- (1)国・地方自治体は、教育行政における政治的中立性、継続性、安定性を確保する。
①地方議会は、首長が任命・罷免する教育長や教育委員について同意する際に、候補者の教育に対する考えや課題認識に関して所信表明を求める。
②総合教育会議は会議を公開し議事録を公表する。
③教育委員会は、事務局が扱う日常的な業務に対し監査機能を持つとともに、より多くの地域住民や保護者を教育委員に選任する。
④教職員の人事権や給与負担権限の都道府県から市区町村への移譲については、自治体間格差が教育格差につながりかねないことから慎重に検討する。
⑤教育委員会は、会議の運営改善、情報公開などにより活性化をはかり、教育、文化、スポーツなどの幅広い分野で地域の特性を活かした、教育行政を推進する。部活動の地域クラブ移行に際しては、行政として責任をもって推進し、子どもたちの活動を保障する。
- (2)国・地方自治体は、教職員定数の拡充や業務負担の見直しなど、学校の働き方改革を通じて教育の質的向上をはかる。
①総額裁量制にもとづく教職員の給与・配置について、教育予算の増額を前提に、運用実績を踏まえて地方自治体の裁量を拡大する。また、教職に質の高い人材を安定的に確保するために、人材確保法の理念を堅持する。その上で、人材確保の観点から、給与月額の改善や義務教育等教員特別手当の引き上げなど労働条件の改善をはかる。
②教員が子どもと向き合う時間を確保し、一人ひとりにきめ細かな教育を行うため、中等教育までの教職員の定数改善などによる配置増や週の持ちコマ数減による業務削減、小学校における教科担任制の拡充、中学校における35人学級の推進を行う。
③教員業務支援員の人材確保など、外部人材の抜本的な増員により、教職員の負担軽減の実効性を担保する。
④学校現場において、「こどものために」と肥大化しがちな業務の縮減に向けて、労使で時間管理意識の醸成に向けた取り組みを行う方策を検討する。あわせて、「カリキュラム・オーバーロード」を背景とした、教職員の長時間労働と、子どもたちの過剰な負担の改善に向けて、学習内容の再構築を行う。
⑤学校が担うべき業務は、授業をはじめとした子どもの教育に関する事項に特化することを明確化し、その周知徹底をはかる。また、教員が担う必要のないものと分類された業務について、教育委員会、保護者、地域住民の役割分担、および、その人材確保策も含めて明確にする。
⑥教員の長時間労働の是正など、労働環境を改善するため、上限指針の遵守および「在校等時間」の削減に向けて教員への労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の適用など、給特法を抜本的に見直す。あわせて、在校等時間の上限45時間等を超過している教職員の休息を確保するため、代償休暇(代替休暇)の付与を検討する。
⑦臨時的任用教員等の抜本的な処遇改善を行うなど、学校にかかわる人材の労働環境の改善をはかる。加えて、労働安全衛生法に則り、教職員に対するメンタルヘルス対策を強化し、精神疾患で休職する教職員数を減少させる。
- (3)国・地方自治体は、改正教育公務員特例法(教特法)の附帯決議に則り、研修機会を確保し、教員養成システムの改善など、教職員の専門性およびやりがいを高める施策を通じて教育の質的向上をはかる。
①研修を充実し、本人の希望や適性に応じて目標を持ったキャリア形成を進める。
②企業やNPOなどでの外部研修の充実、管理職型、専門職型等のキャリアの複線化、短時間勤務制度の充実など、養成から研修まで一体的な改革を進める。
- (4)国・地方自治体は、入学式や卒業式などの学校行事を、子ども(児童)の権利条約にある意見表明権に基づき、児童・生徒の主体的な参画によって行うことを保障する。内容は児童・生徒の意向なども取り入れ各学校の判断に委ねる。
- (5)国は、いわゆる特任(特命)助教など、極めて不安定なポジションかつ低収入な状況にある若手研究者が安心して研究できるよう、テニュアトラック制(注1)の普及・定着など、雇用環境の改善に向けた取り組みを強化する。
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(注1)テニュアトラック制~教員を自立的な教育研究環境で一定期間雇用し、テニュア審査を経て独立した教員として採用する、大学教員の育成・選抜のための公正で透明性の高い人事制度。
6.民主主義の基盤強化と国民の権利保障|教育政策