横断的な項目|男女平等政策

2-27-0.(横断的な項目)・男女平等政策<背景と考え方>

  1. (1)2026年3月、政府は「第6次男女共同参画基本計画」を閣議決定した。しかし、過去の基本計画で掲げられた目標の多くが未達成であり、それらの実現に向けた具体的な対策が急がれる。世界の潮流は2030年までの完全なジェンダー平等の実現(いわゆる203050)であり、これ以上の停滞は許されない。世界経済フォーラムが発表しているGGI(ジェンダー・ギャップ指数)の順位でも、日本は148ヵ国中118位(2025年)と先進国で最下位となっており、特に政治・経済分野での男女間格差が指摘され続けている。その背景には、政治をはじめとする社会のあらゆる分野でジェンダー平等に対する意識の低さがいまだぬぐえない状況がある。
     2021年6月に改正された「政治分野における男女共同参画推進法」により政党や国・地方自治体の施策と責務が強化されたが、女性議員の数は遅々として増えない。政治分野における女性の参画をより積極的に推進するため、クオータ制導入へ向けた法整備が必要である。
  2. (2)「令和6年版働く女性の実情」によると、2024年の女性の雇用者数は2,830万人、雇用者総数に占める女性の割合は45.4%であり、ゆるやかな上昇傾向にある。女性の年齢階級別労働力人口比率をみると、35~39歳を底とするいわゆるM字カーブの谷の部分は浅くなりつつある。一方、女性雇用者数に占める雇用形態別の割合(役員を除く)をみると、「正規の職員・従業員」47.4%、「非正規の職員・従業員」52.6%であり、女性の正規雇用比率は、25~29歳をピークに低下しているL字カーブを描いている。
     日本の男女間賃金格差は、長期的には縮小傾向にあるものの、そのスピードは緩やかである。2026年の女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者数101人以上の企業に対し、「男女の賃金の差異」および「女性管理職比率」の情報公表が義務づけられたが、数値を公表するだけではなく、手当を含む賃金制度に加え、評価や昇格・昇進といった運用面を含めて要因分析し、是正に向けて取り組むことが必要である。
     女性活躍推進に関する情報は、将来の業績予想や投資判断の際の有効な指標となり得る。男女が共に働きやすくなることが、多様なバックグラウンドを持つ人が会社に増えることにつながり、新しい取り組みやイノベーションが生まれるきっかけとなると考えられている。多様な人材、特に優秀な人材を引き付ける力や、意思決定や判断に多様性を浸透させることが、価値を高める上でも重要となってきている。
     女性が直面している様々な困難が解消され、働きがいを持てる就業環境の整備は急務であり、女性活躍推進法のさらなる周知・点検の徹底と定着、中小企業への浸透など、法の実効性を高める必要がある。
  3. (3)男女がともに仕事と生活の調和を実現するためには、働き方を見直し、男性も含めた労働時間の短縮や、仕事と育児や介護等の両立支援に向けた環境整備が不可欠である。加えて、男女とも家庭や私生活の調和における希望に応えつつ、キャリア形成がはかれるよう、短時間勤務からフルタイム勤務への復帰支援や、育児・介護休業から職場復帰した後のキャリア形成支援策の充実・周知が重要となる。
     厚生労働省が希望する仕事と育児のあり方を調査した結果によると、女性は子が生まれて間もなくは休業、1歳以降は短時間勤務を希望する割合が高いが、3歳以降はフルタイムで残業しない働き方や柔軟な働き方(フレックスタイム制を含む出社・退社時間やシフトの調整、テレワーク)を希望する割合が高くなる。また、男性は子の年齢によらず、フルタイムで残業しない働き方や柔軟な働き方を希望する割合が高い。
     一方、介護の状況を見ると、家族の介護や看護のために離職した労働者は、年間約10万人で推移している。多くの事業所で介護休業等の規定が整備されているものの、介護休業者がいる事業所の割合は1.9%にとどまっており(厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」)、離職の背景には、制度の内容やその利用方法に関する知識が十分でなかったケースもあると考えられる。
     こうした背景を踏まえ、育児に関しては、子が3歳以降において、フルタイムでの柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、介護に関しては、制度を活用せず離職することを防ぐため、早期の制度周知や個別の周知・意向確認を事業主に義務づけることを主な内容とする改正育児・介護休業法が、2025年4月1日と10月1日より、二段階で施行された。
     男女が共に育児と仕事を両立しながら、キャリア形成をはかり、介護に直面した場合でも離職することなく就業を継続するためには、改正育児・介護休業法において望ましいとされた取り組みの法整備を含め、積極的な両立支援の推進が必要である。
