近年、各級選挙の投票率は低下傾向にある。特に若者の投票率は深刻な状況にあり、義務教育段階からの主権者教育を通じた政治意識の醸成が必要である。また、有権者の投票機会のさらなる確保のため、投票当日投票所の維持はもとより、共通投票所や山間部等での移動期日前投票所の拡充、期日前投票時間の延長と、それらに伴う人員配置や財政措置なども求められる。加えて、投開票の簡素化・効率化の観点などから、端末での電子投票制度の検討を進めるべきである。
至近の各級選挙では、選挙妨害やいわゆる2馬力選挙、ネットによる誤情報拡散などの行為が散見され、公平・公正な選挙運動の保障に向けた法の整備が急がれる。また、選挙運動期間中の選挙従事者への実費弁償・弁当提供に関する制限については、経済・物価情勢を踏まえるなど、時代に応じた公職選挙法の見直しが求められる。加えて、政治資金や選挙に関する法令遵守徹底のための独立した専門機関を早期に設置し、公職選挙法や政治資金規正法を実効性あるものとする必要がある。
第26回参議院選挙の1票の較差に関して、2023年10月に最高裁が「合憲」との統一判断を示した。しかし、2022年6月の参議院改革協議会の報告書では「合区の不合理は解消すべきとの意見が多くあり」とされており、各党は合意形成に向けてさらに努力すべきである。
2024年10月の第50回衆議院選挙では、女性の立候補者数・当選者数は過去最高となったが、政府の第5次男女共同参画基本計画における「候補者に占める女性の割合2025年35%」には及ばなかった。また、国会議員の女性比率は、2024年11月時点で参議院は25.4%、衆議院は15.7%、両院で19.0%にとどまり、「政治分野における男女共同参画推進法」が掲げる目的の実現には程遠い現状にある。クオータ制の導入や、政党交付金の傾斜配分、候補者・議員の仕事と生活の両立を支える環境整備、あらゆるハラスメント対策の強化等が求められる。
10 民主主義の基盤強化と国民の権利保障

