2025年度重点政策|6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立

6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立

被用者保険の適用拡大と第3号被保険者制度の廃止に向けた対応

雇用形態や勤務先の企業規模の違いなどにより、被用者保険の適用の有無が変わる現行制度は不合理である。
フリーランスや請負契約などいわゆる「曖昧な雇用」で働く人や複数事業所で働く人が増加している。就労を阻害せず働き方などに中立的な制度を構築するためには、すべての労働者に被用者保険を適用するとともに、第3号被保険者制度を廃止することが必要である。
社会保障審議会年金部会が2024年12月に取りまとめた「議論の整理」には、被用者保険の適用拡大に向けて、企業規模要件および賃金要件を撤廃すること、常時5人以上の従業員が働く個人事業所における非適用業種を解消することなどが盛り込まれた。一方で、週20時間以上の労働時間要件は見直しがなされなかった(図1)。また、第3号被保険者制度については国民的な議論の場が必要であるとされた。
現在、第3号被保険者数は減少傾向にあるものの、約686万人存在する(図2)。第3号被保険者制度の廃止に向けては、制度廃止時点の年金受給者や第3号被保険者の受給権に留意しつつ、段階的に改正する必要がある。また、第3号被保険者の中には、本人の疾病や育児・介護などで働きづらい人や働きたくても働けない人が一定数いることから、仕事と治療の両立支援や子ども・子育て支援の充実、在宅介護サービスの充実といった第3号被保険者にとどまらない支援策が必要である。
まずは、第3号被保険者の生活実態を分析するなど、将来的な第3号被保険者制度の廃止に向けた会議体の設置が求められる。

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