- (1)わが国におけるパートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託職員、臨時・非常勤職員などの非正規雇用で働く人は2021年平均で2,026万人(36.7%)となっている。そのうち正社員として働きたいが職が見つからず非正規雇用で働く人(不本意非正規)は214万人(10.7%)である(総務省「令和3年労働力調査(詳細集計)」)。また、非正規雇用で働く人の年間収入は200万円未満が4割を占め、中央値で225万円となっている(連合「連合パート・派遣等労働者生活アンケート」2021年実施)。
- (2)非正規雇用の問題は、雇用の不安定さや不合理な労働条件の格差に加えて、職業能力の開発や社会保険適用の機会も十分ではないことにあり、これらは、今般のコロナ禍において一層その実態が明らかとなった。所得減と将来不安による需要の減退、未婚化・少子化、社会保障制度の空洞化、企業における現場力や生産性の低下などにもつながり、社会の安定や経済の持続的な成長、国の財政基盤にも悪影響を及ぼす。社会・経済の安心・安定に向けて、成長分野での安定した雇用の創出、再就職支援・職業訓練、雇用・処遇改善につながるワークルールの確立、社会的セーフティネットの整備は喫緊の課題となっている。
- (3)「同一労働同一賃金」(職場における雇用形態間の不合理な処遇の差の是正)の実現に向けて労使への周知・徹底、相談・支援体制の充実を図るなど、円滑な法施行に向けた取り組みを強化する。また、有期労働契約については2012年に施行された改正労働契約法施行後の運用状況の検証をおこない、残された課題に引き続き取り組む。労働者派遣については2015年改正法施行後の運用状況を検証し、派遣労働者保護のための必要な措置をおこなう。法整備の施行状況や司法判断などを踏まえつつ、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇の実現に向けた取り組みを強化する。
- (4)公共サービス分野においても非正規雇用は拡大している。公務職場において、厳しい財政状況によるコスト優先の入札と受注価格の低下によって、臨時・非常勤職員等の不安定雇用・低所得層の増加を招いている。公共サービスの効率化は求められるが、労働者の労働条件が犠牲にされることは許されない。公共サービスに従事する労働者が公正な労働条件のもとで働くためには、同一労働・同一賃金の実現に向けて処遇改善に向けて臨時・非常勤職員の雇用安定と処遇改善に向けてパート・有期雇用労働法の主旨を踏まえた更なる法整備が必要となっている。
- (5)非正規雇用の中でも、雇用契約ではない、いわゆる雇用類似の働き方と呼ばれる就業者が増加している。これに対応し、労働者概念の拡大や法的保護についても検討する必要がある。
横断的な項目|非正規雇用に関わる政策