- (1)すべての人に予防・健康づくりの重要性を周知し、生活習慣の改善など個人の行動変容を促すため、以下のとおり対応する。
①地方自治体、保険者、事業主、マスコミ、教育機関、NPO、労働組合など地域社会全体で、心身の健康維持・増進に向けた取り組みを加速する。
②予防・健康づくりの積極的な推進をはかる保険者に対し、保険者横断的な財政的インセンティブを強化する。ただし、インセンティブ制度を活用した取り組みについては、保険料率の加減算への反映やペナルティの導入、賃金・労働条件への反映は行わないこととしつつ、個々の健康状況に応じた目標の設定など、誰もが参加できる仕組みとする。
③自らの運動量や食事のデータを登録し、ビッグデータ等を活用した統計情報が閲覧できる仕組みを構築するなど、予防・健康づくりに向けた意識の涵養や行動変容を促す。また、適切な情報提供にもとづく個人の主体的な意志を前提に、個々の健康状況などに応じた積極的な取り組みを評価する仕組みを創設する。
- (2)特定健診・特定保健指導の実施率の向上をはかるため、事業主に対して、非正規雇用労働者を含め、特定健診・特定保健指導を受ける際に就業上の配慮を徹底する。また、特定健診と市町村が実施する各種健診との同時受診を拡大するなど利便性の向上をはかる。
- (3)被保険者・被扶養者の健康増進のため、事業主から提供を受けた健診情報等を保険者が効果的に利活用し、保険者と事業主によるコラボヘルスの推進をはかる。また、「日本健康会議」や、「健康日本21(第3次)」の取り組み内容の周知徹底をはかる。
- (4)保健所や市町村保健センターにおける保健指導の体制強化を進める。また、個人情報、プライバシー保護を前提に、インターネットを活用した健康相談の仕組みの検討を進める。
- (5)メンタルヘルスを含む様々な疾病の予防や対処方法、医薬品の適切な使用方法や副作用、予防接種の副反応などに対する国民の理解を深めるため、国は地方自治体や医療機関、介護事業者、保険者、学校などと連携し、世代を問わず積極的な健康教育をいっそう推進する。また、児童生徒の発達段階に応じた性感染症予防、依存症の防止を含む薬物乱用防止教育を推進する。
- (6)予防接種や輸血、血液製剤などに起因するウイルス肝炎などについては、慢性肝炎・肝硬変などを高額療養費制度の「特定疾病」の対象疾病とするなどの医療費負担の軽減をはかる。また国は、職域での検診の実施や肝炎治療休暇の促進を事業主に働きかけるとともに、地域間の肝炎医療の均てん化、ウイルス性肝炎に対する差別・偏見の禁止と周知啓発、慢性肝炎患者への障害年金の支給、拠点病院の整備など、総合的な対策を推進する。
- (7)新型インフルエンザをはじめとする新興・再興感染症に対して、世界的大流行(パンデミック)への備えも含め、以下の対策を講じる。
①国・地方自治体は、指定医療機関や保健所の機能強化を通じて、各種検査体制の拡充等、感染力や重篤性などの観点から危険性が極めて高い感染症などに対する対策を、平常時から準備する。また、その初期症状や予防方法、感染防止策などについて、国民に十分な周知・広報を行う。
②国は、予防と治療に必要な衛生資材、検査キット等の医療材料、治療薬、ワクチンなどを速やかに提供できる生産・備蓄・流通体制を整備する。
③国・地方自治体は、医療提供体制を確保し国民の生命・健康を維持するとともに、国民生活への影響を最小限にとどめるため、社会機能維持のため不可欠な業務に携わる労働者を労使合意の下に選定し、衛生資材、検査キット等の医療材料、治療薬、ワクチンなどを提供する。
④国・地方自治体は、平常時から感染症に関する正しい知識の普及・啓発、相談体制の強化など、感染症に対する偏見・差別等の防止に向けた対策を強化する。また、社会機能維持のための業務に携わる者の子どもの保育を確保する。
⑤国・地方自治体は、医療・介護・福祉従事者のメンタルヘルス対策を講じる。
⑥保健所、医療機関、保険者等の事務作業の効率化に資するよう、各種システムの運用の整理・見直しを検討する。
- (8)リプロダクティブヘルス/ライツの概念を踏まえ、女性の生涯を通じた性と生殖の健康・権利への支援を行う。
①各市町村や学校、職場で行う健康教育では、男女にリプロダクティブヘルス/ライツの知識の普及をはかる。
②女性の月経困難症、妊娠・出産、および女性特有の疾病などについて周知するとともに、すべての都道府県に女性健康支援センターを設置し、保健所・女性センターなどにおいても性差を考慮した健康相談が受けられるよう環境を整備する。
③母体保護法をリプロダクティブヘルス/ライツにもとづいた内容に改正する。刑法第29章「堕胎の罪」は廃止する。