- (1)国・地方自治体は、交通政策基本計画を着実に実行し、わが国が直面する経済・社会の変化に的確に対応するとともに、国民生活や経済活動を支える社会基盤として、持続可能で強い交通・運輸体系を構築する。加えて、交通・運輸を担う人材の計画的な確保に向けて、資格・免許の取得や技術・技能の習得など、その費用の支援をはじめ、人材育成や同産業への就業を支援する。
①国は、交通政策基本計画の趣旨に沿って、地方自治体における「立地適正化計画」や「地域公共交通計画」の策定を誘導・指導する。
②国・地方自治体は、交通政策基本計画に掲げた数値目標等の進捗状況を「見える化」しつつ、目標の達成に向けた施策のフォローアップを行うとともに、法制上・財政上の支援措置を講ずる。
③国は、地方自治体に交通政策を担当する専任者を派遣するなど、自治体職員の育成・確保に努める。
④国は、自然災害が頻発化・激甚化する中、被災した鉄道、道路、空港、港湾等の社会インフラの復旧に財政措置をはかるとともに、老朽化が進む橋梁やトンネル、車両、安全通信装置等の維持・更新や、耐震化を含めた安全対策などへの支援を通じて、持続可能な交通基盤を構築する。
⑤国・地方自治体は、交通政策基本計画および「第2次自転車活用推進計画」にもとづき、交通安全対策や歩道・自転車道・車道の分離、公共交通機関と連携した災害時における交通機能の維持、国民の健康増進などをはかる。
⑥地方自治体は、条例による荷捌き駐車施設の設置の義務化、駐車場法の特例制度として規定された荷捌き駐車施設の集約化、住宅街における駐車規制の見直しなど、地域実情にあわせて物流を考慮したまちづくりを推進する。
- (2)国・地方自治体は、改正地域公共交通活性化再生法などにもとづき、「地域が自らデザインする地域の交通」「持続可能な地域モビリティの刷新」の実現に向け法定計画を見直していく。
①国は、交通機関の経営効率や地方自治体の財政負担軽減に係るKPIを設定した計画にもとづく事業を支援し、その実現に向けては、地方自治体における組織体制充実のための安定的な財源と人財の育成・定着を確保する。
②国は、交通事業者と地域との官民共創等による持続可能性と利便性の高い地域公共交通ネットワークへの再構築のため、法整備や財源も含めた「実効性ある支援」を行い、地域の生活基盤を確保する。その際には、整備新幹線の建設と並行在来線の存続問題が発生していることも踏まえ、環境負荷の少ない物流ネットワーク維持の観点にも配慮する。
③国・地方自治体は、交通事業者の固定費負担の軽減をはかるとともに、必要に応じて上下分離方式の導入など、地域公共交通の再構築に向けた措置を講じる。
④地方自治体は、「法定協議会」「地域公共交通会議」「運営協議会」などで、地域住民に必要不可欠な交通路線の存続や廃止・代替を検討するにあたっては、交通・運輸産業に従事する労働者代表の意見を反映する。また会議運営にあたっては、交通事業者や利用者、住民など地域のあらゆる関係者が緊密に連携して真に必要とされる輸送サービスを検証し、納得・合意にもとづく協議を実施する。また、複数市町村にまたがる広域的な公共交通を取り扱う協議会も積極的に設置する。
⑤地方自治体は、新たな路線等の入札にあたって、安全運行を担保するため、国土交通省が示した「地域公共交通会議及び運営協議会の設置並びに運営に関するガイドライン」を遵守するよう行政指導を行う。
- (3)国・地方自治体は、交通のシビル・ミニマム(生活基盤最低保障基準)維持の観点から、子どもの通学や高齢者の通院など、市民生活に必要不可欠な地域公共交通に対する助成を行い、路線・航路を維持・確保する。特に山間部・離島などに関しては、地域振興と一体となった維持対策を行い、自動運転技術等の先進技術の活用も観点として加え、実証実験などを積極的に展開し、早期の実用化をめざす。また国は、人的・財政的基盤が脆弱な地方自治体への専門人材派遣などの人的支援、財政支援を積極的に行う。
①地域公共交通の維持・確保に向けては、「クロスセクター効果」(注5)を勘案し、地域の実情を踏まえた上で、交通政策とともに、教育や医療・福祉など各分野の政策とのポリシーミックスをはかり、地域公共交通の維持に向けた支援を積極的に行う。
②生活交通の存続が困難な地域は、地方自治体が地域公共交通確保維持改善事業の拡充と事業計画策定の簡略化により、地域のニーズを踏まえた最適な代替交通手段を確保する。日常的な生活物資輸送など、離島の住民生活に不可欠な海上航路については、国が補助制度を充実させ、代替船の建造への支援を行う。
③複数市町村にまたがるような広域的・幹線的な生活交通路線については、複数市町村により構成する協議会を設置し、国・地方自治体が地域の生活を支える観点から積極的に支援・補助するとともに、採算を向上させる対策を講じる。
④国は、高齢・障がい者の食料品アクセス問題の解決に向けて、関係府省間で連携し、施策を一体的に推進する。また地方自治体・商工会などで構成する協議会を設置し、情報通信技術を駆使した交流などを通じて「買い物弱者問題」に取り組む先進事例を共有する。また、宅配ネットワーク維持のための「小さな拠点」形成などの施策や貨客混載など、持続可能な買い物環境の改善に向けた仕組みが検討・創出されるよう地方自治体への支援を行い、地域の自立的な取組を促進する。
- (注5)クロスセクター効果~地域公共交通を廃止したときに追加的に必要となる多様な行政部門の分野別代替費用と、運行に対して行政が負担している財政支出を比較することで把握できる地域公共交通の多面的効果。地域公共交通にかかわる費用を、地域社会を支えるための支出という観点でとらえる。