- (1)慣習憲法として存在し、その時々の総理大臣の判断に自由に行使されてきた憲法第7条3号の衆議院解散権については、議会が内閣不信任案をとおすという異例の事態が起こった際の解決策としてしか合理性はないことから、これを制限する。
- (2)与野党は、国会主導のもと、国会審議の充実化に向けた国会機能の強化策を講じるとともに、行政機関や立法機関の職員等の働き方にも留意し運営の効率化を進める。
①国会機能の強化
a)国会法を改正し、通常国会の会期を大幅に延長して国会を実質的に通年化する。また「会期不継続の原則」を見直し、審議未了案件は後会に自動継続させ、衆議院の任期満了・解散をもって廃案とする。
b)2014年に当時の与野党7党が申し合わせた審議充実策(党首討論の毎月1回実施、定例日の常任委員会開催、提出議案の速やかな委員会付託など)について各党は遵守を徹底する。
c)いわゆる束ね法案の一括表決は、国民への情報公開の観点や国会議員の表決権を侵害しかねないなどの問題があるため一定の制限を加える。その際、法案を逐条的に審査・表決する制度などの導入を検討することによって、あわせて法案審議の充実もはかる。
d)政党政治の確立、議員立法の活性化に向けて、両院の法制局、常任委員会調査室および国会図書館等の立法スタッフの強化をはかる。
②国会運営の効率化
a)総理大臣や国務大臣の国会出席に上限を設け、外交や国内における政務を充実させる。
b)審議の計画化をはかり、「質問通告」は2開庁日以前とする原則を徹底し、答弁に必要な準備時間を確保する。
c)衆議院本会議でも電子投票による押しボタン式表決制を導入する。また、立法責任が明確になるよう、議員個人の投票結果を公開する。
③多様な意見の適切な反映
a)政党交付金の配分については、議員数割部分に対する得票数割部分の比重を高めるなどの見直しを通じて、より民意が反映される制度となるよう検討を進める。
b)2018年5月に施行され、2021年6月に改正された「政治分野における男女共同参画推進法」の実効性を高めるため、クオータ制導入に向けた必要な法整備を行う。また、政党による女性議員の発掘・育成を支援するために、女性議員の割合に応じた政党交付金の傾斜配分などの制度支援を行う。さらに、候補者・議員の仕事と生活の両立を支える環境整備や、あらゆるハラスメントを対象とした対策の強化を行う。
- (3)地方議会は、より充実した審議を行うべく議会運営の見直しやなり手不足などへの対策を進める。
①被雇用者が公職の候補者となる場合に休暇の取得ができ、議員期間中は休職のできる立候補休暇・公職休職制度を整備する。
②地方議会は、地方議員の兼職・兼業も前提とした議会運営の見直しを進めるとともに、広く住民の傍聴を促進するため、夜間・休日開催などの多様な開催形態を検討する。
③地方議会は、住民の福祉の向上と住民自治の発展を目的とし、地方議会の公開性・公正性・透明性の確保、執行に対する監視・評価や政策立案機能等を掲げる「議会基本条例」の制定に取り組む。また、地方議会における「議員立法」推進のための制度や議会事務局の調査機能の拡充など、「二元代表制(注1)」の機能充実のため環境整備を行う。
- (注1)二元代表制 ~首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ制度