6.民主主義の基盤強化と国民の権利保障|政治改革

2-21-1.公職選挙法などを改正し、公平・公正でわかりやすく、また、政党・候補者が政策を競い合う、国民の立場に立った選挙制度にする。

  1. (1)公職選挙法について、時代に応じた見直しを進める。

    ①インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁により発生した、Webサイト等を利用する場合の取り扱いと、文書図画の頒布・掲示に関する規制の不整合を是正する。また、選挙運動期間中に、インターネットを介して当該選挙に関連する動画等を掲載し利益を得ることを禁止する。

    ②戸別訪問については、有権者が候補者の政策を知り、その理解を深めるための有効な手段であるため、解禁する。

    ③公開討論会については、選挙期間中の開催を禁止する制限を撤廃し、自由に開催できるようにする。

    ④立候補者の公平・公正な選挙運動実現のため、わたり規定(公職選挙法第178条の3)に該当する場合を除き、同一の選挙か否かに関わらず候補者が他の立候補者の当選に資する行為を行うことを禁止する。

    ⑤選挙妨害をはじめとする行き過ぎた選挙運動事例に鑑み、立候補者が選挙運動を妨げられることなく安全に活動できるよう、また有権者の適正な参政権行使が保障されるよう、「選挙の自由妨害罪」(公職選挙法第225条)を厳格に適用する。

    ⑥選挙運動期間中の選挙従事者への実費弁償・弁当提供に関する制限については、経済・物価情勢を踏まえて見直しを行う。

  2. (2)だれもが選挙権および被選挙権を確実に行使できるよう、必要な法改正を行うとともに投票率向上に向けた施策を講じる。

    ①高齢者、障がい者、要介護者、傷病者、妊婦、海外赴任者などの選挙権行使を保障するため、郵便等投票制度の投票証明書申請から実際の投票までの手続きの簡素化および対象者の拡大を行う。また、「成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律」にもとづき適正な運用が行われるよう対応をはかるとともに、代理投票における補助者の要件を改正する。

    ②障がい者に対する投票支援策として、投票方法、投票環境、投票用紙等に関するアクセシビリティを向上するとともに、政見放送の手話・字幕放送の義務化や選挙公報・選挙通知の多様な形態での提供など、選挙に関する情報保障を充実する。

    ③日常生活全般に介助が必要な障がい者が、選挙に立候補し活動を行うには多くの困難を伴うことから、障がいのある立候補者・当選者を想定した具体的措置を講ずる。

    ④投開票の簡素化・効率化、疑問票の削減、障がい者や要介護者の投票参加の拡大などの観点から、投票方法を自書式から記号式に改めることや、端末での電子投票を可能とする。なお、電子投票導入の際は、不正・トラブル防止、システム選定の公平性・透明性の確保、政党・候補者名の画面表示の公平性の確保などについて必要な措置を講じる。

    ⑤船員の選挙権行使を保障するため、現行の洋上投票制度が、都道府県知事選挙をはじめとする地方選挙においても実施可能となるよう制度の拡充をはかる。

    ⑥転居後3ヵ月に満たない有権者について、転居先の地方自治体が管轄する投票所において簡便に投票ができるように条件整備する。

    ⑦国は、有権者の投票機会のさらなる確保のため、投票当日投票所の維持はもとより、共通投票所の設置の拡大や期日前投票所の開設時間の延長、移動期日前投票所の拡充について、人的手当や自動化を含めた地方の選挙管理委員会や市区町村へのきめ細かな対応・支援を行う。また、これらの経費について、国政選挙では十分な国費を確保するとともに、地方選挙でも実施にあたって財政運営上の支障が生じないよう必要な措置を講じる。

    ⑧県・市区町村選挙管理委員会は、投票者の利便性と投票率向上の観点から、投票所(期日前投票を含む)を頻繁に人の往来がある施設に設置する。また、共通投票所の設置の拡大、ならびに期日前投票の投票時間の弾力的な設定および移動期日前投票所の拡充に努めるとともに、施設側からの公募を行う。

  3. (3)国民が自らの権利や義務など国民生活を営むうえでの必要な知識を蓄えることに加え、政治に対する意識も高める中で政治参画を促すことを目的に義務教育段階から主権者教育を実施する。
  4. (4)すべての選挙の選挙権年齢が18歳以上へと引き下げられたことを踏まえるとともに、若者の政治意識高揚の観点から被選挙権も18歳以上へ引き下げる。
  5. (5)参議院選挙における合区については、都道府県という単位の政治的重要性に鑑み、参議院に地方の事情に精通した全国民の代表としての活動など、二院制のもとでの独自の役割を定めることによって解消する。
  6. (6)地方の選挙制度について、公平・公正、有権者の権利拡大の観点から制度改革を進める。

    ①統一地方選挙の期間に実施されていた地方選挙のうち、震災等の事由により統一実施でなくなったものについては、一定期間経過の後に再び統一実施となるよう制度改正を行う。

    ②選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、1~3月上旬の間の任期満了に伴う地方選挙については受験と重ならない前後の時期に執行する等、特別な立法措置を講じる。

    ③永住外国人への地方参政権の付与については、国民的な議論と合意のうえで対応する。

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