5.くらしの安心・安全の構築|環境政策

2-17-6.廃棄物対策について、循環型社会形成の観点からの取り組みの強化と、適正な制度設計 を促進する。

  1. (1)国は、資源効率性を促進する観点から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」による「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の区分による不都合や、廃棄物と区分されない退蔵品などの扱い、さらに、各種リサイクル法の範疇を超えた課題について検討を行い、必要な改正を行う。
  2. (2)国・地方自治体は、希少金属を含む機器の再利用・再資源化に向け制定した「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」の周知・広報を強化し、再利用・再資源化の取り組みを広げる。また、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)、RoHS指令(有害物質使用制限指令)、WEEE指令(電気電子廃棄物指令)などの関連する規制や、海外での電気・電子機器のリサイクルの動向を継続的に把握し、小型家電リサイクル法の見直しを行う。
  3. (3)国・地方自治体は、産業廃棄物に関して、排出者責任と原状回復義務を徹底するとともに、循環型社会形成の観点から「拡大生産者責任」を明確にした制度を強化し、電子マニフェストの添付を義務化する。また、北米における「プロダクト・スチュワードシップ」の観点から、消費者の関与の強化と「エシカル消費」に関する周知・啓発を強化する。
  4. (4)国は、廃棄物の不法投棄に対する監視体制を強化するため、指導権限のある「環境Gメン」制度を全国の地方自治体に創設させるとともに、地方自治体における要員の確保など、制度の運営に必要な財政的支援をおこなう。
  5. (5)国・地方自治体は、産業廃棄物処分場周辺の環境負荷を低減するため、モニタリング体制と公表制度を強化する。併せて、処理品目区分の細分化、他の処分場や住宅・農地などに対する距離規制、搬入される産業廃棄物に対する総量規制など、産業廃棄物処分場に関する規制を整備・強化する。また、処分場への搬入基準・維持管理基準の遵守を徹底し、不適正処理を未然に防止する。
  6. (6)国・地方自治体は、産業廃棄物処分場の新設に際し以下の事項に配慮する。

    ①処分場の設置は、受け入れ地域の住民の合意を前提とする。さらに施設設置事業者と住民との間における「運営協議会」の設置や「環境保全協定」の締結などを義務化し、市民参加による運営を行う。

    ②処分場の確保は、事業者の責任の所在を明確にしたうえで、地元地方自治体などの関与のもとで進める。

    ③広域処理・処分を充実させる場合は、処分場設置場所周辺の万全な環境保全対策の実施、関係する都道府県・市区町村の合意と事前の計画策定、情報公開を前提とする。

    ④既にある処分場については、官民を問わず責任の明確化および環境保全と維持管理を徹底する。また、不法投棄を含む過去の処分状況については、調査と公表を徹底する。

  7. (7)国・地方自治体は、廃棄物処理場における火災や臭気の発生を防止するため棄物処理法施行令の見直しを検討する。また、廃プラスチック類の再生利用技術の研究に対する支援を行う。
  8. (8)国・地方自治体は、一般廃棄物の処理に際しては排出者としての地域住民と収集・運搬・処理・処分にあたる各事業主体の責任と役割を明らかにし、以下のように取り組む。

    ①資源循環型社会の構築および資源効率性の観点から、有価物の分別や生ごみのたい肥化など減量努力の促進と、分別排出・収集を徹底する施策を講じる。

    ②一般廃棄物の処理費用の徴収を検討する場合は、排出者責任と適正処理のための費用のあり方を明確にする。家庭ごみ有料化を検討する場合は、住民の合意を前提とする。

    ③爆発性・毒性・感染性などがあり、人の健康や生活環境に被害が生じる恐れのある適正処理困難物については、拡大生産者責任の観点から、事業者による自己回収・費用負担の対応を検討するなど、原則、行き場のない廃棄物をなくす。

