- (1)政府は2017年12月、2019年10月からの幼児教育の無償化、2020年4月からの高等教育の一部無償化を含む「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。連合は2019年6月に、「第4次税制改革基本大綱」ならびに「新21世紀社会保障ビジョン」の改定の検討作業と併せて、「教育制度構想」を策定し、2025年5月に改訂版を確認した。これは、「教育費の無償化」「労働教育・主権者教育」「リカレント教育・人材育成」を3つの柱としている。「教育費の無償化」では、就学前教育の無償化および公立の高等学校の無償化など一定の進展が見られるが、高等教育については中間層への支援が不足しており、家庭の経済格差が子どもの教育機会の格差を生まないよう、すべての教育にかかる費用の無償化を行い、社会全体で子どもたちの学びを支えることを求めている。
また、GIGAスクール構想における端末利用が本格化する中で、アクセス環境の地域間・学校間格差の解消、高校への端末整備、国費による端末の保守・更新など、各種課題への対応が必要である。 - (2)異なる文化・言語を背景とした子どもも含め、すべての子どもを教育の場に包摂し学ぶ権利を保障することが求められる。また、文部科学省の調査では、いじめの認知件数は増加の一途をたどっており、また不登校生徒数も過去最多となっている。価値観の多様性を認め、いじめや不登校の根本的な解決につながる体制を整える必要がある。
- (3)2020年度以降に改定された新たな学習指導要領では、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力として「主権者として求められる力」を挙げ、小・中・高等学校の各段階を通じて教科等横断的な視点で育成することとなった。各級選挙の投票率は低下傾向にあり、特に若者の投票率が低い状況にある。義務教育段階からの主権者教育を通じて、政治意識の醸成を行い、政治や社会に主体的に参加する態度を養う必要がある。
- (4)誰もが安心と希望を持ちながら働き続けることができる社会を実現するため、働くことに関する知識を深め活用できるよう、労働教育をカリキュラムに盛り込むなどの充実をはかる必要がある。
- (5)少子化により学校の統廃合が進んでいるが、家庭・学校・地域が一体となって教育環境が整備されなければならない。また、子どもの権利条約に基づき2023年4月にこども家庭庁が設立されたが、文部科学省をはじめとする子ども施策の関係府省庁が密に連携し、子どもの最善の利益の実現に向けた施策を推進する必要がある。
- (6)文部科学省による2022年度の「教員勤務実態調査」結果(確報値)の時間外勤務は、2016年度調査と比べて小・中学校とも1日30分程度減少したものの、1か月では、今なお、中学校は36.5%の教諭が過労死ライン超え、小学校も14.2%の教諭が過労死ライン超えの状況にある。2025年6月に給特法改正法が成立し、今後5年間で時間外在校等時間を月平均30時間程度まで縮減するための措置として、教員一人あたりの授業時数の削減や外部支援員の増員など7つの施策を講じるとともに、公立中学校における35人学級の実現などが附則に盛り込まれた。一定の間隔をもって継続的に「教員勤務実態調査」を実施するなど状況を把握しながら、教職員の業務の削減や定数の改善、そして、教員の長時間労働の是正により学校の働き方改革を実現する必要がある。
- (7)社会人の学び直しには、「費用」と「時間」が大きな阻害要因となっているため、学費負担の軽減をはじめ、長期の教育訓練休暇制度の導入や「教育訓練休暇給付金」の活用など、社会人の学び直しに向けた環境整備を求めている。変化し続ける社会に適応し、個人が生涯に渡って学び続ける社会を実現するため、誰もが学びたいときに学べる環境を整える必要がある。
6.民主主義の基盤強化と国民の権利保障|教育政策