの長時間労働改善に向けたガイドラインにもとづく取り組みを進めることが必要である。また適正な賃金水準、安全を維持するための費用の確保、最低輸送運賃の確立などについて、運賃・料金設定の仕組みに適切に反映し、改正貨物自動車運送事業法(2018年12月8日成立)にもとづき、早期に運転者の労働条件改善を進めなければならない。
  9. (9)国土交通省は、改正タクシー特別措置法にもとづき供給削減措置を進め、課題や利用者ニーズの多様化に的確に対応するため、タクシー革新プラン2016にもとづく「事前確定運賃」「相乗りタクシー」「変動迎車料金」「定額タクシー運賃」など需要喚起と運行効率化による事業者の生産性向上の検証を行ってきた。他方で「ライドシェア」は、運行管理や車両整備等についての責任主体、安心・安全といった利用者保護やドライバーの労働者保護等の観点で、厳格に対応していくとともに利用者のニーズに応えられるタクシーサービスを進化させていくことが求められる。また、訪日外国人旅行客によるレンタカー利用と事故が増えており、違反した場合の罰則、交通法規や通行規制等の遵守について外国人利用者に対する説明や環境整備が必要である。
  1. (注1)MaaS ~「Mobility as a Service」の略。自動車や自転車、バス、電車など、全ての交通手段を単なる移動手段としてではなく、一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念。実現には、移動・交通に関する大規模なデータをオープン化し、整備・連携が必要。
  2. (注2)次世代ITS ~自動走行システムの高度な安全性を確保するため、近接する車両や歩行者等の間で互いに位置・速度情報等をやり取りする高度運転支援システム。

1.「交通政策基本計画」の着実な実行により、持続可能な社会基盤としての交通・運輸体系を確立する。

  1. (1)国・地方自治体は、「交通政策基本計画」を着実に実行し、わが国が直面する経済・社会の変化に的確に対応するとともに、国民生活や経済活動を支える社会基盤として、持続可能で強い交通・運輸体系を構築する。交通・運輸を担う人材の計画的な確保に向けて、資格・免許などの技術・技能の習得などの人材育成や同産業への就業を支援する。

    ①国は、交通政策基本計画の趣旨に沿った、地方自治体における計画策定を誘導・指導する。

    ②国・地方自治体は、交通政策基本計画の進捗状況を「見える化」しつつ、目標の達成に向けた施策のフォローアップを行うとともに、法制上・財政上の支援措置を講ずる。

    ③国は、地方自治体に交通政策を担当する専任者を配置するなど、人材を育成・確保する。

    ④国・地方自治体は、交通政策基本計画と整合のとれた自転車活用推進計画を定め、交通安全対策や歩道・自転車道・車道の分離、公共交通機関と連携した災害時における交通機能の維持、国民の健康増進などをはかる。

    ⑤地方自治体は、条例による荷捌き駐車施設の設置の義務化、駐車場法の特例制度として規定された荷捌き駐車施設の集約化、住宅街における駐車規制の見直しなど、地域実情にあわせて物流を考慮したまちづくりを推進する。

  2. (2)国・地方自治体は、「地域公共交通活性化・再生法の改正」などに基づき、「地域が自らデザインする地域の交通」「持続可能性のある地域の移動手段となるサービスの提供の確保」へ法定計画を見直していく。

    ①国は、交通機関の経営効率や地方自治体の財政負担軽減に係るKPIを設定した計画に基づく事業を支援し、その実現に向けては、地方自治体における組織体制充実のための安定的な財源と人財の育成・定着を確保する。

    ②地方自治体は、「法定協議会」「地域公共交通会議」「運営協議会」などで、地域住民に必要不可欠な交通路線の存続や廃止・代替を検討するにあたっては、交通・運輸産業に従事する労働者代表の意見を反映する。また会議運営にあたっては、納得・合意にもとづく協議を実施する。

    ③地方自治体は、新たな路線等の入札にあたって、「安全運行の担保」を明確に位置づけ、国土交通省が示した入札のガイドラインである「地域住民の生活交通を確保するための輸送サービスの運行主体の選定」および「貸切バスにおける新運賃・料金制度」を遵守するよう行政指導を行う。