  4. (4)2019年6月、ILOは第108回総会において「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」に関する条約と勧告を採択した。あらゆるハラスメントの根絶は今や国際的な課題となっている。
     日本の現状は、「令和6年度都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について」によると、マタニティ・ハラスメントに関する相談が1,580件と前年よりも減少し、一方、セクシュアル・ハラスメントに関する相談は7,727件、パワー・ハラスメントに関する相談が72,789件と前年よりも増加するなど、ハラスメントに関する全体の相談件数が202,311件と20万件を超え、過去最多を更新し続けている。
     2026年10月には改正労働施策総合推進法、改正男女雇用機会均等法が施行され、カスタマー・ハラスメントと求職者等に対するセクシュアル・ハラスメントの防止措置が事業主に義務化される。職場におけるハラスメントを行ってはならないことを明確にしたうえで、社会における規範意識醸成に取り組むことを国の責務とするなど、ハラスメントの抑止効果が期待される。しかし、ハラスメントが蔓延する現状に鑑みれば、ハラスメント行為そのものを禁止することが重要であり、さらなる法整備に向けて早期に取り組む必要がある。 
     なお、職場以外でも女性に対する差別発言や性的指向・性自認(SOGI)に関する問題発言などが頻発しており、あらゆるハラスメント対策を求める声が高まっている。G7広島サミットを契機として2023年6月にLGBT理解増進法が制定されたものの、同法は差別の禁止を規定するものではなく、極めて不十分な内容である。法の履行確保のため、施行状況を継続的に確認・検証する仕組みを構築し、差別の禁止を含めた法改正に向け、当事者と連携して取り組む必要がある。
  5. (5)国連で採択された「持続可能な開発目標・SDGs」に係る施策を総合的かつ効果的に推進し、目標を達成させていく必要がある。貧困や不平等をなくし、年齢や性別、障がいの有無などにかかわらないディーセント・ワークの実現に向け、女性のエンパワーメント、女性に対するあらゆる形態の差別や暴力の根絶などをめざす目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の取り組みを中心に位置づけることが重要である。
     そのうえで、国際的な連携をはかり、条約などの取り決めを遵守する姿勢を示すべきである。女性差別撤廃条約にもとづく性差別禁止、特に雇用の全ステージにおける直接・間接差別の禁止に関する法制度の充実が必要である。また、「雇用及び職業についての差別待遇」に関するILO第111号条約や、2021年6月25日に発効した「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」に関するILO第190号条約を早期に批准すべきである。さらには、ILO条約勧告適用専門家委員会が日本政府に強く求めている同一価値労働・同一賃金の原則の実現による均等待遇の確保や、性やライフスタイルに中立な税・社会保障制度の実現による格差是正、貧困の解消が強く求められている。
     加えて、日本は、国連女性差別撤廃委員会から再三の勧告を受けているにもかかわらず、選択的夫婦別氏制度を導入するための法改正が実現していない。この制度については、国民世論で実現を望む声が高いにもかかわらず、「第6次男女共同参画基本計画」には、審議を経ずに旧氏使用拡大の法制化などが盛り込まれた。選択的夫婦別氏制度については極めて消極的な記述にとどまっており、民法における男女差別の解消に向けて継続的な運動を展開する必要がある。
     2024年4月に施行された改正民法(親子法制)により、母の再婚後、300日以内に生まれた子は再婚後の夫の子と推定することや、嫡出否認の権利が夫だけでなく母と子にも認められ、訴えを起こせる期間が1年から3年に延長されるなどの一定の見直しが行われたものの、再婚しない場合の子は無戸籍者となり得る課題などが残っており、解消に向けた見直しが求められる。
     また、2026年4月に施行された改正民法(家族法)については、国会審議において、監護者指定が必須でないために親権行使が滞る可能性や、協議離婚時の親権者の定めなどに関して適正な協議がなされない恐れなど、数多くの問題や懸念が明らかとなっている。施行後の運用において、改正法が真に子の福祉・権利保障などに資するものとなっているか、検証が求められる。現場で生じている課題や懸念を丁寧に把握・公表するとともに、必要に応じて運用の改善や法制度の見直しを含めた検討を継続し、現場に対する実効性ある支援に取り組む必要がある。

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