1.持続可能で健全な経済の発展|産業政策

2-3-6.政府は、公正・透明・自由な国際経済活動の発展を促すとともに、経済連携協定に、労働条項・環境条項を入れるべく見直しをはかる。また、新規案件については、有益な協定内容とするべく早期に参入を表明し、ルール作りから参画するよう努める。

  1. (1)国際経済活動については、WTOの理念である公正・透明・自由な多角的貿易体制の構築を国際協調のもとに進めることを念頭に、より質の高い経済連携協定(FTA/EPAなど)締結に向けて努力する。外交面において国内産業のリスクとなりうる事項に関しては、適時適切な対応を行うとともに、国民への適切な情報開示、国民的合意形成に向けた丁寧な対応を行う。また、経済連携協定に労働条項・環境条項が組み込まれるよう努める。
  2. (2)わが国の経済成長と雇用創出、各国における公正で持続可能な発展につながるよう経済連携を推進する。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)、日EU経済連携協定および地域的な包括的経済連携(RCEP)協定については、幅広い分野に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、懸念される課題について引き続き丁寧に把握・検証のうえ、必要に応じて対策を講じる。
  3. (3)モノ以外のすべての貿易が対象となりうる新サービス貿易協定(TiSA)について、国民生活に広範な影響を及ぼすことを踏まえ、国民への適切な情報開示を行うとともに、懸念される課題に適切に対応する。(注1)

    (注1)新サービス貿易協定(TiSA)~世界貿易機関(WTO)に加盟する有志国・地域により、サービス貿易の一層の自由化に向けた新しい協定。現在、日本、米国、EUなど23カ国・地域が参加(EU各国を含めると50か国)。

  4. (4)二国間及び地域内のFTA/EPAについては、自由で多角的貿易を促すWTOの理念を念頭とした内容となるよう努めるものとし、他国を排除することなく、自由・公正・透明な世界経済活動の交流を拡大し、各国労働者の生活を改善し、ILOにおける労働基本権をはじめとする中核的労働基準の遵守を確立するものとする。

    ①当該国にとって、持続可能な経済発展、国民生活や雇用の改善、環境保護、安全・健康の向上等を促すものとする。

    ②労働基本権の確保、労働者の雇用の安定と創出、公正労働基準の確保が、必ず実施されるものとする。

    ③当該国の労使関係の慣行(労使協議等)を尊重したものとする。

    ④労働分野については、当然、ILOの中核的労働基準やOECDの多国籍企業行動指針を遵守する。

    ⑤労働者の移動については、当該両国における雇用との調和と国民的合意を原則とする。

  5. (5)地域レベル、二国間のFTA締結に向けた共同研究会に労働組合代表を含める。
  6. (6)外国の不当な安値攻勢や知的所有権の侵害等の不公正貿易に対しては、アンチ・ダンピング措置の発動を含め厳正に対処する。また、市場の混乱をもたらす急激な輸入の増大に対しては、協定の範囲内でのセーフガード措置の機動的な発動を行う。
  7. (7)国際協定の規定を遵守させるため、各国に公労使三者が参加した委員会を設置し、違反事例の解消をはかる。

 

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