  3. (3)国・地方自治体は、交通のシビル・ミニマム(生活基盤最低保障基準)維持の観点から、子どもの通学や高齢者の通院など、市民生活に必要不可欠な地域公共交通に対する助成を行い、路線・航路を維持・確保する。特に山間部・離島などに関しては、地域振興と一体となった維持対策を行い、自動運転技術等の先進技術の活用も観点として加え、実証実験などを積極的に展開し、早期の実用化を目指す。また国は、人的・財政的基盤が脆弱な地方自治体への専門人材派遣などの人的支援、財政支援を積極的に行う。

    ①生活交通の存続が困難な地域は、地方自治体が地域公共交通確保維持改善事業の拡充と事業計画策定の簡略化により、地域のニーズを踏まえた最適な代替交通手段を確保する。日常的な生活物資輸送など、離島の住民生活に不可欠な海上航路については、国が補助制度を充実させ、代替船の建造への支援を行う。

    ②複数市町村にまたがるような広域的・幹線的な生活交通路線については、国・地方自治体が地域の生活を支える観点から積極的に支援・補助するとともに、採算を向上させる対策を講じる。

    ③国は、高齢・障がい者の食料品アクセス問題(注3)の解決に向けて、関係府省間で連携し、施策を一体的に推進する。また地方自治体・商工会などで構成する協議会を設置し、情報通信技術を駆使した交流などを通じて「買い物弱者問題」に取り組む先進事例を共有する。また、宅配ネットワーク維持のための「小さな拠点」形成などの施策や貨客混載など、持続可能な買い物環境の改善に向けた仕組みが検討・創出されるよう地方自治体への支援を行い、地域の自立的な取組を促進する。

  1. (注3)食料品アクセス問題~高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」「買い物弱者」「買い物困難者」)が増えてきた。食料品へのアクセスは、商店街や地域交通、介護・福祉など様々な分野が関係する問題で、これまで国の関係府省、地方公共団体の関係部局が横断的に連携し、民間企業やNPO、地域住民などの多様な関係者と連携・協力しながら継続的に取り組まれてきた。

 

2.先端技術を活用し、環境負荷が小さく、すべての利用者が利用しやすい交通・運輸体系づくりを促進する。

  1. (1)国・地方自治体は、地域公共交通を有効活用した交通体系を整備する。

    ①国・地方自治体は、鉄道の複線化・複々線化・相互乗り入れなど、混雑緩和対策・輸送力増強施策とともに、その助成を拡充する。また、市街地における路面電車(LRT)については、地域住民の合意形成をはかったうえで整備する。

    ②国・地方自治体は、車や二輪車・自転車とバスや鉄軌道などの公共交通機関との接続、駐車場・駐輪場の整備といった具体的な計画にもとづき、パーク・アンド・ライドを推進する。

  2. (2)国・地方自治体は、環境対応車(二輪車等を含む)の開発・普及、交通渋滞の解消をする道路システムなど、先端技術を活用し、環境負荷が小さい、自動運転や安全対策、環境に配慮などの技術開発・普及による交通・運輸体系を構築する。

    ①国は、国連自動車基準調和世界フォーラムの自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認をふまえ、自動運転化の実用化に向けた法整備、保険などの検討、自動運転に関するセキュリティガイドラインと高速道路での自動運転を可能とする自動操舵に必要な技術基準の整備、安全技術の促進に向けた支援制度を進める。

    ②国は、環境対応車(二輪車等を含む)の開発・普及のための各種優遇措置を拡充するとともに、充電設備や水素ステーション等インフラ整備に対する支援策を推進する。また、公用車を環境対応車に代替する。

    ③国は、ビックデータの活用、VICS(道路交通情報通信システム)の普及、新交通管理システムの整備を行うとともに、次世代ITSの導入を推進し、交通渋滞や交通事故を減少させる。

    ④国・地方自治体は、交通・物流を効率化するため費用対効果を検証した上で、交差点の立体化、道路の拡幅、環状道路・バイパス道路・物流拠点の適正配置などを実施する。

    ⑤地方自治体は、駐車場・タクシー乗場の他、主要駅での路線バス乗降場および貸切バスの駐車場の整備など、停まる安全を推進する。

  3. (3)国・地方自治体は、2020年度以降の「第7次総合物流施策大綱」の策定にあたって、自動車・鉄軌道・航空・海運などの各物流機関を最適に組み合わせ、安全かつ確実で、環境負荷の小さい物流体系の整備を推進する。

