- (1)地域による偏りが少なく安定的な地方税体系とする。
①所得税改革と歩調を合わせ、地方住民税の人的控除を所得控除から税額控除にかえる。所得税の基礎税額控除の引き上げと歩調を合わせ、地方住民税の基礎税額控除(4.3万円→6.6万円)と税率(10%→11%)を見直す。
②地方分権に逆行する特別法人事業税および地方法人税の仕組みを廃止し、法人住民税(法人税割)および法人事業税(所得割)と消費税の税源交換を実施することについて検討する。
③法人事業税については、外形標準課税(付加価値割)の法人事業税全体に占める割合を縮小させる。外形標準課税の適用範囲の拡大、税率、実施時期については、雇用や所得に与える影響および中小企業の業績回復の状況などを見極め、慎重に検討する。中小企業については、雇用安定控除を拡大する。そのうえで、外形標準による課税の考え方を維持しつつ、法人住民税などとの整理・統合を検討する。
④税制改革全般について地方財政への影響に配慮し、必要な税財源を確保する。
- (2)財政調整機能と財源保障機能の両方を兼ね備えた地方交付税の仕組みとし、現行の交付税水準を維持・改善する。
①地方財政計画の仕組みを基本的に維持する。
②地方における社会保障などの財源不足への対応として、臨時財政対策債の発行に替えて地方交付税の法定率引き上げを検討する。
③国と地方の協議の場等を活用し、地方財政計画の策定や地方交付税算定を行うなど、決定プロセスの透明化をはかる。
- (3)既存の国庫補助金負担金制度について、公共事業等のための地方自治体の使い勝手の良い財源として国庫補助金の一括交付金化をはかるなどの改革を進める。このとき、社会保障や義務教育に係わる国庫補助負担金は、一括交付金化の対象としない。社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金については、地方自治体におけるより自由度の高い活用に向けて不断に制度を見直す。
- (4)「ふるさと納税制度」については、本来寄附金は経済的利益の無償の供与であることに鑑み、過度な返礼品の規制や個人住民税の特例控除の段階的な縮減など、制度・運用の両面において実効性のある改善をはかる。また、ふるさと納税の理念を周知徹底して、納税者や地方自治体における適切な制度活用を促す。
- (5)住民のニーズをふまえ、住民の立場に立った公共サービスとなるよう不断の見直しを行う。それに伴う税負担等について情報発信し、租税教育を行う。
- (6)地方自治体の課税自主権の活用は、住民の行政参加を促し自治意識を高める観点から、基本的には尊重する。ただし、新たな税を創設する際には、①財政状況や行・財政改革の計画を明らかにし、課税の必要性についての説明責任を果たす、②住民(法人も含む)が意見反映できる機会を設ける、③既存の地方税との関係を整理する、ことを前提とする。
- (7)税法上の総所得が基準となる国民健康保険料や自治体の補助金について、税法改正により生活困窮者の連鎖的な負担増とならないよう措置を講じる。
- (8)法人事業税の診療報酬に対する非課税措置を見直す。