5.くらしの安心・安全の構築|東日本大震災からの復興・再生および防災・減災に関する政策
- (1)国・地方自治体は、避難勧告と避難指示が一本化されたことに伴い、個別避難計画を作成するとともに、すべての人が自然災害に関する情報を利用できる体制を構築する。わが国の公助、共助、自助、外助が適切に機能する「災害マネジメントサイクル(Disaster Management Cycle)」を構築し、人命を最優先しつつ自然災害リスクに対する国民のリテラシー向上に向けてハザードマップを周知するとともに、活用に向けた防災教育を徹底し、関係団体と連携し、社会全体としての防災能力を向上させる。
- (2)地方自治体は、平時から地域における「顔の見える関係」を構築し、災害時の助け合いにつなげ、女性、子どもも含めた地域のコミュニティづくりを推進する。
- (3)国・地方自治体は、地域防災計画の策定・修正において、地域住民・地域企業の意見を反映させることはもとより、地方防災会議に女性・若年者・高齢者・障がい者・生活困窮者・外国人労働者の参画を担保する。地域防災会議へは、多様な立場の参画を担保し、タイムライン防災などについて住民の理解が深まる理解促進をはかる。(「社会保障制度の基盤に関する政策」(12)① 参照)
- (4)地方自治体は、国が定めた「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」に従って防災・復興に取り組むとともに、防災担当部局に女性職員を配置し、女性のニーズを把握する。
- (5)国・地方自治体は、市民・事業者による自主防災活動との連携や、災害に対するボランティア活動など地域で求められる役割を広く周知・広報するとともに、ボランティア休暇制度の充実について産業・使用者団体等の理解を促進する。また地方自治体は、地域の社会福祉協議会が災害時の被災地支援活動を円滑かつ体系的に実施できるようにするため平時から社会福祉協議会の強化を支援する。さらに、災害時に避難施設となりうる民間施設の登録利用とともに、当該施設を所有する企業・組織への支援・助成制度を構築する。
- (6)国・地方自治体は、支援協定の締結など地方自治体間の連携を促進する。また、支援協定にもとづく特例として、行政機関の許認可などにより営業区域が限定される民間事業者が、指定営業区域を越えて被災地支援を行えるよう、法整備を行う。
- (7)被害が広域・甚大で当該地方自治体の対応能力が著しく低下している場合には、首長の要請がなくても自衛隊の出動を含め、国が復旧・復興の指揮を執る。さらに、甚大な被害が発生した被災自治体の自主財源が乏しく、その後の復旧・復興に向けて、国による財政支援の明確な担保と長期的な支援が必要な場合には、特別の立法措置を行う。
- (8)国・地方自治体は、首都直下地震や南海トラフ巨大地震、台風や集中豪雨などの風水害に備えるとともに、災害に強い国土づくりに向け、人命を最優先にして被害の最小化をはかる減災対策を推進する。
- (9)国は、被災者生活再建支援法を改正し、被災者の住宅に対する被災者生活再建支援金の対象・金額を拡大する。また、応急仮設住宅の建設、公営住宅などの提供、被災者が自ら民間賃貸住宅を仮住居とした場合の家賃補助など、仮住居に関する公的支援を拡充する。なお、応急仮設住宅での滞在期間が長期化する場合、早急に仮設ではない公営住宅等に移り住むことができるよう対策を強化する。
- (10)国・地方自治体は、地震保険の制度としての強靭性を高めつつ、関係団体と連携し、地震保険の必要性や制度内容をこれまで以上に周知・広報し、その普及・促進を行う。
- (11)国・地方自治体は、防災上、緊急整備を要する地域や被害・復旧コストを明確に公表し、地域住民の自然災害に対する認識を深める。また、「都市防災総合推進事業」の範囲を拡大し、都市以外においても「災害危険度判定調査」を実施するなど、防災整備事業を拡大する。
- (12)国・地方自治体は、自然災害に対応できる人材確保を含めた体制の維持をはかる。
- (13)国・地方自治体は、電気・ガス・石油・交通・運輸などの社会インフラに関する防災・減災対策について、作業員の安全を確保しつつ、ハード・ソフトの両面から強化し住民への周知をはかる。
- (14)国・地方自治体は、近年の多発する災害を受け、雇用確保に向けた施策、企業による地域への貢献、避難所の提供などに対する支援を含む企業の「事業継続計画(BCP)」の策定を努力義務として法制化し、その策定・改定を促進する。また、まだBCPを策定していない中小企業に対する策定支援について、技術的支援を行うとともに、企業の防災対策の強弱を入札における加点要素に加えるなどBCP改定・制定のインセンティブを導入する。
- (15)国・地方自治体は、企業の安全配慮義務が自然災害にもおよぶことを周知・広報し、就業中の事業場で遭った自然災害や、帰宅を命じた際の通勤途上などでの労働者保護をさらに促進させる。
- (16)国・地方自治体は、防災教育の場としての「学校」に継続的な防災教育の仕組みを構築していくとともに、地域住民を対象とした防災訓練や勉強会を実施し、防災意識の向上と危険地域の周知徹底をはかる。また、災害時に子どもが通う学校と保護者が情報共有するための安価で安定的なシステムを開発・普及するとともに、帰宅できない子どもが多く発生する場合に備え、あらかじめ学校と保護者の間で引き渡し判断などのルールについて確認する。
- (17)国・地方自治体は、災害用の装備品・備蓄品について、女性、高齢者、障がい者、子ども、外国人労働者の意見もふまえて拡充するとともに、防災訓練を強化する。(「社会保障制度の基盤に関する政策」(12)① 参照)