    ①国は、物流の国際展開において、現地企業との親和性、多国間との連携をはかるための標準化の視点から、国際的に通用する戦略とビジネスモデルおよびシステム構築、社内体制の整備を促進し、民族性、言語、商習慣、インフラ整備の状況、現地特有ネットワーク、異なる規制や法制度、会計・税務への対応など、課題克服へ向けた支援を進める。

    ②国・地方自治体は、長距離貨物輸送におけるモーダルシフトを推進する。

    a)港湾での鉄道施設の整備、貨物鉄道と海上大型コンテナ輸送を結合する。

    b)大都市間貨物鉄道経路・時間の確保、コンテナヤードの増強、貨物駅を改良する。

    c)港湾と道路の一体的整備、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの整備、環境負荷の小さい船舶の普及を促進する。

    ③国・地方自治体は、都市内・地域内物流の効率化のため、共同配送拠点を整備する。

    ④国・地方自治体は、物流情報提供設備を整備し、道路交通等の各種情報を提供する。

    ⑤国・地方自治体は、物流事業者における、ゼロエミッション自動車の普及を促進する。

  4. (4)国・地方自治体は、ユニバーサルデザインにもとづき、すべての利用者が円滑に移動・乗換えできる、交通機関・交通施設の整備を促進する。

    ①国・地方自治体は、旅客施設について、ユニバーサルデザインの推進、ホームドアの設置とベビーカーの利用環境改善、幅の広い歩道整備、歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、バリアフリー対応型信号機、見やすく分かりやすい道路標識・道路標示などの整備、視覚障がい者用ブロックの整備、誰でも使えるトイレの設置などによる、すべての人が利用しやすい施設整備を推進する。また国は、地方自治体が施工するエレベーターの設置、人工地盤や通路の新設など大規模工事に対する人的・財政的支援を行う。

    ②国・地方自治体は、旅客車両について、バリアフリー車両の導入を促進し、高齢者・障がい者などにやさしい交通事業を組み合わせて、地域の実態にあった効果的な交通環境整備を支援する。

    ③地方自治体は、高齢者・障がい者およびその介護者に対する福祉目的の運賃・料金割引を拡充するとともに、利用しやすい料金体系やダイヤを整備できるよう、地域の公共事業者と病院やスーパーなどとの業務提携を支援する。

    ④国は、「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」にもとづく、公共交通の利用環境の向上、まち歩きを促す歩行空間の整備などへの支援を行うとともに、「心のバリアフリー」啓発活動、多言語対応、無料公衆無線LAN環境提供や多言語表記案内の改善、観光地における公衆トイレの整備など、ユニバーサルデザインにもとづくまちづくりを関係機関と調整し進める。

  5. (5)国・地方自治体は、事故を未然に防ぎつつ機能性を向上させるための道路整備や信号制御の高度化を行い、諸外国における歩きスマートホン操作の禁止・罰則例を参考に地域事情に応じて、歩きスマホについても条例等による規制を検討し、安全で人間優先のみちづくりを推進する。また、障がいの有無、年齢、性別、人種などにかかわらず安全に安心して利用できる道路環境を形成するため、コミュニティゾーン形成事業、あんしん歩行エリア、自転車通行環境整備モデル地区などの各種施策を推進する。

3.災害に強い交通・運輸体系を構築し、交通・運輸全般の安全強化と輸送の安定確保を両立する。

  1. (1)国・地方自治体は、東日本大震災や熊本県を中心とする九州地震、西日本集中豪雨災害や北海道胆振東部地震など、想定外の自然災害が多発する現状をふまえ、災害に強い交通・運輸体系を構築する。(「防災・減災政策」参照

    ①地方自治体は、災害に強い物流システムの構築に向けて、物流総合効率化法にもとづき広域物資拠点として機能すべき特定流通業務施設(民間物流施設)の選定を進め、非常用電源を完備する。また、自治体等の関係者などから構成される協議会を活性化し、地域事情に応じた支援物資輸送を実現するための広域連携体制を構築する。