    ④CAPD(連続携行式腹膜透析)バックやチューブ類などの在宅医療廃棄物については、スタンダード・ブリコーション(標準感染予防策)にもとづき排出方法を周知するとともに、地域の医師会と地方自治体で回収方法を協議するとともに、回収時の感染予防に向けた研修などを実施する。

  9. (9)国・地方自治体は、国は、バーゼル条約・廃棄物処理法のいずれにおいても対象外となっている中古製品の国内処理原則に則り、中古製品扱いで廃棄物を国外に持ち出す脱法行為を防止するよう、国内での再利用・資源回収を徹底・強化する。
  10. (10)国・地方自治体は、自然災害の廃棄物処理については、現行の被災自治体処理費用の2分の1の国庫補助を確実なものとして、現状被害に合わせて引き上げるよう、制度を改正する。また、地方自治体の炉の新設・更新のために、循環型社会形成推進交付金を充実させるなど、すべての地方自治体が制度に参加できるよう体制を整える。
  11. (11)国・地方自治体は、食品ロスの低減と食品リサイクルの推進に向けて、「食品の取引慣行の見直し」と「食品リサイクル製品‐認証・普及制度」の普及・促進をはかるとともに、食品リサイクル肥料によって生産された農作物について、通常の同種の農作物よりも価格の引き下げを可能とする優遇措置を検討する。また、食品関連事業者における消費期限・賞味期限の適切な設定並びに流通各社における納入期限・販売期限に関する運用ルールの見直しによって食品廃棄の削減をはかる。
  12. (12)国は、家電リサイクルについて、リサイクルに協力する消費者の不公平感を可能な限り払拭するとともに、モラルハザードを防ぐためにも、不法投棄を行った者への罰則を強化し、引き続き取締りを徹底させる
  13. (13)家電、及び小型家電のリサイクルについて、消費者、販売店における混乱の防止と制度運用の円滑化に向けて、管理票の電算化や販売店・製品等により異なる費用の統一化等により、関連事務手続を簡素化する。
  14. (14)国は、容器包装リサイクルについて、制度を統制する組織に要する費用や事業範囲、今後の国による費用負担も含めた関与のあり方などを加味したうえ、将来的な社会的コストの削減と資源の節約・再活用の観点から、それぞれが果たすべき役割を改めて整理・定義する。また、公平性確保の観点から、リサイクル義務を果たしていない「ただ乗り事業者」を減少させる。
  15. (15)国は、容器包装リサイクルの再商品化手法について、単一素材ごとの収集を実施しつつ、汚れが酷い素材や残渣などマテリアル・リサイクルに向かない素材については、ケミカルリサイクルやサーマル・リサイクルで対応する。また、地方自治体の廃棄物焼却における助燃材のあり方についても併せて検討する。
  16. (16)国は、容器包装リサイクルの費用負担について、労働者の雇用・労働条件への影響を最小化する観点から、制度を改革する際には、十分な移行期間を設けつつ、公的な支援を含めた適切な措置を講じる。また、地方自治体への拠出金は、これまで消費者への広報経費として活用されてきたことを踏まえ、今後も低減し続ける拠出金に代わり、各地方自治体が行う広報活動に必要な費用として充当可能な「新たな助成制度」を創設する。
  17. (17)国は、吹き付け石綿やポリ塩化ビフェニル(Poly Chlorinated Biphenyl:PCB)などの有害物質、石綿含有建材、CCA(クロム・銅・ヒ素化合物系木材防腐剤)処理木材などの有害物質含有資材については、建設リサイクル法を改正し、解体前の調査報告(調査の区分ごとの調査機関による報告)と措置または適正処理の報告(処理事業者のマニフェスト)を発注者に義務付けるとともに、フロンや代替フロンの回収についても報告を義務付ける。
  18. (18)国は、太陽光パネル等の再生可能エネルギー発電設備について、耐用期限経過後の大量廃棄に備え、設備のリユース・リサイクルや適正処理とともに、発電事業者等のユーザーによる回収・処理費用負担のための措置を講ずる。(「資源エネルギー政策」2.(2)② e)より再掲

 

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