- (1)労働者の団結権の擁護および労働関係の公正な調整をはかる専門機関としての労働委員会の改革・活性化を促進する。
①物件提出命令や証人出頭命令の運用を見直し改善する。
②労働委員会の出した物件提出命令や証人出頭命令に不服がある場合の行政訴訟を制限する。
③労働委員会命令の行政訴訟においては、「実質的証拠法則」を導入して労働委員会の判断を裁判所に尊重させる。
④労働委員会命令の司法審査は、地方裁判所からではなく高等裁判所からとする。
⑤労働委員会の「救済命令」の実効性の観点から、受訴裁判所による「緊急命令(取消訴訟の進行中に「救済命令」の全部または一部を暫定的に強制履行させる制度)」を見直し改善する。
⑥都道府県は、専門的知識と経験を持つ職員の育成・配置など、労働委員会の事務局体制を強化する。
⑦全国労働委員会連絡協議会のもとに設置される委員会が、全国の労働委員会における課題共有などの役割を果たし、労働委員会のさらなる活性化につながる組織となるよう、厚生労働省は労働委員会を所掌する官庁の責任として全面的にバックアップする。
⑧都道府県労働委員会においては女性委員を各側委員に1名以上任命する枠組みを検討する。
- (2)労働審判制度開始以降の運用について、検証・分析を行い、適切な見直しを行う。
①労働事件を担当する裁判官・書記官・事務局を増員する。
②各地方裁判所において女性の労働審判員を複数任命する枠組みを検討する。
③2017年4月より実施された労働審判申立受付の地裁支部の拡大の状況の効果検証をはかる。
④労働審判員法4条の許可代理について、一定の要件を満たした労働組合役職員の手続き代理を認めるよう運用をはかる。
⑤労働審判の利便性向上、迅速化の観点から、以下のとおり改善をはかる。
a)労働審判の定型申立書を作成し、申し立てが簡便にできるようにする。
b)書証などの閲覧については、事前配布もしくは労働審判員用の書証を用意する。
c)答弁書の提出期限の遵守について周知徹底をはかるとともに、最高裁判所として実態把握を行う。
d)期日における当事者の審尋については、迅速な解決のためにも、責任を持って判断できる当事者が出席する。
⑥労働審判員の能力向上のため、事例研究の機会を増やすとともに、適切な研修を政府予算により毎年開催する。また、労働審判員の経験交流・情報交換の場や重要な労働法改正時にあわせたスキルアップの機会の提供をはかるとともに、地方裁判所毎に行われている労働審判員の研修会について、内容の充実や質の均一化など、一層の充実をはかる。また、労働審判員とそのOB・OGの自主的組織として労働審判員連絡協議会が設置されたことも踏まえつつ、最高裁判所としても全国的な経験交流組織の設置などを検討する。
⑦健全な労使関係構築のため、審判員経験者が各企業・労働団体の職場でその経験をフィードバックできるよう環境を整備する。
- (3)個別労働関係紛争解決促進法の見直しを含め、労働事件を扱う司法制度を充実させる。
①司法制度改革を引き続き実施するとともに、検証・見直しを行う。
②労働事件に、労使の専門家が参加する「労働参審制」を全地方裁判所に導入する。なお、参審員は労使団体から選出された者を裁判所が任命し、裁判官と同じ評決権を持たせる。
③定型訴状を導入し、提訴が簡便にできるようにする。
④組合役職員の訴訟代理を認める。
⑤労働組合の「団体訴訟」を認める。
⑥労働関係訴訟の専門性確保の観点から、主要な高等裁判所に、職業裁判官1 名と労使団体の推薦による「労働裁判官」(仮称)2 名の計3 名により事件処理にあたる「労働高裁」(仮称)を創設する。
- (4)都道府県労働局の紛争調整委員会による紛争解決の実効性をあげるため、体制を強化するとともに出頭命令などの権限を付与する。
- (5)労働委員会による紛争解決の実効性をあげるため、個別労働紛争解決促進法の改正などにより時効の中断効を規定するとともに手続きの標準化をはかる。
- (6)総合労働相談コーナーのワンストップ化を図り、相談事案の振り分け機能を強化するとともに、労働紛争解決機関の連携強化と機能分化などの見直しをはかる。
①労働者が利用しやすい労働紛争事件解決機関となるよう、労働審判、都道府県労働委員会、都道府県労働局の紛争調整委員会の連携を強化するとともに、各機関が協力して周知徹底をはかる。
②労働者が適切な解決手続きを選択できるよう、総合労働相談コーナーにおいて、労働紛争に関する行政上の解決システム(都道府県労働委員会、都道府県労働局の紛争調整委員会)と司法上の解決システム(労働審判制度、通常訴訟など)についての情報提供を徹底する。
③労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会の構成員に労働団体も含める。
- (7)集団・個別労使関係の双方において、社会保険労務士の不適切な介入事案が生じることのないよう、実効的な規制を整備する。
①社会保険労務士による団体交渉への介入可能範囲を示した厚生労働省通達を徹底する。併せて、監督官庁による指導・処分の徹底や業界団体の自主規制機能の強化を行い、違反行為を行う社会保険労務士に対する指導・監督を強化する。
②2014年の社会保険労務士法改正により補佐人制度の創設などの業容拡大の影響などを検証する。その上で、例えば補佐人として代理人とともに出廷・陳述できる社会保険労務士の範囲を特定社会保険労務士に限定するなどの見直しや、業容拡大に即した各種行為規制の整備などの必要な措置を講じる。
③不適切な情報発信の防止に向けた指導徹底および啓発をはかるとともに、不適切な情報発信を行った社会保険労務士に対する指導・処分を徹底する。