    ②国は、港湾の事業継続計画(港湾BCP)の策定を支援するとともに、民間事業者との連携を進め、「災害救援フェリー」による救急輸送ネットワークを整備する。また、海上輸送については、レーダー等の施設整備、航路標識の耐震・耐波浪補強、航路用電源の自立型電源化(太陽電池化)を支援する。

    ③国・地方自治体は、発災時に被災地の支援を可及的速やかに実施するため、燃料備蓄を進めるとともに、代替輸送手段を迅速に確保できるよう、平時から輸送モード間の連携を促進する。

    ④国・地方自治体は、交通運輸インフラの耐震・津波・浸水・土砂災害対策や老朽化対策に対する支援を拡大し公共輸送機関の安全を確保するとともに、ICTを活用した渋滞情報・規制情報の提供などによる道路交通対策を行う。

  2. (2)国は、自動車運転者の労働時間の短縮など労働環境の改善をはかり、ワーク・ライフ・バランスおよび安全輸送の観点から、自動車運転者の長時間労働の改善および公正競争の確保のために、労働環境や賃金体系が適正なものとなるよう関連諸法の改正を行う。

    ①国は、自動車運送事業における監査体制の強化、自動車運転者の過労運転防止のための運行管理の高度化などを通じて、安全対策を強化する。

    ②国は、長時間労働による「精神的・肉体的疲労からの回復」と「交通事故の防止」をはかるため、「休息期間」と違反事業者に対する罰則を法律に規定する。また「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(告示)の最大拘束時間の見直しをはかるとともに、事業者に連続休息期間の確保を義務づける。

    ③国は、すべての事業用自動車にデジタルタコグラフおよびドライブレコーダーの搭載や、現行車両も含めた衝突被害軽減ブレーキシステムの義務化を進める。また、すべての事業者に定期的な電子監査を義務づけ、関係省庁で摘発に必要な情報を共有化する。

    ④国は、規制緩和による過当競争や賃金体系における過度な歩合制が低賃金・長時間労働の原因であるため、安全輸送の観点から累進歩合制度の禁止を法律に明記する。また、需給調整規制や運賃規制などにより、不適切な事業者を排除する制度を構築する。

    ⑤国は、「適切な賃金(報酬)・労働時間を無視した」発注(発注業者・荷主・顧客)を規制するため必要な法整備を行う。また、事業者が「確保すべき適正な人件費」を道路運送法などに規定し、正確な各種統計をもとに毎年規定の適正な人件費を改定する。

    ⑥国は、事業への参入用件を厳格化するとともに、事業者に対する事業継続の許可について、事業場の労働者の労働・社会保険への加入状況をより厳格に精査する。

  3. (3)国・地方自治体は、いわゆる「ライドシェア」などの新たな有償旅客運送事業について、既存の公共交通で保障されている利用者の安心・安全が確保されない限り、導入しない。また、空港、港湾、観光地において、訪日外国人旅行客を対象とした違法な白タク・白バス類似行為が目立つことから、道路運送法をはじめとする法令違反として厳正に対処する。
  4. (4)国は、車内・機内・船内における迷惑行為・危険行為などを規制・抑止するよう、迷惑行為・危険行為・暴力行為に対する乗務員の権限および罰則を強化する。
  5. (5)国は、飲酒や薬物中毒が原因とされる運転による交通事故を未然に防ぐため、危険運転に対する厳罰化をはかる。また交通事故発生時には、飲酒事実調査を必ず行い、交通事故証明書に結果を記載する。認知症が原因とされる交通事故対策として、より多くの高齢者が高齢者講習等を受けることができるよう環境を整備するとともに、高齢者の身体的かつ経済的負担を考慮した運転免許更新制度の改正および代替移動手段の確保を検討する。
  6. (6)国・地方自治体は、交通事故・負傷者の減少、交通事故死亡者ゼロをめざす。

    ①国・地方自治体は、急発進や急ブレーキをしないエコ運転の推進、交通安全教育の充実、運転技術の維持向上、安全な車とまちづくりを促進する。

    ②国・地方自治体は、高齢運転者による交通事故を防止するため、運転支援システムなど先進技術を搭載した自家用車への買い換え支援や、交通事故分析にもとづく交通安全に関する教育・啓発活動を推進する。

