3.安心できる社会保障制度の確立|年金政策

2-12-1.就労を阻害せず、働き方などに中立的な社会保険制度を構築するとともに、すべての人が安心してくらし続けられるよう、基礎年金の基盤強化や所得比例年金・最低保障年金の創設など抜本改革を進め、真の皆年金を実現する。

  1. (1)第一段階の改革

    ①公的年金制度の充実と生活手当(仮称)の導入

    a)年金制度における所得再分配機能の一層の強化と財源の確保を行いつつ、基礎年金の給付水準を改善するため、以下のとおり対応する
    ア)高齢期の生活の基礎的部分を賄うものである基礎年金(老齢・障害・遺族)と障害厚生年金については、マクロ経済スライドの対象から外す。 イ)基礎年金における税財源の割合を段階的に引き上げる。引き上げに要する財源は、所得税の累進性の強化、資産課税の強化など所得再分配の機能強化を前提に、消費税の税率引き上げを含め確保する。 ウ)所得額に応じて、基礎年金(税財源分)を国(年金財政)に返金する制度(クローバック方式)を導入する。

    b)高齢期において安心してくらせる所得保障を実現するため、以下のとおり対応する。
    ア)最低保障年金が確立するまでの間、低年金・無年金を解消することを目的として、年金生活者支援給付金制度を大幅に強化した「生活手当(仮称)」を導入し、低年金者には保険料納付済期間などに比例した加算を設け(生活手当Ⅰ)、働く意思がある無年金者などには最低額を保障しつつ保険料納付済期間等に比例した社会手当を支給する(生活手当Ⅱ)。なお、実施に際しては、地方自治体や日本年金機構が低所得者に対し免除申請を奨励するとともに、障がいのある人への手続き面での支援を充実する。 イ)生活手当Ⅱは、働くことを希望するすべての人に支給し、65歳以上を対象として高齢期の求職活動を支え一定の生活支援を行う「高齢者手当(仮称)」と、65歳未満を対象として就職準備支援を行う「求職者手当(仮称)」という二種類の手当を設ける。

    c)第3号被保険者制度を将来的に廃止する。廃止に向けて、第3号被保険者の生活実態の分析も含めた検討を行う会議体を早期に設置するとともに、以下のとおり対応する。
    ア)まず、第3号被保険者を縮小するため、新たに第3号被保険者になることができない制度とする。次に、10年程度の期間を設けて、既第3号被保険者については以下の要件を満たさない場合、第1号被保険者となる。その際、世帯単位で見て低所得者への年金保険料の減免措置を設ける。 ・最初の5年程度の期間で、第3号被保険者の配偶者に「年収850万円未満」または「所得が655万5000円未満」との所得制限を設ける。 ・次の5年程度の期間で、前述の年収・所得要件に加え、第3号被保険者本人に、子ども(18歳の誕生日の属する年度末まで、または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある婚姻していない子どもに限る)を養育する親との要件を設ける。 イ)以下の考え方にもとづく改正とともに、上記を経ても第3号被保険者である人については第1号被保険者に区分することで、第3号被保険者制度は廃止となる。 ・過去に第3号被保険者期間があった受給者の基礎年金は減額しない。 ・廃止時点で第3号被保険者である人、受給者ではないが過去に第3号被保険者であった期間がある人について、第3号被保険者としての加入期間は、保険料納付済期間として将来の基礎年金は減額しない。 ・公的年金制度における次世代育成支援の観点で、育児期間中の社会保険料免除措置を拡大(例:「子が小学校入学までの期間」など)する。 ・様々な事情により働くことができず無年金となる人、受給資格期間を満たしたとしても低年金の人に対しては、生活手当(仮称)などの加算で対応する。

    ②すべての労働者への被用者保険の適用

    a)就業形態や企業規模にかかわらず、すべての労働者の被用者保険への適用を行うため、以下のとおり対応する。
    ア)短時間労働者に関する労働時間要件(週20時間以上)を撤廃する。 イ)当面期限を定めず適用除外とされている常時5人以上の非適用業種の既存個人事業所および、常時5人未満の個人事業所も対象とする。 ウ)企業規模要件は速やかに撤廃し、それまでの間は任意適用を促進する。 エ)学生除外要件については、学生は学業が本業であることを踏まえ、将来的な検討課題とする。 オ)被扶養者の年収要件も現行の130万円未満から給与所得控除の最低額未満とする。(「社会保障制度の基盤に関する政策」参照) カ)「曖昧な雇用」で働く人で労働者性が認められる場合は、確実に被用者保険を適用するとともに、社会実態にあわせて労働者概念の見直しを行い、被用者保険に適用される範囲を拡大する。 キ)複数就業者については単一事業所で満たさない場合に適用対象外となっている現行制度を見直し、単一事業所で満たさなくても複数事業所で満たす場合には被用者保険を適用する。

    b)所得比例年金の一元化に向けて、自営業者などの所得を捕捉する仕組みを確立する。

    c)厚生年金の持続可能性を高め、世代間の公平性を確保するため、以下のとおり対応する。
    ア)標準的な雇用労働者の所得代替率は、将来にわたって税・社会保険料を除く手取りベース50%を維持する。 イ)マクロ経済スライドの名目下限措置を撤廃し、経済状況にかかわらず、厚生年金(障害厚生年金を除く)の給付水準を調整する。

    d)高齢期における就労を阻害しないよう、就労収入にもとづく年金額の調整などについては、働き方に中立的な制度とする。

  2. (2)第二段階の改革

    ①すべての働く人が加入する所得比例年金制度の創設

    a)多様な生き方や働き方に対応した所得比例の年金制度を実現するため、以下のとおり対応する。
    ア)自営業者などの所得捕捉を徹底した上で、自営業者などが加入する所得比例年金制度を創設する。なお、創設時の保険料率、保険料負担については、加入者の合意をはかり決定する。 イ)自営業者なども含めてすべての働く人が同じ所得比例年金制度に加入する。公平性を確保するため、保険料は所得に応じて負担し、納付した保険料に応じて年金を受給する制度とする。

    ②すべての人への所得保障の充実

    a)最低保障年金の創設
    ア)働く意思の有無にかかわらず、所得比例年金が一定額以下のすべての人に基礎年金と生活手当を組み替えた最低保障年金を支給する。最低保障年金の受給に際しては、保険料納付などにかかるインセンティブ低下を防ぐため、保険料納付済期間等に反比例する若干の給付制限を行う。ただし、保険料納付等の手続きを行うことができない理由があると認められる場合については、満額を支給する。 イ)最低保障年金については、マクロ経済スライドの対象とはせず、一定水準の所得代替率を維持する。

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