保育士の職員配置基準については、2024年4月以降、4・5歳児は30対1から25対1に、3歳児についても20対1から15対1に見直された。2025年4月以降、1歳児の基準も6対1から5対1に見直され、少しずつではあるが改善に向かっている。
「2023年教育・保育施設等における事故報告集計」によると、認定こども園や幼稚園、保育所などの教育・保育施設などにおいて、死亡事故や重篤な事故などが2,772件発生していること、災害時などに備える必要があることを踏まえれば、子どもの安全確保に向けてさらなる職員配置基準の改善が必要である。
こども家庭庁は2024年12月、2028年度までの保育政策をとりまとめた。少子化などに伴う待機児童の減少を受けて、保育施設などの量の確保から保育の質に力点を置くよう方針を転換した(図1)。量ばかりが先行し、後回しにされてきた保育の質について対応がはかられる。
一方で、児童相談所の児童虐待相談対応件数は右肩上がりに増えている(図2)。政府は、児童虐待に迅速かつ的確に対応できるようにするため、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」にもとづき、児童福祉司の増員をはかっている。しかし、2024年度末までに確保するとしていた6,850人に達していない。児童養護施設においても職員が不足しており、子どもに関わる業務に携わるすべての職員の賃金・労働条件を早急に改善し、必要な人材を確保しなければならない。
さらに、こども基本法の周知徹底、行政から独立した立場で子どもの最善の利益を追求する機関の設置などにより、子どもの権利に関する国民の理解を深め、社会全体で子どもや子育て世帯を支えていく必要がある。
6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立