    ③国・地方自治体は、訪日外国人旅行客による交通事故の防止や事故被害者の利益を守るため、車線規制や速度規制、交通標識などの国内交通ルールや、事故発生時にとるべき行動などについて、運行供用者による外国人自動車運転者への周知を徹底する。

  7. (7)国は、自動車損害賠償保障制度により、ユーザーから支払われた保険料の一部が国の一般会計に貸し出されている状態を改め、自動車ユーザーによる共助システムについて、制度で定められた被害者救済事業や交通事故予防の研究事業の持続可能性が損なわれることがないように保険料を早期に返還する。
  8. (8)国は、航空機を利用したハイジャックなどの犯罪対策を強化して、航空法へ航空保安に関する国の責任を明記し、旅客・荷主各々の義務を明確にするなど航空保安体制を整備する。
  9. (9)国は、民間機優先の空域再編を実施するとともに、国土交通省・防衛省(自衛隊)・在日米軍に分かれている航空管制を国土交通省へ一元化し、航空安全を強化する。
  10. (10)国は、一元的な海上交通管制のもと、船舶の動静監視および情報提供体制を整えた、海上交通センターの機能向上をはかる。
  11. (11)国は、海洋汚染被害発生の未然防止・被害軽減をはかるため、日本領海へ立ち入る外国籍船舶に対し、賠償責任保険への加入を義務付けた船舶油濁損害賠償保障法の適切な運用をはかるとともに、海難時の油流出防止対策や外国船の座礁などによる油濁損害の防除費用に対する地方自治体への補助を実施する。
  12. (12)国は、国内空港における外国航空機による運送(シカゴ条約)、国内港間における外国船舶による旅客・貨物の沿岸輸送(船舶法)を認めないカボタージュ規制について、国内輸送の安全性を担保するため、一元的に制度の維持・運用をはかる。
  13. (13)国は、混雑が著しい港湾・浅瀬・狭水道における船舶航行の安全対策の強化・通航制限の解消のため、航路整備の推進、航路内漁網の排除、新規埋立事業・大型浮体構造物設置に際しての港湾機能・海上交通との調整、わが国に寄港する外国籍船舶への水先人の乗船・タグボート使用の義務化や責任制限の整備など各種対策を強化するとともに、事業停止・許可取消も含めた罰則強化・責任追及を推進する。
  14. (14)国は、コンテナ輸送の安全性を確保するため、アメリカ運輸省規則(49CFR)(注4)を参考に、積荷内容(重量、危険・有害物質等)・積付方法などの情報提供を荷主に義務付ける「海上コンテナ安全運送法(仮称)」(注5)を制定する。危険・有害物質輸送に関する国内規制に関して、危険・有害物質表示を国際基準に統一する。航空貨物については、国際民間航空機機関(ICAO)が定める世界航空保安計画(GASeP)にもとづき、新KS/RA制度(注6)を検証・改善する。
  15. (15)国は、航空・船舶・陸上輸送貨物および郵便への無申告危険品の混入を防止するため、国内法で危険品の荷主責任を明文化するとともに、国の責任で危険品に係わる申告義務を徹底させるとともに、荷主・梱包業者・代理店に対して、危険品を取り扱う責任に関する教育を義務化し、違反者への罰則を強化する。
  16. (16)国は、海上輸送の安定・安全性確保のため、日本籍船舶と日本人船員の確保、海賊・武装強盗などへの対応強化に向けた国際的な連携・協力など、必要な措置を講じる。
  1. (注4)アメリカ運輸省規則(49CFR)~the Code of Federal Regulations:アメリカにおける、輸出入の危険品輸送に関する規則。
  2. (注5)「海上コンテナ安全運送法(仮称)」 ~輸送の責任を明確にし、荷主、船社、港運、運送会社と港湾関係に携わる労働者の安全を守るための新法。
  3. (注6)新KS/RA制度 ~新known Shipper(特定荷主)/Regulated Agent(特定航空貨物利用運送事業者)制度:国際民間航空機関(ICAO)の国際標準などにもとづき、セキュリティレベルを維持しつつ物流の円滑化を図るため、荷主から航空機搭載まで一貫して航空貨物を保護する制度。

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