横断的な項目|非正規雇用に関わる政策

2-29-6.雇用の分野における性差別を禁止し、賃金格差を是正、男女の平等を実現する。(「男女平等政策」より再掲)

  1. (1)女性活躍推進法を以下のように見直す。

    ①法の目的に、人権と性差別禁止にもとづいた雇用平等の実現と、非正規雇用も含めたすべての女性を対象とする格差是正と貧困の解消、および長時間労働削減による仕事と生活の調和の推進および法が女性差別撤廃条約の理念にもとづくことを明記する。

    ②状況把握、分析、情報開示は、パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者、臨時・非常勤職員等を含むすべての労働者を対象とする

    ③すべての事業主に対し、雇用の全ステージにおける男女別の比率、男女別の配置状況、教育訓練(OJT、OFF-JT)の男女別の受講状況、両立支援制度の導入や男女別の利用状況、男女の賃金の差異、男女別の1つ上位の職階へ昇進した者の割合、男女の人事評価の結果における差異、非正規から正規への転換制度の有無と転換実績の男女別データ、各項目に関する現状把握、分析、情報開示を義務とする。

  2. (2)すべての労働者の均等・均衡待遇の実現と労働条件の向上に向けて、以下のようにパート・有期法の改正を行う。

    ①第7条(就業規則の作成の手続)について、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者用の就業規則を作成・変更する場合は、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者のそれぞれ過半数を代表する者から意見を聴取することを事業主に義務づける。

    ②第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)については、要件でパート・有期雇用労働者の待遇を分ける規定を削除し、第8条(不合理な待遇の禁止)と統合する。将来的には、すべてのパート・有期雇用労働者を対象に、合理的理由がある場合を除き、待遇についてパート・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取扱いを禁止する。

    ③第10条(賃金)について、合理的な理由がない待遇の格差を禁止した上で、合理的な理由が認められた場合でも、均衡待遇の具体的な改善策を講じるよう事業主に措置義務を課す。

    ④第11条(教育訓練)について、通常の労働者と職務の内容が同一であるパート・有期雇用労働者には、職務遂行に必要となるもの以外の教育訓練も、通常の労働者に準じて実施することを義務づける。

    ⑤第13条(通常の労働者への転換)について、「短時間正社員制度」の活用を含めて正規労働者への転換の間口を広げ、キャリアラダーを整備し、希望する者の正規労働者化を促すことについて、事業主に義務を課す。また、差別的取り扱いの禁止の対象となる通常の労働者と同視すべきパート・有期雇用労働者が希望する場合は、優先的に雇用する。

    ⑥第14条(事業主が講ずる措置の内容等の説明)について、通常の労働者との待遇の違いの程度とそれが生じた理由を含めて説明する手段は、文書によることとする。

    ⑦パート・有期法および省令、指針などを周知徹底するとともに、監督・指導体制を強化し、法の実効性を確保する。

    ⑧パート・有期法の努力義務規定にも紛争解決援助制度の対象を拡大する。また、労働契約法第18条の無期転換権を行使した労働者やパートとして採用されながらフルタイムで働いている無期雇用労働者に対する不合理な差別は、パート・有期法の脱法的行為として、同法に関する紛争解決手続を利用できるようにする。

    ⑨差別救済制度を設け、以下のようにする。

    a)政府から独立した雇用平等委員会を設置し、都道府県単位で支部を設置する。

    b)救済の対象は、雇用の全ステージおよび賃金等の労働条件に関する性差別(性的指向・性自認に関する差別を含む)、仕事と育児・介護に関する両立支援、パート・有期雇用労働者等の均等・均衡待遇等、その他の労働条件に関する法違反および差別的取り扱いや不利益取り扱いの他、ハラスメントがあるときとする。

    c)救済申し立てを理由とする不利益取り扱いを禁止する。

    d)差別・格差の合理的根拠を示す証拠およびその裏づけ資料の提出義務は事業主にあるものとする。

    e)資料の提出がない場合、あるいは資料の提出があっても合理的根拠が認められない場合には、差別を認定して是正を勧告できるようにする。また、委員会は差別の認定に関して調査する権限を持つものとする。

    f)事業主がこの勧告にしたがわない場合は刑罰を科す。

    ⑩第28条(雇用管理の改善等の研究等)に、厚生労働大臣は、教育訓練の実施やパート・有期雇用労働者に関する評価制度(職務評価・職業能力評価)について資料の整備を行い、必要な事業主に対して提供することを促進していくことを明記する。

  3. (3)労働条件の時間比例を原則とする「短時間公務員制度」などの導入を行い、公務における臨時職員・非常勤職員の雇用安定と処遇改善をはかる。
  4. (4)男女間および雇用・就業形態間の賃金格差是正の実現へ向け、日本が批准しているILO第100号条約「同一価値労働・同一報酬」の実効性を確保のため、職務評価手法の周知・普及とさらなる研究開発を進める。
  5. (5)国内法を整備し、ILO第111号条約(雇用および職業についての差別待遇の禁止)、ILO第171号条約(夜業禁止)、ILO第175号条約(平等なパートタイム労働)、ILO第183号条約(母性保護)、ILO第189号条約(家事労働者)の早期批准を行う。

 

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